インプラントの寿命はどれくらい?長持ちさせる3つのポイント

自分の顎の骨に生体に安全な金属をドリルを使って埋める治療が、歯科でいうインプラント治療ですが、寿命はどれぐらい持つのかは気になるところです。
ここではインプラントの寿命はどのぐらい持つのか、どういった場合に使えなくなるのか、寿命を延ばし長期的に使うにはどうすれば良いのかといったポイントをご紹介します。

更新日:2021/12/06

インプラントの寿命はどれくらい?長持ちさせる3つのポイント

■目次

  1. インプラントの寿命はどれくらい?
  2. ブリッジや入れ歯の寿命はどのくらい?
  3. ■ブリッジの場合
  4. ■入れ歯の場合
  5. インプラントを長持ちさせる3つのポイント
  6. インプラントの寿命を長持ちさせるための歯科医院選び
  7. 記事監修

インプラントの寿命はどれくらい?

インプラントの寿命はどれくらい?

個人差はありますが、10年経過したインプラントの生存率は約90%といわれており、目安として10~15年ほどです。世界でも有数のインプラントメーカーのインプラントを用いた臨床研究では、10年後に98.8%のインプラント生存率が報告されています。

歯科医師のインプラントを埋め込む技術はもちろんですが、術前の検査をしっかり行い、噛み合わせが考慮されたインプラントが埋め込まれ、その後の歯科医院でのメインテナンスを受けることを怠らなければ長く使い続ける可能性は高まります。

よって、インプラントの寿命は、歯科医師の技術に加えて噛む力や噛み癖インプラントを取り巻く歯周組織の状態により、早まってしまう可能性があるということです。下記で寿命を縮めてしまう要因を見ていきましょう。

■強い力の歯ぎしりや噛む力
何か作業をしているときなど、歯ぎしりやぎゅーっと歯を噛みしめる行為を無意識にしてしまう人がいます。これを歯科の専門用語で「ティースコンタクティングハビット」と言います。噛む力が強い場合は、インプラントやインプラントと被せ物を繋ぐ部分のアバットメントにダメージが加わって、緩みやすくなったり、破折したりするなどで寿命を縮めてしまうことがあります。

また、インプラントは天然歯とは違い、顎の骨との間にある歯根膜という組織が存在していなく、血液の供給が天然歯より少ないため感染症になりやすいです。そのため、炎症が起こり噛む力が強いと、炎症が顎の骨へ広がりやすいのです。


※対処法
定期的なメインテナンスに加えて、就寝時にマウスピース(ナイトガードなど) を装着することで、インプラントだけではなくご自身の残っている歯も守ることができ、長持ちしやすくなるでしょう。

■インプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎
インプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎は、どちらもインプラントを支える歯周組織に起こる炎症です。セルフケアが十分ではないと、インプラントと歯茎の間に歯垢が溜まっていきます。不衛生な状態が続くことにより、歯周病のように歯茎に炎症が起こります。これがインプラント周囲粘膜炎です。

炎症が重症化すると、骨にまで炎症が起こり骨も溶けてきてしまいます。この重症化した状態がインプラント周囲炎です。

天然の歯と違いインプラントは神経が通っていないため、自覚症状が起こりにくく歯周病よりも進行しやすいのが特徴です。

※対処法
歯科医院での定期的なメンテナンスや歯科衛生士さんが行うプロフェッショナルケア、家庭で行うセルフケアを怠らず口腔内をキレイな状態を維持し予防します。

ブリッジや入れ歯の寿命はどのくらい?

歯を失った場合の治療の選択肢として、インプラントのほかにもブリッジや入れ歯(部分入れ歯も含む)などがあります。ブリッジや入れ歯の寿命はどのくらいなのか、インプラントと比較してみましょう。

■ブリッジの場合

ブリッジの場合

個人差はありますが、ブリッジにした場合は目安として7~8年程度です。ブリッジは失った歯の周り(前後)の歯を削り土台にするので、削る量によっては歯の寿命が早まってしまう場合があります。少ない土台で失った多くの歯を支えるようなブリッジは、土台に過剰な力、負担がかかるためさらに寿命が短くなる傾向があります。

また、ブリッジは歯垢が溜まりやすい部分があり、清掃が難しいため、虫歯や歯周病になってしまう可能性があります。虫歯や歯周病が進行してしまうと土台が安定しなくなるため、長持ちさせることが困難になってしまう場合があります。

ブリッジも日々のブラッシングなどのメンテナンスをしっかりすることが、長持ちさせるカギとなってきます。

■入れ歯の場合

入れ歯の場合

部分入れ歯は、バネをかけて周りの歯や粘膜面で安定させるため、インプラントやブリッジよりも多くの面に接触します。

老化による骨吸収や、噛む癖により一ヶ所へ負担が集中してしまうなど、口腔内の変化に個人差があるため、寿命は一概には定義しにくいのですが、4~5年程度かもしれません。

入れ歯は、壊れてしまったり、合わないと感じたら、新しいものを作り直すのではなく、修理をして長く持たせていくのが一般的ですが、バネをかけていた歯を失った場合は人工歯を増やすなどの修理をすることが必要になるでしょう。

インプラントを長持ちさせる3つのポイント

インプラントを長持ちさせる3つのポイント

■定期的なメンテナンスで状態をチェック!
各治療が一段落した後は、定期的な検診でお口の状態をチェックしてもらいます。この定期検診の回数は、お口の状態によって異なります。担当の歯科医師の指示に従い、分からないことは相談することが大切です。

通院を怠ってしまった場合、虫歯や歯周病によるトラブルや、お口全体の変化(噛み合わせや歯並びなど)によるトラブルなどが起こることがあるため、治療箇所だけでなくお口全体に悪影響を与えることも考えられます。決められた定期検診を必ず受けることが、インプラントの寿命を延ばすポイントとなってきます。

※インプラント治療を始める前に保証に入られたかた、入ろうとお考えのかたがいらっしゃると思います。歯科医院での定期検診やメンテナンスを怠り、インプラントに何らかのトラブル、またはダメになってしまった場合は保証が受けられなくなってしまう可能性があります。契約した保証内容・規約にメンテナンスや予防に通うことが条件として記されているかもしれませんので必ず確認するようにしてください。

■セルフケアや生活習慣の改善
適切な治療を受けたとしても、いい加減なブラッシングや乱れた食生活を続けていると、トラブルが起こりやすくなります。歯科医師や歯科衛生士から受けた指導を守り、自分自身でも歯ブラシでの歯磨きだけでなく、歯間ブラシやフロスを使用しお口の中の清掃をこまめに行い、清潔に保つことがインプラントの寿命を延ばしていくうえで大事なことです。

喫煙をされているかたはインプラントを入れた機会にきっぱりと禁煙し、全身の健康管理を見直すのもいいでしょう。

■異変を感じたらすぐに歯科医院へ
しっかり定期検診やメンテナンスに通い、ご自身でのセルフケアを行っていたとしてもインプラントに違和感や痛みを生じることがあるかもしれません。そういった症状が長く続く場合には、定期検診のタイミングではなくても放っておかずに歯科医院へ連絡して状態を伝え、歯科医院で適切な処置をしてもらいましょう。

インプラントの寿命を長持ちさせるための歯科医院選び

インプラントの寿命を長持ちさせるための歯科医院選び

インプラント治療を受ける歯科医院を選ぶポイントとしては、「カウンセリングやCT撮影などの術前検査をしっかり行っているか」「信頼性の高いインプラントメーカーのインプラントを使用しているか」「インプラントの経験が豊富な歯医者さんか」がとても重要な要素となります。
費用が高額になりやすく、外科手術を伴うので、検査がいい加減で十分な実績がなく、品質の良くないインプラントを使用している医院を選ぶとトラブルが起きかねません。

困ったときや分からないときは、セカンドオピニオンを利用することをオススメします。

インプラントネットでは、インプラントに関するお悩みや疑問などをボランティアドクターが回答しておりますのでこちらのインプラントネット相談室も利用してみてください。

記事監修

歯科医師 古川雄亮


歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

【PR】フィリップス ソニッケアー
歯科専門家使用率NO.1

フィリップス・ジャパン

あわせて読みたい記事

メディア運用会社について

メディカルネット

株式会社メディカルネット(東証グロース上場)は、より良い歯科医療環境の実現を目指し、インターネットを活用したサービスの提供にとどまらず、歯科医療を取り巻く全ての需要に対して課題解決を行っています。

当サイト「インプラントネット」を通して生活者に有益な医療情報を歯科治療の「理解」と「普及」をテーマに、自分に最適な歯科医院についての情報や、歯の基礎知識、インプラントなどの専門治療の説明など、生活者にとって有益な情報の提供を目指しています。

インプラント歯科医院を探すなら「インプラントネット」

インプラント治療を行なっている歯科医院を、全国から簡単に検索できます。お近くのインプラント歯科医院をお探しの場合にもぜひご活用ください。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。