部分入れ歯の「しゃべりにくい」原因と解決法|解決しない場合の対処法も
部分入れ歯を使い始めてから「以前よりもしゃべりにくい」と感じる方はいませんか。家族や友人と話す際にしゃべりにくさを感じると、日に日にストレスが溜まっていきますよね。
この記事では、部分入れ歯によるしゃべりにくさの原因を詳しく解説します。「しゃべりにくさを改善して、以前のように会話がしたい」という方はぜひご覧ください。
更新日:2024/08/15
■目次
- 部分入れ歯で「しゃべりにくい」原因
- 原因①部分入れ歯にまだ慣れていない
- 原因②部分入れ歯の厚みが合っていない
- 原因④部分入れ歯の噛み合わせが良くない
- 入れ歯の「しゃべりにくい」を解決する方法
- 発音トレーニングをやってみる
- 部分入れ歯を薄くする
- 自分の歯との隙間や噛み合わせを調整する
- 部分入れ歯の「しゃべりにくい」が解決しない場合はインプラントを検討しよう
- インプラントのメリット&デメリット
- インプラントのメリット
- ①しゃべりやすい
- ②違和感が少ない
- ③見た目が良くなるケースが多い
- インプラントのデメリット
- ①外科手術が必要になる
- ②治療期間が長くなる傾向にある
- ③清掃しづらい場合がある
- ④費用が高額になりやすい
- まとめ
部分入れ歯で「しゃべりにくい」原因
部分入れ歯の装着でしゃべりにくさを感じる場合、以下のような原因が考えられます。
原因①部分入れ歯にまだ慣れていない
部分入れ歯の使用には“慣れ”が必要です。しゃべるためには舌を動かしますが、まだ舌や口が部分入れ歯の位置に慣れていないため、しゃべろうとすると違和感を覚えやすいのです。
原因②部分入れ歯の厚みが合っていない
部分入れ歯の床(ピンク色のプラスチックの土台部分)が分厚いと、舌を動かす際に邪魔になり、しゃべりにくさにつながります。歯を失った後や歯周病による顎の骨の変化や部分入れ歯のすり減りから、お口に合わなくなる場合もあります。
原因③部分入れ歯と自分の歯の間に隙間がある
天然歯と入れ歯の間に隙間ができると、しゃべるときに空気が漏れてしまい、発音に影響が出ます。
原因④部分入れ歯の噛み合わせが良くない
噛み合わせの位置が高ければ、歯と歯が早くぶつかってしゃべりにくく食べにくくなります。また、部分入れ歯の箇所だけ噛み合わせの位置が低ければ、上の歯と下の歯の間に隙間ができて食べにくくなり、舌を動かすスペースが狭くなったりして、しゃべりにくいと感じるようになります。
入れ歯の「しゃべりにくい」を解決する方法
部分入れ歯を原因としたしゃべりにくさは、以下の方法で解決できます。
発音トレーニングをやってみる
部分入れ歯には慣れが必要なため、発音トレーニングに取り組みましょう。50音を繰り返し発音する、本を音読するなど、取り組みやすい方法を選びましょう。この際、舌の動かし方やお口のあけ方を意識することがポイントです。
しっかりと口や舌を動かして録音し自分で聞き返してみたり、家族や友人に聞き取りにくい発音がないかをチェックしてもらったりすると苦手な音がわかり、効果的なトレーニングを行えるようになります。
部分入れ歯を薄くする
部分入れ歯の厚みがしゃべりにくさの原因だと感じる場合、歯科医師に相談して薄く削ってもらいましょう。ただし、薄くしすぎると強度が低下して破損しやすくなるため、必ずしも薄いほうが良いわけではありません。また、自己判断で部分入れ歯を薄く削ることは厳禁です。
自分の歯との隙間や噛み合わせを調整する
部分入れ歯と自分の歯の間に隙間があり、空気が漏れて発音しにくいといった場合や、噛み合わせが悪いと感じる場合などは、歯科医師に相談して部分入れ歯の形を調整してもらいましょう。
部分入れ歯の「しゃべりにくい」が解決しない場合はインプラントを検討しよう
インプラントは、顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着することで、歯を失った箇所の見た目と機能を補う治療法です。部分入れ歯のしゃべりにくさが解決しない場合はインプラントを検討してみるのも良いでしょう。
インプラントのメリット&デメリット
インプラントを検討する際の判断材料として、メリット・デメリットを紹介します。
インプラントのメリット
インプラントにはさまざまなメリットがあり、部分入れ歯やブリッジに代わる第3の選択肢として注目を集めています。
①しゃべりやすい
インプラントは顎の骨に直接埋め込むため、部分入れ歯の床に相当するものがありません。床の厚みによるしゃべりにくさはなく、発音機能の回復も期待できます。
②違和感が少ない
部分入れ歯のように周りの歯にバネをかける必要がなく、違和感が少ないといえます。
③見た目が良くなるケースが多い
部分入れ歯は金属のバネが見える場合が部位によってありますが、インプラントにはバネがなく、天然歯のような見た目に仕上げることが可能です。
インプラントのデメリット
インプラントのデメリットについても正確に把握したうえで治療を開始することが重要です。
①外科手術が必要になる
インプラントは必ず外科手術を受けます。全身疾患などで外科手術が難しいお体の方などは、インプラントができません。
②治療期間が長くなる傾向にある
部分入れ歯は2週間~1ヶ月程度で治療が完了することが多い一方で、インプラントの治療期間の目安3ヶ月~6ヶ月です。治療期間が長くなり、通院の負担も増えると考えられます。
③清掃しづらい場合がある
部分入れ歯は、自分で取り外して清掃することができます。インプラントは自分で取り外すことができず、インプラント周囲を丁寧に歯磨きをしてケアをする必要があります。
④費用が高額になりやすい
部分入れ歯は、使用する材料によっては公的医療保険適用で治療を受けることができます。審美性を追求するインプラントは、基本的に自費診療で全額自己負担となるため費用が高額になりやすいです。費用の目安は、1本あたり300,000円~400,000円です。ただし、インプラントは医療費控除の対象となるため、申告を行えば医療費の一部が還付されます。
2024年4月 株式会社メディカルネット調べ
まとめ
部分入れ歯によるしゃべりにくさは、部分入れ歯にまだ慣れていない、部分入れ歯が厚いなど、さまざまな原因が考えられます。発音トレーニングをする、部分入れ歯を薄く削ってもらうなどの方法によって、しゃべりにくさを解決できる可能性があるため、悩んでいる方は試していただきたいです。
解決法を実践してもしゃべりにくさを感じる場合は、インプラントを検討してみるのも良いでしょう。インプラントにもメリット・デメリットがあるため、理解したうえで治療を開始することが大切です。
この記事で、部分入れ歯によるしゃべりにくさが少しでも解消されたら幸いです。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
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