歯科用CTとは?メリットや費用、公的医療保険適用まで解説
「高度な歯周病治療を受けたいなら歯科用CTがある歯科医院を選ぶと良いと言われた。歯科用CTという言葉は初めて聞いたが、いったいどんな装置なの?」そんな疑問をお持ちの方はいませんか。
歯科用CTは目では見えない体の中を3次元的に確認できる優れた装置です。
今回は、歯科用CTに関する基礎知識や医療用CTとの違い、歯科用CTが活躍する場面、治療に伴う放射線被ばく量、公的医療保険適用の有無などについて解説していきます。
更新日:2024/07/08
■目次
CTとは
CTはコンピュータによる断層写真の撮影と処理を行い、撮影したデータを3次元的に構築することで、骨の状態を一般的なレントゲンより正確に把握できる装置です。骨の厚みや密度の確認は一般的なレントゲン装置では難しいですが、CTであればそれらの要素を容易に確認できます。
医科用CTとの違い
医科用CTを撮影する際には患者さんが横になる必要がありますが、歯科用CTでは座ったまま撮影できます。また、歯科用CTは撮影時間も10秒程度と非常に短いため、被ばく線量も医科用CTのおよそ10分の1程度に抑えられると言われています。
参考:厚生労働省指定臨床研修施設 医療法人松栄会まつうら歯科
医科用CTとの違い
医科用CTを撮影する際には患者さんが横になる必要がありますが、歯科用CTでは座ったまま撮影できます。また、歯科用CTは撮影時間も10秒程度と非常に短いため、被ばく線量も医科用CTのおよそ10分の1程度に抑えられると言われています。
参考:厚生労働省指定臨床研修施設 医療法人松栄会まつうら歯科
歯科用CTのメリット
歯科治療の際に歯科用CTを利用するメリットは以下の2つです。
治療の安全性・確実性の向上が期待できる
体の中を数ミリ単位の断面図に切って様々な角度から確認できます。断面図(平面)のみの従来のレントゲン装置に比べて多くの情報を取得できるため、治療の安全性・確実性につながります。
一般の歯科医院で導入されている場合がある
歯科用CTは高価で、小さい医療機関では導入が難しいとされていました。平成29年時点で歯科医院における普及率は約10%とされていますが小規模の歯科医院でも普及しています。
参考:平成 29 年度医工連携事業化推進事業 成果報告書
歯科用CTが活躍する場面
歯科用CTがとりわけ大きな役割を果たす5つの場面を紹介します。
インプラント治療
インプラント治療では、歯を失った部分に人工歯根を埋め込み、人工歯を被せます。顎の骨に大きな負担がかかるため、インプラント治療を成功させるためには、骨の量や厚み、密度、形態を確認することが不可欠です。
歯科用CTを導入することによって、顎骨の状態を適切に把握できれば、治療の成功率が高まります。さらに、インプラントを埋入する方向・位置のシミュレートの精度も向上するため、より安全で的確な治療計画を立てることができます。
歯周病治療
歯周病とは、お口の中の細菌によって歯肉や歯槽骨が炎症を起こし、歯を支える部分の骨が溶けて歯茎が下がる感染症のことを指します。日本人が歯を失う大きな原因の1つです。
歯科用CTを利用すれば、骨がない場所を三次元的に把握することが容易です。病巣の位置を詳細に確認できるだけでなく、歯周再生治療の前後の状態を比較できます。
歯の神経の治療
虫歯が歯の神経に到達すると、その部分の神経が炎症を起こして痛みが生じます。病状が進行すると歯根の先端周囲の骨まで炎症が広がり、歯茎の腫れや痛みも出てきます。歯の神経は三次元的に絡み合った複雑な構造をしているため、状態の把握は肉眼では困難です。
歯科用CTによって神経の走行を立体的に把握することができます。三次元画像を取得できる歯科用CTの特性は、歯の神経の治療精度を向上させます。
親知らずの抜歯
親知らずとは、歯の一番奥の部分に生える永久歯のことです。位置的に歯磨きが行いにくいこともあり、虫歯や歯周病といったお口の中のトラブルが起こる可能性が高いため、早めの抜歯を勧められることが多いです。
ただし、親知らずを抜歯する際には、顎の骨の中を通っている神経が傷ついて神経麻痺が生じる可能性もあります。通常のレントゲン撮影では顎の骨や歯根の形態を正確に把握できない可能性があるため、歯科用CTを用いることによって、親知らずの埋まり方、神経や血管との距離といった情報を3次元的に認識し、抜歯の安全性を高めることができます。
歯の破折の診断
歯が折れたり、欠けたりした時には、歯が割れた方向が重要です。通常のレントゲン撮影では割れ方により診断できないことがあります。
歯科用CTであれば立体画像を作成できるため、より正確に病態を確認でき、安全に治療を進めることができます。
歯科用CTの被ばく量
社団法人 東京都歯科医師会が公開した資料によると、歯科用CTを1回使用するごとに発生する被ばく量は0.1ミリシーベルトとされています。1回につき6.9ミリシーベルトの被ばくが発生する従来の医科用CTに比べて、被ばく量が大きく減少していることがわかります。
また、日本における一人当たりの自然放射線による被ばく量は年間1.5ミリシーベルト、世界の平均は年間2.4ミリシーベルトとなっています。一般的な日常生活を送った際の被ばく量に比べても、歯科用CTの被ばく量は極端に多いわけではないと考えられます。
参考元:社団法人 東京都歯科医師会
歯科用CTの費用は?公的医療保険は適用される?
歯科用CTには公的医療保険が適用されるケースが存在し、その場合の治療費は約3,000~4,000円です。公的医療保険が適用される例としては、変形性顎関節症、顎骨のう胞、顎骨の骨折、根分岐部病変を有する中等度以上の歯周病、横を向いている親知らずの抜歯、難治性の神経治療などが挙げられます。
これらの条件を満たしていないケースでは、基本的に公的医療保険の適用外となります。自費治療となった場合の治療費は、約8,000~10,000円が相場とされています。
2024年3月 株式会社メディカルネット調べ
まとめ
歯科用CTは、顎骨や歯の状態を高い精度で検査できる装置です。一般的な医科用CTよりも解像度が高く、被ばく量も少ないため、インプラントの埋入に加えて、歯周病や歯の神経の治療など様々な治療の精度を大きく向上させることができます。
一般の歯科医院における歯科用CTの普及率はまだ高いとはいえず、全ての歯科医院で撮影できるわけではありません。歯科用CTによる検査を受けたい場合は、事前にHPなどで装置の有無を確認しましょう。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
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