インプラントがぐらつく原因、注意点、対処法や再治療にかかる費用を紹介

vインプラント治療後は固い食べ物でも自分の歯のようにしっかり噛めます。インプラントは永久に使えるわけではありません。
時間が経つにつれインプラントに「ぐらつき」が出てくることも考えられます。インプラントがぐらついてしまう原因・対処法はどのようなものがあるのでしょうか。

更新日:2024/11/12

インプラント ぐらつき

■目次

  1. インプラントのぐらつきに悩む人は多い?
  2. インプラントのぐらつきの主な原因は4つ
  3. 1. インプラントと骨が結合していない
  4. 2.ネジが緩んでいる
  5. 3. インプラント周囲炎になっている
  6. 4. 人工歯の接着力が弱くなっている
  7. インプラントのぐらつきが起きたときの4つの注意点
  8. 1. インプラントを舌や手で触らない
  9. 2. 自分で直そうとしない
  10. 3. 負担をかけない歯磨きをする
  11. 4. 硬い食べものは避ける
  12. インプラントのぐらつきが起きたときの5つの対処法
  13. 1. 再手術する
  14. 2. ネジをしめ直す
  15. 3. 噛み合わせを調整する
  16. 4. インプラント周囲炎を治療する
  17. 5. 人工歯を再接着する
  18. インプラントのぐらつきが起きたときの再治療費用
  19. まとめ

インプラントのぐらつきに悩む人は多い?

インプラント ぐらつき

インプラントのぐらつきで悩む方は少なくありません。独立行政法人「国民生活センター」がまとめた「あなたの歯科インプラントは大丈夫ですか-なくならない歯科インプラントにかかわる相談-」によると、インプラントに関する身体症状の相談件数では「インプラントのぐらつき・脱落・要撤去」が、「痛み」に次いで2番目に多い件数となっています。

参考:国民生活センター

インプラントのぐらつきの主な原因は4つ

インプラントがぐらつく原因は、主に以下の4つです。

1. インプラントと骨が結合していない

インプラント治療は、手術によってインプラント体(人工歯根)を骨に埋入します。
埋入後、通常は3~6ヵ月でインプラント体と骨が結合します。

しかし、歯周病菌に感染してしまったり、患者さんの持病や不規則な生活習慣などによりうまく結合できていないと、治療後にインプラントがぐらつくことがまれにあります。

うまく結合しない理由は他に、
・手術時のドリルの摩擦熱で骨壊死を起こす
・インプラント体を埋入するのに骨の量が足りない
・インプラント体を埋入する角度や位置が適切でない

などが挙げられます。

2.ネジが緩んでいる

インプラントは「インプラント体(人工歯根)」「上部構造(人工歯)」「アバットメント(支台部)」の3つで基本的に構成されています。部品はネジで固定されていますが、噛む力が強い、または歯ぎしりなどによって緩むことがあります。この緩みによりインプラント体がぐらついているように感じることもあるようです。

3. インプラント周囲炎になっている

インプラント周囲炎とは、インプラントの周りの組織が細菌に感染して炎症を起こすことをいいます。歯周病にも似ており、放置すると骨吸収が進行し歯周ポケットが深くなります。骨と結合しているインプラントにも影響が及び、不安定になることがあります。

4. 人工歯の接着力が弱くなっている

インプラントの種類によっては、アバットメントと上部構造をセメントで固定するタイプもあります。セメントによる接着が不十分だったり、取り外しができるような接着力の弱いセメントを使用したりしていると、インプラントがぐらつくことがあります。

インプラントのぐらつきが起きたときの4つの注意点

インプラントがぐらついたと感じたらなるべく早く歯科医院へ相談することが大切ですが、相談するまでに注意すべきポイントがあります。

1. インプラントを舌や手で触らない

お口の中でインプラントがぐらついていると、気になってつい手や舌で触ってしまうことがあります。しかし、不用意に触るとぐらつきが大きくなったり、雑菌で歯肉の炎症が悪化したりするおそれがあります。なるべく触らないように気をつけましょう。

2. 自分で直そうとしない

自分で解決しようとして接着剤などを使い固定すると、外せなくなる可能性があります。また、インプラントはとても精密な調整によって角度や位置などを決定しています。そのため、自分で直そうとすると噛み合わせが悪くなり、インプラントや残っている歯に悪影響が出てしまいます。

3. 負担をかけない歯磨きをする

「インプラントが外れてしまうのでは」と考えてしまい、歯磨きを避けてしまうのは良くありません。インプラントの周囲の汚れは細菌の温床になり、炎症が起きやすくなります。インプラントに負担がかからない程度に、注意しながら優しく歯磨きをしましょう。

4. 硬い食べものは避ける

硬いものを噛むと不安定になっているインプラントに大きな負荷がかかり、ぐらつきが悪化する可能性があります。おかゆやうどんのように軟らかいものを食べるなど、食事にも気をつけましょう。

インプラントのぐらつきが起きたときの5つの対処法

インプラントがぐらつく場合は、歯科医院で治療または直す必要があります。ぐらつきの原因により、さまざまな対処法が検討されます。

1. 再手術する

手術での摩擦熱による骨壊死が原因と判明した場合、現在使っているインプラントを取り除いて、再手術によってインプラントを埋め直します。再手術では、埋入する位置を少しずらします。また、埋入角度や位置が適切でないとわかった場合も、再手術・埋入を行う可能性が高いです。

2. ネジをしめ直す

インプラントのネジの緩みが原因の場合、しめ直すだけでぐらつきが改善することがあります。その際に担当の歯科医師が噛み合わせなどを調整し、適切に噛めるようにします。

3. 噛み合わせを調整する

歯ぎしりなどが原因でインプラントがぐらついている場合、噛み合わせを調整することで改善できることがあります。軽度であればインプラントを調整するだけで済みますが、インプラントへの噛み合わせによる負荷があまりに大きい場合は再手術となる可能性もあります。

4. インプラント周囲炎を治療する

細菌感染によって炎症が起きるインプラント周囲炎は、自然に治ることはありません。歯垢や歯石を取り除き、消毒・洗浄などを行って清潔な状態にします。炎症によって骨が痩せてしまうことがありますが、骨の量が充分に残っていればインプラントの再手術を受けられます。

ただし、インプラント周囲炎が大きく進行している場合は、インプラントを除去しなければいけないケースもあります。骨の量が不十分だと、骨が再生するのを待たなければなりません。場合によっては、人工骨を使って再生させる骨造成手術という処置が必要になります。

5. 人工歯を再接着する

アバットメントと上部構造をセメントで固定しているタイプのインプラントで、接着に原因がある場合は、セメントで再接着することができます。

インプラントのぐらつきが起きたときの再治療費用

インプラント治療では、治療後の万が一のトラブルに対応できるよう保証制度を設けている歯科医院もあります。保証内容は歯科医院によって異なりますが、再治療が必要な場合は無料で受けられる、または限度額が定められている、といったものもあり再治療にかかる費用を抑えられることがあります。

ただし、メンテナンスを受けていないことによるトラブルなどは、保証を受けられない可能性があります。保証制度を受けるための条件が定められているので、注意しましょう。

まとめ

インプラントがぐらつく原因としては、インプラントの部品を固定しているネジの緩み、骨との結合トラブルなどが挙げられます。インプラントが不安定になった場合は歯科医院での処置が必要になるので、すぐに連絡しましょう。

治療を受けるまでの間は、インプラントに負荷がかからないよう注意して過ごしてください。自分で直そうとするとインプラントが本来の位置へ戻っておらず噛み合わせが悪くなったりする原因となるので、必ず歯科医院を受診しましょう。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。