ねぎさんの相談
質問させていただきます。この度前歯のインプラントをして、今土台の部分のみが入っている状態です。そこで、歯になる部分の素材を選ばなければならないのですが、ジルコニア ボンドセラミックかフルジルコニアを勧められました。インプラントの両隣の歯が差し歯で、保険診療内の差し歯です。
インプラントの歯を、ジルコニアボンドセラミックにすると、自然に近い色にできると勧められたのですが、その両隣の歯が人工の歯だと、インプラントの歯だけが自然になっても、隣の歯と合わないのではないかと思うのです。皆さんの意見をお聞きしたいとおもいました。よろしくお願いいたします。
- 医療法人社団一英会 佐久平センター歯科
- ( 長野県 佐久市 )
- 2018-07-04 12:12:00
噛み合わせの状態、仮着するか否か、隣在歯の状態によって今後どのような治療の可能性があるか等、担当の先生がご判断されると思います。それによっても推奨される材料は変わりますから、患者さんサイドとしては、それらを踏まえて与えられた選択肢の中から、見た目や清掃性(口腔清掃が下手な人は審美性より清掃性を優先する)などを観点に選べば良いでしょう。
材料学的にはインプラント体、アバットメント、上部構造物は可能であれば似た性質のものが良いです。チタン及びチタン合金の土台に保険で使われている金属が接触すると、それらの電位差のために金属の溶出、腐食、骨吸収などが起こると示唆されています。インプラントの上部構造物は、例え保険診療で使われているものと全く同じ組成のものでも保険で給付されませんので、必要な条件を満たすものを選びたいところです。
チタン及びチタン合金に近い金属やジルコニアに陶材を前装したものは色調再現性に優れていますがチッピング(小さく欠ける状態)が生じます。フルジルコニアであれば、ほぼこのチッピングは生じませんが、硬い材料であるが故に噛み合わせる対顎の歯を削ってしまうこともあります。
※但し、仕上げ研磨されたジルコニアの方が陶材より対顎歯エナメル質を摩耗させないとの報告もあります。
近年では陶材を積層しなくても色調に優れたジルコニア材料もありフルジルコニアクラウンが可能になっています。審美的要求が高くなければ提案された陶材を使用しないフルジルコニアクラウンで良いのではないでしょうか。