ももさん(宮城県)の相談
上顎前歯4本をインプラントにしようと思っています。今現在は義歯をいれていて、義歯の針金をかけているブリッジの歯もぐらついている状態です。。
前歯の歯茎は抜糸から時間がたっているので厚みがありません。一つ目の病院では4本のうち一部をベニアグラフトで骨移植(牛の骨)、もう一つの病院では自家骨(オトガイ部)移植をすすめられました。人工骨(牛の骨)にするか自家骨にするか迷っています。。
自家骨移植のリスクはどんなことがありますか?またその確率は?
牛の骨は頑丈なのでしょうか?インプラントをした予後の骨吸収は自家骨・牛の骨ではどちらが進行が早いのでしょうか。。。
長持ちするのはどちらなのでしょうか?教えて下さいm(__)m
-
- しろくま歯科医院
- ( 福島県 郡山市 )
- 2013年04月26日10時13分
この1ミリというのは、長さが1ミリなのか、厚みが1ミリなのかが分からないのですが、一般的には厚みのことを指す場合が多いので、厚みの話しをさせて頂きます。
一般的にインプラントの直径は、インプラントメーカーにもよりますが、3ミリから6ミリまで様々です。
しかし、今後の事を考えると、出来ればレギュラーといわれる4ミリ前後のインプラントを選択したいところです。
また、インプラントの直径より最低2ミリは余裕が欲しいです。最低4ミリのインプラントを埋入する場合、6ミリの骨幅が必要になります。
現在、ももさんは、1ミリなので5ミリの骨幅を追加しないといけないので、人工骨では厳しい厚さです。
そのため、優先的に自家骨の移植ということになります。
骨の移植に関しては、やはりある程度の施設の充実と術者のスキルは高い方がよいかと思います。
ただ、開業医でも条件が揃えば出来る施術なので、お近くの先生に相談してみるのも良いかもしれません。
それと、自家骨移植のもう一つ大事な要素があります。
術後のことです。
一つ目は、自家骨が生着せずに脱落(失敗)してしまう原因として、感染と無理な加重があります。
術後に無理な状態にならないように、担当医とよく相談する必要があります。
場所が前歯部なので、自家骨が生着し、インプラントを埋入するまでの間の前歯の状態をどうするかをよく話しあう必要があります。そこで術部に負荷がかかる前歯を選択しないようにしないといけません。
それと、自家骨を移植した直後なのですが、移植骨を取った場所、(下顎の前歯部、臼歯部)がかなり腫れたり、内出血を起こす可能性があります。そのため、術後に無理なスケジュールは入れない方が無難だと思います。
もし、直後に旅行や大事な用事がある場合は、そうした用事を済ましてから、手術をすることをお勧めいたします。
術後のスケジュールは余裕をもって設定してください。これも感染を防ぐとても大切な準備です。
また、質問がある場合は、何でもご相談くださいませ。

私の場合は厚さが1ミリと言われました、、、以前インプラントに失敗して骨がごっそりありません(涙)この場合は自家骨のほうがいいのでしょうか?
大学病院などに行ったほうがいいのでしょうか?
-
- しろくま歯科医院
- ( 福島県 郡山市 )
- 2013年04月19日10時44分
前歯部へのインプラント手術に関するご質問ですね。
とてもお悩みの様子、よく理解出来ます。
実は、私も前歯部にインプラントの手術を受けました。
しかも、骨の状況は、ももさんと一緒で全く骨が無い状況でした。
自分の体験も含めて、私の考える前歯部インプラントの造骨についての意見をまとめたいと思います。
人間の歯槽骨(顎の骨)は、抜歯すると、歯の抜けた穴を埋めるために、骨の吸収が始まり、薄い骨はその吸収が著名です。前歯の骨は、健康な状態であっても数ミリしか厚みがないので、すぐに吸収し、無くなってしまいます。
インプラントをする場合には、骨がないとインプラント体を固定出来ないため、最低限の厚みは必要になります。
それは、前歯であっても同じで、それ相当の骨量は必要です。
そのため、前歯部の骨量が足りない場合は、骨をグラフトといって移植するか、人工骨で造骨するかという選択になります。
その選択ですが、ある程度骨が残っている場合は、人工骨を選択し、骨量が圧倒的に足りない場合は、オトガイ部や下顎の親知らず付近からの骨を移植(グラフト)を行う場合が多いです。
やはり、自家骨の移植は、骨を採得する位置によっては、かなり腫れたり、麻痺が出たりする場合が多いので、人工骨を使用する先生が多いのは事実です。
しかし、自家骨を利用するメリットもあります。
もう一度復習しますが、抜歯部位の骨は、抜歯後放置すると吸収してしまいます。それは生体の生理的順応のためです。しかし、一度骨を体から切り離すと、自分の骨であっても生理的吸収はなくなるので、吸収することがありません。また自分自身の骨なので生体親和性もとても高く、生体拒否反応のリスクはほとんどありません。従ってインプラントを埋入した後でも吸収せずに残ります。
人工骨はあくまでも、インプラントを埋入する際の足場に過ぎません。いずれ、ゆっくりと人工骨は体に吸収され、自分の骨と置き換わって行きます。そのため、長期の経過観察が必要となります。しかし、多くの臨床データでは、良好な値が出ています。
自家骨か人工骨かの選択ですが、圧倒的に骨量が足りない場合は、ベニアグラフトを行うしかありません。ただ、圧倒的に骨量が足りないというのはレアケースになりますので、あとは、ももさんの、どのような手術をしたいか・・・・という気持ちが大切ではないかと思います。
また、最近多く行われる手術では、歯肉の移植を同時に行い、足りない骨量を補うという方法もよく行われます。
私自身のインプラントについての感想ですが、インプラントを選択してとても良かったと実感しています。何でも噛めますし、見た目もきれいです。
ただ、自分で気をつけているのは、インプラントは自分の歯より、いろんな面で劣っていることがあります。自分の歯ですら残せなかったのですから、抜歯前と同じ生活を送っていると、インプラントも後に駄目になると思います。そのため、
インプラントには細心の注意を払って生活しています。定期的なメンテナンスはもちろんのこと、夜間のスプリント(マウスピース)のようなものを装着したりするケアは必要なことだと思います。