アレルギーを抑える医療用新チタン合金
歯列矯正材料などに応用できる新たなチタン合金を開発
新しい技術の創出を目的とした「研究成果最適展開支援事業」の平成21年終了課題において、アレルギーを抑える医療用新チタン合金の研究成果が明らかになった。
東北大学・金属材料研究所花田修治名誉教授は、トミー株式会社(歯列矯正器材総合メーカー)、TDF株式会社(鋳造メーカー)などと共に、人工関節や歯列矯正材料などに応用できる新たなチタン合金を開発。瑞穂医科工業(医療関連器具開発)、東北大学病院、JST(科学技術振興機構)も開発に参加し、細胞毒性やアレルギー性の無い生体用チタン合金を実現した。
アレルギーの可能性低い
現在、人工関節や歯列矯正材料などで使用されているチタン合金の器具には、金属アレルギー性の指摘されるニッケルやバナジウム、コバルトなどが含まれる場合があり、アレルギーが生じる恐れがあった。これに対し、今回開発された合金は、チタンを核にスズやニオブなどを配合しており、皮膚表面や体内で用いても、細菌の増殖などに悪影響を及ぼしたり、金属アレルギーの原因となったりする可能性が低いと判断された。
強度・柔軟性がありながらコストを抑える
また、この新合金を使って人工関節などを作る際の加工や熱処理の方法も考案し、アルミニウムなどより加工が難しいとされる物質でも成型できるようにした。矯正器具や人工関節に必要な強度や柔軟性なども向上させている。汎用型の鍛造設備で加工できるため、製造コストも抑えられるという。
花田教授は、「歯列矯正器具については、アーチワイヤ量産のための耐酸化性雰囲気での熱処理技術の確立以外の技術的課題および生産上の課題はすべて解決されたので、早い時期に国際展示会で製品発表を行い、営業活動に入る。」と発表。 一日も早く臨床で応用される日が来ることが望まれる。