歯茎の切開は必要?不安や疑問を解消!

歯科では歯茎を切る治療も多く、インプラントを埋め込む手術もそのひとつです。
歯茎を切り開くというと、不安を感じますよね。

なぜ歯茎を切開するの?デメリットは?注意点は?といった疑問をなくして安心して治療を受けてみませんか?

この記事では不安を解消するために、歯茎の切開の基礎について解説します。

更新日:2021/06/23

歯茎の切開は必要?不安や疑問を解消!

■目次

  1. なぜ歯茎の切開をするの?
  2. 歯茎の切開をするメリット
  3. 歯茎を切開するデメリットはある?
  4. 歯茎の切開をした時に気を付けたいポイントとは
  5. 歯茎の切開をする治療は多い
  6. 歯茎の切開をしないインプラント手術とは
  7. まとめ

なぜ歯茎の切開をするの?

歯科治療では歯茎を切開する治療が多くあります。

身近なところでは、埋まっている親知らずを抜くために歯茎を切開するのが有名ですよね。
そのほかにも、歯周病の治療や薬の副作用などで歯茎が大きく腫れたり増殖している時などにも行われています。

では、なぜ歯茎を切開するのでしょうか?

1つ目は、治療に必要な視野を確保するためです。
歯茎で隠れている場合、歯茎を切らなければ目で見て治療を行うことができないため、治療の質が低下してしまったり、治療に時間がかかり患者さんの負担となってしまうことがあります。

2つ目は、歯の根や根の先など歯茎に埋まっている部分を治療するためです。
歯茎を切り開いて治療が必要な部位を露出させることで治療が可能になるケースですね。

歯茎の中に溜まってしまった膿を取り出すために行うこともあります。

3つ目は、虫歯治療のあとなど歯にピッタリ合う被せ物を作製するためです。
上記2つに比べて小さな歯茎切開です。

被せ物は、患者さん1人1人の歯型を採取してピッタリと合う被せ物を作りますが、型を取りたい部分に歯茎が重なっていると型取りができず、合わない被せ物が出来上がってしまいます。

インプラント治療では視野の確保のほかに、歯茎を切り開いて骨を完全に露出させて骨の形を整えるためなどでも行います。

また、インプラントを埋め込んだ後に歯茎で覆い縫い合わせることで細菌がインプラントの周りに入り込む可能性を減らせます。
細菌が入り込まないことで、術後の感染対策にもなります。

歯茎の切開をするメリット

治療において歯茎を切開するのには、それぞれメリットがあるからです。

例えば歯周病治療では、歯茎を切開して視野を確保することで、歯垢、歯石、感染組織などの汚れの取り残しを減らすことができます。

部屋の掃除でも、見えない汚れを完璧に取り除くことはなかなか難しいですが、見えている汚れは取り残しにくいですよね。

同じように、お口の中で行う治療は視野を確保する(治療部位を目で見えるようにする)ことで、治療のクオリティを上昇させることができるといえるでしょう。

虫歯治療では、詰め物や被せ物の型を正確に採得するために歯茎の切開を行います。
余分な歯茎を切り取ることで、患者さん1人1人の歯にぴったりと合う被せ物を作ることができるんです。

合わない被せ物は虫歯の再発の可能性を高めてしまうため、ぴったりと合う被せ物を作製することは非常に大切です。

インプラント治療の際の歯茎の切開では、上記でご紹介したようにインプラント術後の感染の可能性を減らすことができます。

また、歯茎の切開によって骨を露出させることで骨を増やす治療や、余分な骨を除去する治療を行えるようになります。
インプラントを行うための顎の骨が足りない方でも、歯茎の切開を伴う処置を行うことでインプラント治療を受けることができるかもしれません。

歯茎を切開するデメリットはある?

治療を効果的に進められるなどメリットが多くある歯茎の切開ですが、デメリットもあります。

歯茎の切開を行う際は麻酔をするため痛みを感じることはありません。
しかし、麻酔が切れると歯茎の切開をした部分に痛みを感じたり、少ししみることが。

痛みの強さの感じ方は人それぞれですが、痛み止めを飲むなどの対応が必要になることがあります。

歯茎の切開後にお口の中の清潔が保てないと化膿してしまい、強い痛みへと変わってしまうケースもあるので注意が必要です。

大きく歯茎の切開をした場合は、歯茎を縫い合わせている糸に違和感を感じることもあります。

また、歯茎を切ったところが腫れてくることがあります。
親知らずを抜いた後は腫れるとよく耳にしますよね。

歯茎を切るだけでは腫れることはあまりありませんが、親知らずの抜歯の後の腫れは骨を削る、骨に刺激が加わるなど炎症反応を起こす治療が同時に行われると腫れる原因となるのです。

歯茎の切開をした時に気を付けたいポイントとは

歯茎の切開を伴う手術の後は、いくつか気を付けておきたいポイントがあります。

まず、麻酔が切れるまでは飲食を控えるということです。
辛いものや柑橘類など刺激物も当日含めて2~3日は控えましょう。
お酒や長風呂など血行が良くなる行動も1週間ほど控えると良いですよ。

歯茎の切開をした後はタバコも我慢することが大切です。
タバコは血管を収縮させるため傷口の治りが遅くなってしまいます。

禁煙の期間は一般的には歯茎の切開後~糸を取り除く(抜糸をする)までですが、傷の状態によって異なりますので歯科医師の指示に従ってくださいね。

また、抜糸までなるべく傷口を触らないようにすることも大切です。

麻酔後の感覚が気になったり、糸が気になり指や舌で触ってしまいがちですが、触ると傷口から感染してしまうかもしれません。

歯磨きの時も、歯ブラシで歯茎を切ったところに強く当たらないように注意しましょう。

ぶくぶくうがいは傷口を刺激してしまうので避けてくださいね。
歯磨き粉の使用や、アルコールの含まれている洗口液なども刺激となることがあるので2~3日は使わないようにしてください。

口に水を含んでお口の中を一周させ、軽く吐き出す程度にしておくと安心ですよ。

歯茎の切開をする治療は多い

上記でも少しご紹介しましたが、歯科治療では歯茎の切開はさまざまな場面で行われています。

・親知らずの抜歯
・歯周病治療
・虫歯治療
・根尖病巣
・歯根端切除術
・インプラント埋入


このほか、生えてこない歯の抜歯や過剰歯(通常より多い歯)の抜歯、歯茎にたまった膿を取り除く際にも行われます。

また、病気ではありませんが骨隆起と呼ばれる、食いしばりや歯ぎしりなどの刺激によって盛り上がった骨を取り除くなど、さまざまなケースがあるのです。

治療にどうして歯茎の切開が必要なの?と疑問や不安を感じたら、歯科医師に聞いて納得・安心してから治療を受けてくださいね。

歯茎の切開をしないインプラント手術とは

上記ではインプラントを埋め込む手術の時に歯茎の切開をするケースをご紹介しましたが、
歯茎を切開しない「フラップレス手術」という治療方法もあります。

フラップレス手術は歯茎を大きく切り開くことはなく、インプラントを埋め込むための最小限の穴を歯茎に開けて、そこからインプラントを埋入するというものです。

フラップレス手術のメリットは、歯茎を切らないので患者さんの負担が小さく、治療後も歯茎を縫合する必要がない(抜糸が必要がない)という点です。

手術にかかる時間も歯茎を切開するフラップ手術に比べて短時間で済み、腫れや痛みも軽減します。
糖尿病に罹患していたり血圧に問題を抱えていたりする患者さんの場合、フラップレス手術であれば対応できる可能性も。

フラップ手術にもフラップレス手術にもメリットデメリットがあり、患者さんのお口の中の状態によってどちらで行うかが決まります。

歯茎の切開に強い不安を感じる場合はフラップレス手術を行うことができないかどうか、歯科医師と相談してみても良いかもしれません。

フラップレス手術が行えない場合も、なぜ歯茎の切開が必要なのかをよく理解することで、治療への不安が解消されるかも。

まとめ

虫歯や歯周病のようなポピュラーな病気の治療をはじめ、さまざまな場面で歯茎の切開が行われています。

歯茎の切開と聞くと大きな治療に感じられるため不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、歯茎切開にはメリットもたくさんあります。

メリットデメリットや術後に気を付けたいポイントをよく知ることであなたの不安が少しでも解消されていれば幸いです。

気になる点や不安な点をなくして、安心できる歯科治療を受けられてくださいね。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。