インプラントとはどんな治療法?ブリッジ・入れ歯との違いも解説

抜けた歯の代わりとなる人工歯をセットする治療のひとつが、インプラントです。よく聞く治療方法ではありますが、古くから知られている入れ歯やブリッジに比べると「インプラントがどういうものかよくわからない」という方もいらっしゃると思います。インプラントと入れ歯やブリッジは、どのような違いがあるのかを解説します。

更新日:2024/12/05

インプラント 治療法

■目次

  1. インプラントとはどんな治療法?
  2. インプラントの構造・素材
  3. インプラントの治療期間
  4. インプラント治療にかかる費用
  5. インプラントとブリッジ・入れ歯の違い
  6. ブリッジ
  7. 入れ歯(義歯)
  8. インプラント・ブリッジ・入れ歯の比較一覧表
  9. インプラント治療の流れ【8STEP】
  10. STEP①カウンセリング
  11. STEP②検査
  12. STEP②検査
  13. STEP③治療計画
  14. STEP③治療計画
  15. STEP⑤治癒期間
  16. STEP⑥型取り
  17. STEP⑦上部構造の装着
  18. STEP⑧メンテナンス
  19. まとめ

インプラントとはどんな治療法?

インプラント 治療法

インプラントは、フィクスチャー(人工歯根)を顎骨に埋めて上に被せ物(人工歯)をセットする治療方法です。インプラントの大きな特徴は、天然歯と同様にしっかり噛むことができ、快適にお食事などを楽しめることです。

また、隣の歯を削って被せるブリッジのように残っている歯を削る必要もありません。入れ歯のように取り外すこともありません。

ただし、顎骨にフィクスチャーを埋入するための手術が必要になり、全身疾患がある方はすぐに手術を受けられない場合があります。また、公的医療保険が適用されず基本的に自費診療となること、治療後にしっかりケアをしていないとインプラントが抜け落ちることがあるなど、注意すべきデメリットがあります。

インプラントの基本的な情報については、こちらのページをご覧ください。

インプラントの構造・素材

インプラントの一般的な構造は、顎の骨に埋まっている部分(人工歯根)のフィクスチャー、フィクスチャーの支台になるアバットメント、そしてアバットメントの上にセットする上部構造(人工歯)からなります。

フィクスチャー部分は、主にチタン合金で作られています。チタンは生体親和性が高いので生体組織への悪影響が少なく、金属アレルギーのリスクも低いです。上部構造は自然な白さに見えるセラミックのほか、レジンや金合金などの素材が使用されます。

インプラントの治療期間

インプラントの治療期間は症状により違いがあります。顎骨に埋入したインプラントが定着するのを待つ「治癒期間」は一定の日数を必要としますが、骨の状態によっては期間が長くかかる場合があります。大まかな治療期間としては、下顎が約3ヵ月ほど、上顎が約6ヵ月ほどでしょう。また、骨の量が少ないケースでは骨造成という治療が必要であり、実施すると治療期間が延びます。

参考:PDI埼玉歯科診療所

インプラント治療にかかる費用

インプラントは1本あたりの治療費で算出するのが一般的です。基本的に自費診療となるため、公的医療保険適用の治療に比べると費用が高くなります。1本あたりの相場としては30万円~40万円くらいを考えておくとよいでしょう。

このように、公的医療保険適用診療に比べると経済的な負担が大きい治療ですが、見た目(美容目的)でなく噛み合わせ(不正咬合)を改善する目的であれば、医療費控除の対象になります。確定申告で控除を申請することで、負担を軽減できる場合があります。

2024年5月 株式会社メディカルネット調べ

インプラントとブリッジ・入れ歯の違い

歯がなくなった場合の治療方法は、インプラントのほかにブリッジや入れ歯があります。それぞれ特徴があり、メリットやデメリットが異なります。

ブリッジ

両隣に残っている歯を土台にして、ブリッジを被せて人工歯を装着する治療方法です。保険診療も可能で、10,000円~30,000円ほどで作ることができます(失っている歯の本数や箇所で費用が大きく異なります)。一般的に数回の治療で済み、約1ヵ月~2ヵ月ほどかかります。

しっかり固定できるので強く噛めて、入れ歯を装着するのに比べると違和感を軽減できます。ただし、ブリッジの土台となる天然歯を大きく削らなければなりません。さらに、噛んだときの負担が土台にかかるので、歯が割れたりします。健康な歯の寿命を縮めてしまう可能性があります。また、隙間に汚れが溜まりやすく虫歯や歯周病になるリスクがあるデメリットもあります。


2024年5月 株式会社メディカルネット調べ

入れ歯(義歯)

一部の歯が抜けた場合に適用する部分入れ歯と、すべての歯を失った場合に装着する総入れ歯があります。公的医療保険診療があるので価格を抑えられ、部分入れ歯であれば約5,000円~15,000円、総入れ歯は約20,000円~30,000円くらいが一般的な相場となります。数回の通院で済むため、入れ歯の大きさによりますが一般的に2週間から1ヵ月で入れ歯を作製できます。

部分入れ歯は、残っている歯にクラスプとよばれるバネを引っかけて固定します。自分で取り外すことができ、清潔に保ちやすいというメリットがありますが、クラスプが金属製のため目立ってしまうほか、土台となる歯に負担がかかります。

総入れ歯は床(しょう)とよばれる樹脂(プラスチック)の部分を吸着させて固定します。こちらも取り外しができます。ただし、装着したときの安定感に乏しく外れやすく、違和感があります。見た目も不自然で発音がしにくく、噛む力も天然歯に比べると弱くなってしまいます。

2024年5月 株式会社メディカルネット調べ

インプラント・ブリッジ・入れ歯の比較一覧表

インプラント 治療

インプラント治療の流れ【8STEP】

インプラント治療は大まかには次の8つの手順で進められます。

STEP①カウンセリング

患者さんが歯の状態についてのお悩みを相談します。スムーズにお話しできるよう、まとめたメモをお持ちいただくことをおすすめします。一般的には歯科医師がお話を伺い、現状で考えられる治療方法をお伝えします。

STEP②検査

歯や骨の状態を細かく調べます。CTによる骨の検査はインプラントを埋められる厚みがあるかを確認するために重要です。加えて、顎の骨の中を走行する神経や血管の位置を細かく調べられます。

STEP②検査

歯や骨の状態を細かく調べます。CTによる骨の検査はインプラントを埋められる厚みがあるかを確認するために重要です。加えて、顎の骨の中を走行する神経や血管の位置を細かく調べられます。

STEP③治療計画

患者さんの検査結果を分析し、治療計画が説明されます。治療の流れだけでなく、治療費や期間なども伝えられます。不明な点をなるべく残さないよう、気になることは質問をしておくとよいでしょう。

STEP③治療計画

患者さんの検査結果を分析し、治療計画が説明されます。治療の流れだけでなく、治療費や期間なども伝えられます。不明な点をなるべく残さないよう、気になることは質問をしておくとよいでしょう。

STEP④インプラント埋入手術

インプラント治療を希望したら、治療計画に則ってインプラントを埋入する手術を実施します。麻酔をして歯肉を切開し、顎の骨を出したらドリルで慎重に穴を開けていきます。インプラントを埋入したら歯肉を縫合します。

STEP⑤治癒期間

インプラントを埋入したあとは、インプラントと骨が結合するのを待つための数ヶ月の期間に入ります。インプラント治療全体のなかでも日数を要する期間となり、インプラントと骨が結合する期間が経過したら次のステップに移ります。

STEP⑥型取り

治癒期間を終えたら再び歯肉を切開し、埋入したインプラントを露出させます。お口の型取りと噛み合わせの記録を行い、人工歯をつくるための情報を集めます。

STEP⑦上部構造の装着

噛み合わせなどをもとに上部構造(人工歯)を作ります。最初は仮歯を装着することが多いです。上部構造ができたらお口にセットして、噛み合わせや話しやすさなどを確認します。また、残っている歯との色合いをチェックして微調整します。審美性や機能性に問題がなければ、最終的な上部構造を装着して治療は完了になります。

STEP⑧メンテナンス

治療後はインプラント周囲の組織が歯周病のような炎症を起こしやすくなります。インプラントに異常がないか見るために、メンテナンスを受けてもらいます。メンテナンスでは汚れの有無を調べる検診のほか、クリーニングなどの清掃も行い、長く使えるようにケアをします。

まとめ

インプラントは人工歯根と骨を結合させて固定する治療方法で、治療が終わるまでには数ヵ月から半年かかります。機能性や審美性においてさまざまなメリットがありますが、自費診療となる点は注意が必要です。初回の無料相談を実施している歯科医院もあるので、「インプラントを詳しく知りたい」「自分でも治療を受けられる?」といったことを聞きたい方は、相談してみてはいかがでしょうか。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。