nekoさん(兵庫県)の相談
奥歯2本が無い状態で親知らずと前の2本でブリッジして10年以上経過しました。
今回前2本のうち1本の根っこが割れて抜歯の可能性があると診察されました。そうなるとブリッジは外すことになるので、入れ歯かインプラントになると言われましたが、年齢的に入れ歯は避けたいのでインプラントにするつもりです。
今回診察されたのは5年以上定期メンテナンスを受けているかかりつけ医で、全国の名医にランキングされたこともある院長の歯科です。
信頼性が高い歯科ですが、どちらかというと予防歯科に力を入れていて、インプラントは外部医師の方が週1回来られて施術されているのみです。
とても優しくて丁寧な説明だったのですが、あまりにも良心的な値段にかえって不安になり、別の医院にも話を聞いたところ、内容に差があり、かえって迷いがでてしまいました。下記の疑問点について教えていただければ幸いです。
1.費用(土台・施術費・カブセものセラミック)
かかりつけ 20万 ・ セカンド 35万
2.メーカー
かかりつけ AQB(国産)・セカンド ノーベルバイオケア(スイス
3.施術時の医師
かかりつけ 1名+衛生士
セカンド 2名+歯科技工士1名+衛生士
4.レントゲン
かかりつけ 2次元写真のみ ・ セカンド CT撮影(費用別途
5.治療計画書
かかりつけ 出していない。 ・ セカンド 作成中
比較は以上です。私としては費用が安い方が良いに決まっているのですが、安全性を考えるとセカンドオピニオンの説明の方が安心できます。
ただ、かかりつけ医からは
「(私は)下顎の骨がしっかりしていて比較的若いので、安全に装着できる可能性が高い。100例ほど経験があるが今まで1度も失敗したことが無いので安心してほしい。」
と言われました。
確かに、リスクが極めて低いならば安い方が良いですし、歯科医にとっては高く値段を設定できるものをわざわざ良心的な設定にされているところは信頼できる気もします。
セカンドの方は少々パフォーマンス的な感も否めません。また、かかりつけ医が使用する国産メーカーのAQBについては、あまりよくないという評判もありますが、この辺りはどうなのでしょう?
国産の方がアフターサービスを受ける等の連携しやすいとの説明も受けました。AQBはチタン表面にハイドロキシンアパタイトをコーティングしていて骨とくっつきやすいという説明も受けましたがどうなんでしょう?
この辺りが素人では判断がしにくいので、専門医のご意見をいただけたら嬉しいです。
長い間同じ場所でインプラントに携われている歯医者さんを選択したいと思います。実際の症例を見せていただける医院は安心できますよね?アドバイスをいただきありがとうございました。
- コイケ歯科医院
- ( 兵庫県 明石市 )
- 2009年01月15日12時56分
1.認定医制度について
各医院のHPを見ると、日本口腔インプラント学会認定医、SPIインストラクター認定医、AIAI認定医、アジア口腔インプラント学会認定医 等、認定医制度がいくつかあるようなのですが、ここから先生の経験等を推し量ることができるのでしょうか?
回答 少なくとも私コイケの回答です
認定制度は政治的個々団体の経済的背景が強くそれで医師の技量を推量不可能だということです玉石混合なのは世の常です。
2.現在から10年先のことを考えるとエクスターナルシステム(ネジ式)が良い。将来的にはインターナルシステムが主流になるが、絶対的優位性をもったメーカーが出て来ない。⇒メンテのことを考えるとエクスターナルシステムが良いという理解でよいのでしょうか?
回答 私の意見はそのとうりです
だから私はグローネ・マルクと互換性のあるメーカーを使っています。
3.骨とくっつきやすいというハイドロキシタンアパタイトコーティング製品を薦められる医院は選択しない方が良いですか?
ハイドロキシアパタイトコーティング インプラント(HAimplant)は前歯部においては画期的なダメージの少なく良好な治療が可能です。
私もケースを選び白鳳社の輸入品を使用しております。
しかし、感染に弱い側面があり単に骨と結合しやすいからと言ってインプラント初心者の医師が使用するのは問題だと考えます。
文責
医療法人社団 コイケ歯科医院
朝霧インプラントセンター
小池 健夫
もし通院が可能な場所に先生の医院があれば是非診ていただきたいのに残念です。
つまり、ブローネマルクシステム(ノーベルバイオケア社)もしくは互換性のあるメーカーのものが良いということですね。
日本だけでなく世界で使われつづけているシステムだということですから、信用できるということですね。よくわかりました。
あつかましく追加で質問させていただいてもよろしいでしょうか?
1.認定医制度について
各医院のHPを見ると、日本口腔インプラント学会認定医、SPIインストラクター認定医、AIAI認定医、アジア口腔インプラント学会認定医 等、認定医制度がいくつかあるようなのですが、ここから先生の経験等を推し量ることができるのでしょうか?
2.現在から10年先のことを考えるとエクスターナルシステム(ネジ式)が良い。将来的にはインターナルシステムが主流になるが、絶対的優位性をもったメーカーが出て来ない。⇒メンテのことを考えるとエクスターナルシステムが良い
という理解でよいのでしょうか?
3.骨とくっつきやすいというハイドロキシタンアパタイトコーティング製品を薦められる医院は選択しない方が良いですか?
お忙しい中、しつこくご質問して申し訳ございませんが、よろしくお願い申し上げます。
- コイケ歯科医院
- ( 兵庫県 明石市 )
- 2009年01月14日19時40分
こんにちは
なるほど、どのインプラントシステムを選びどういった価格設定にするかは歯科医師自身が自問自答し、それぞれの医師が回答を持つ側面があります。
ここからの回答は私自身がインプラントシステムを選択した根拠を述べたものであり、私個人の意見だと言うことをまずご理解下さい。しかし、専門家(同業者)の反論にはいつでも公の場で論議する姿勢は持っております。
以下、私が書いた「まちがいだらけのインプラント選び」から引用します。読みにくければ「間違いだらけのインプラント選び」を検索して下さいね
ちなみにノーベルバイオケア社の製品がブローネマルクシステムです。それと、レントゲンはCTの必要性は必ずしも無く、オペのスタッフも執刀医の技量とは相関は無いと考えます。
治療計画書も医師の几帳面さを現す指標であり技量とは相関しないと思います。
- 間違いだらけのインプラント選び -
患者さんはドクターを選ぶと同時にインプラントシステムをみずから選ぶことになっているのです。
まずそのことに気がついてください。
だから、インプラントという工業製品の製造メーカーを選ぶ知識を持つ必要があると思うのです。
ぼくの意見の結論を先に言うとファーストチョイスは世界で一番売れているものと互換性のあるものを使えと言うことです。
たとえば一眼レフのカメラで言うと、キャノンのイオスにすべだと言うのが私の意見。
いい写真を撮ることを目的にすれば、マミヤやペンタックスでもいい。
その交換レンズやプリンタなどの周辺機器の普及性より個人の思い込みやこだわりがプロの作品となりえるからです。
ところが、体内に埋入する医療器具となればこれは話は別です。
しょせん歯科医の寿命はあなたがこれから入れるインプラントの寿命より短いことが多々あるのです。
転居だってあるわけです。
その時にメインテナンスや更なる加療が必要となることは必至です。
だから、今のところこの10年はインプラントの世界的なシェアNo.11のブローネマルクシステムかそれに互換性のあるメーカーを選ぶべきだと言うことです。
互換性のあるメーカーは、3i・ライフコア社・GC・ステリオス、その他です。
コピーメーカーのクォリティですが、現在の評価の問題はないと私は考えます。
インプラントシステムNo.1シェアのブローネマルクとその互換性メーカーについてもうすこし解説しますね。
ブローネマルクとは純チタンの金属が骨と直接結合し得ることを発見し、1965年に臨床応用したスェーデンの整形医の名前です。
このシステムとともにインプラント治療は発展してきました。
インプラントの論文もこのシステムについてなされることが多く、更に驚くべきはその基本的デザインはこの40年間ほとんど変ってないということです。
その基本設計がいかに先進性があったかがうかがえます。
しかし、私が思うには30年の先進性はあってそこが限界だとも思うのです。
もともとこのシステムは下顎無歯顎ケースのために開発されました。いつの間にかその適応範囲は拡大しました。
これは開発者ブローネマルク教授も想像さえしていなかったはずです。骨内に埋入するインプラント体をまずアバットメントという器具をネジ固定し、更に人工歯もゴールド製のネジで固定するというものですが、能力を超える強い外力が加わった時にこの二つのネジが緩んだり折れたりしてくれることが安全機構になると言うのがそのコンセプトなのです。
ところが少なくともアバットメントスクリューは緩んでほしくないというのが現実の臨床家の声です。
実際1歯欠損やネジではなくセメントで人工歯を接着する方法を選択するスタイルができてきて、なおさらその要求は強くなりました。そこで、登場してきたのがインターナルヘックスという緩みにくいアバットメントのシステムです。
次世代のインプラントは間違いなくインターナルヘックスでインプラント体表面は粗なものになると私は考えるのですが、残念ながらインターナルヘックスのメーカーの圧倒的な勝ち組のメーカーがなくその互換性はまったくありません。
インプラントメーカー各社は次世代の製品に対して規格の統一をお願いしたいです。
少なくともネジ回しぐらいは統一してほしい。
トヨタもベンツもGMも少なくとも同じレンチでタイヤ交換できるでしょ。
ところがインプラントは各社違うというのは患者さんの利益を損なっているとしか思えません。
最後に旧タイプともいえるエクスターナルヘックスの利点をひとつ述べておきたいです。
インターナルヘックスはインプラント体とアバットメントの間に遊びがおおきい(微細な空隙がある)これは多数のインプラントの上部構造を連結して作成する場合にその上部構造の誤差を吸収してくれるのです。
これが大事なファクターだということは多数歯欠損ケースを経験しているドクターならうなずいていただけるはずである。
多数歯をネジ固定で治療するならエクスターナルヘックスのブローネマルクが最適
結論
インプラントシステム
インターナルヘックス → ネジが緩みにくいという優位性はあるがまだ依然として断然優位なメーカーが決まっていない。
メーカー間の戦国状態で規格も不統一。
エクスターナルヘックス→ ブローネマルクというNo.1シェアと歴史を持つメーカーが業界のスタンダードと現在言える。
この優位性はネジ固定で使用してはじめて生きてくる。
アバットメントの緩みにくいインターナルヘックスのメーカーについて話しますね。
次世代のインプラントは間違いなくインターナルヘックスでインプラント体表面は粗なものになると私は考えるのですが、残念ながらインターナルヘックスのメーカーの圧倒的な勝ち組のメーカーがなくその互換性はまったくありません。
今後の残っていきそうなメーカーから挙げていきますね。
[アストラ] 公的機関で使用している場所も多い。
私も使っている。
ヨーロッパ発のメーカーでコンセプトがブローネマルクに似ている(表面性状や純チタンを使用していることなど)と思う。
[ITI] その発展の歴史の中でモデルチェンジが多かった。
今のデザインは信頼できるのでしょうが、GBR(骨再生方法の手技のひとつ)を得意とする私には1回法はなじまない。
ブローネマルクが販売前に厳密な研修を義務化しているに対してどの歯科医師も購入できるため稚拙なケースを多く目にするのもこのシステムのような気がします。
[京セラ] 国内シェアNo.1ですが、海外で売れて初めて認められるとおもうのだが。
しかし、ブローネマルクよりブラストの技術(インプラント表面処理の技術のひとつ)は早かった。
がんばれ日本メーカー!
<ネジ固定かセメント固定か>
工歯部をインプラントに固定の方式なのですが、人工歯をインプラントにセメントで接着してしまうものとネジで固定するものがあります。
ブローネマルクシステムは大切な骨に結合するインプラント体を外傷から守るためネジは緩むもの、時として破損するものと考えられてきました。
そういうことで、冠をセメントで接着するセメント固定式とはそもそも相性が悪いのです。
前述のようにファーストチョイスはシェアNo.1のブローネマルクかそれと互換性のあるメーカーにすべきですので、当然固定システムはそれと相性のいいネジ固定となります。
実際セラミックが欠けた等のトラブルの時、ネジで人工歯が可撤式なのは非常に助かります。
結論
インプラントシステムのファーストチョイスはブローネマルクシステムかそれと互換性のあるコピーメーカーを上部創造ネジ固定(ネジ可撤式)で使用すべき!
セメント固定を選択するならむしろインターナルヘックスのメーカーを選ぶべきだが決定的な勝ち組のメーカーが存在ない。
朝霧インプラントセンター
小池 健夫