フミパパさん(東京都)の相談

カテゴリ:治療後のトラブル

お世話になります。
今年の3月末に、右下の奥から3本インプラント(AQB)を埋め込み、10日間ほど痛みは続いたものの、痛み止めを処方していただき軽快いたしました。その後、5月上旬にクラウンを装着し、治療終了となりました。
ところが、一番奥の歯だけが硬い物等を噛んだ時、また、内側、外側から指でおすと痛みが走るので不安になり、数日後、再度受診し、症状を訴えたところ、噛み合せの調整をしていただき、もうしばらく様子をみるようにとのお話でした。
しかし、ホームページ等でインプラントについて色々と調べてみますと、治療の終了時点で「硬い物が噛めない」という例はないようですが、先生のおっしゃるととおりに様子を観たほうが良いのでしょうか。あるいは、失敗であったとか、別の原因が考えられるのでしょうか。今後の対処についてアドバイスをよろしくお願いいたします。

ご質問ありがとうございます。

インプラント治療がうまくいっていると、噛むと痛くなったり、歯ぐきを押さえると痛くなったりすることはありません。
そのような症状を認めた時は、何かがうまくいっていません。
待っても改善されないため、何らかの改善策が必要になります。

原因を推測します。
下あごの奥の内側は凹んでいます。ですから、前2本のインプラントと同じ方向にインプラントを埋め込んで行くと、インプラントの先端が骨から突き抜けてしまうことがあります。内側の下の方の歯ぐきを押して痛みがあったり、膨らんでいたりすると、先端が骨から出ているのかもしれません。
このように、内側が凹んだ下あご骨の場合、2ピースインプラントを使用すべきです。骨の方向に沿ってフィクスチャー(根の部分)を埋め込みます。そして、アバットメント(軸の部分)で埋め込み角度を補正します。しかし、AQBのような1ピースインプラントの場合は、角度補正ができないだけでなく、前のインプラントの方向につられて、埋め込みの角度を誤りやすいと考えます。

下あごの大臼歯部の骨幅は奥にいくにつれて、狭くなっています。インプラントの周囲に骨が1mm以上なければ、骨吸収してしまい、骨結合は獲得できません。インプラントの直径は適切だったのでしょうか? 
また、下あごの奥の骨は血の巡りの悪い、硬すぎる骨の割合が多くなります。ですから、骨結合までの時間をやや長めにとる必要があります。3月末から5月上旬ということは、1ヶ月強の期間で最終上部構造を装着しています。AQBのマニュアルには、そのように書いてあるのでしょうが、典型的な症例の場合です。本症例では、治癒期間が短すぎることも原因と思います。3ヶ月間という従来からの治癒期間を守るべきだったか、仮歯でまず荷重をあたえ、様子をみるべきだったと考えます。

解決策はあるのでしょうか? このような場合、2ピースインプラントでは、アバットメントを除去して、歯肉でフィクスチャーを被覆、荷重を受けないようにし、更に治癒期間をおきます。しかし、AQBのような1ピースインプラントでは、アバットメントとフィクスチャーが一体化しているため、バラして、フィクスチャーだけを沈めることができません。このてのインプラントは、どうにもならないのです。

今なんとか噛めているのは、一番奥のインプラントが骨結合を獲得しているからではなく、前の2本とクラウンで連結されているためとも考えます。
痛みが慢性的になって、再治療になることも考えられます。
そのときは、2ピースインプラントを使用している医院で、骨造成の技術のある歯科医師から治療を受けてください。



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