サイナスオーギュメンテーションおよびネーザルエレベーション

サイナスオーギュメンテーションは、上顎洞という上顎の骨の中にある空洞を底上げする手術です。
歯を失い、使わなくなった顎の骨は痩せ細ってしまいます。上顎の骨が痩せて厚みが十分に無い場合に上顎洞を底上げしインプラントを埋め入れるためのスペースを確保します。
方法としては、上顎洞の側方から移植骨や骨補填材によって上顎洞底を底上げするウインドウ・テクニック、骨補填材を使用せず上顎洞底を底上げするサイナス・インパクションがあります。
とくにサイナスインパクションは、患者様への負担の少ない上顎洞底を持ち上げる手術法ですが、この手術法を行える歯科医師はわが国ではほんの数人です。
一方、ネーザルエレベーションは鼻腔を底上げする手術で、前歯にあたる部分の上顎の骨が痩せている場合にサイナスオーギュメンテーション同様インプラントを埋め入れるスペースを確保する方法です。

更新日:2019/09/20

■目次

  1. CASE1 女性、76歳の場合
  2. CASE2 男性、35歳の場合

CASE1 女性、76歳の場合

上顎に3本、下顎に8本のインプラント計11本を抜歯と同時に埋め入れました。左上(向かって右上)のインプラントには、サイナスインパクションを行っております。手術中は静脈内鎮静により眠っていらっしゃいました。術後もすっきり目覚められ、痛みも不安も全くなかったと喜んでお帰りになられました。術後の経過も大変順調です。

治療前

治療後

CASE2 男性、35歳の場合

上顎左右の奥歯が歯周病でぐらぐらになり抜歯になりました。歯周病は骨を溶かす疾患ですので、インプラントを植立する場合に骨が足りないことがよくあります。このケースも足りませんでしたので、ウィンドウテクニックにより上顎洞底(写真上で抜歯した歯の上部周辺に白く見える横に走っている線)を持ち上げてインプラントを埋め入れました。写真上では上顎洞を突き抜けたように見えますが実際には写真には写らない大変薄い上顎洞粘膜を丁寧に持ち上げているので突き破ってはいないのです。

治療前

治療後

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。