30代でインプラント治療を受けた人の割合は?

まだ30代だけど、インプラント治療を始めるか悩んでいる。ただ、インプラントはある程度年齢を重ねた人のための治療だと聞いているので、自分には早すぎるのではないかと心配になっている。そんな悩みをお持ちの方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

今回の記事では、実際に30代でインプラント治療を受けた人の割合に加えて、インプラント治療が持つ4つのデメリット、30代でのインプラント治療がおすすめできる6つの条件といった要素について、詳しく解説していきます。

更新日:2024/07/08

30代 インプラント 割合

■目次

  1. 30代でインプラント治療を受けた人の割合は1割未満
  2. 30代は注意!インプラント治療の4つのデメリット
  3. 30代でインプラント治療がおすすめな人は?
  4. まとめ

30代でインプラント治療を受けた人の割合は1割未満

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厚生労働省の「令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要」によると、30代のインプラント装着者の割合は、30台前半(30~34歳)が1.3%、30代後半(35~39歳)に至っては0%という結果になっています。

30代で歯を失う人の割合は?

厚生労働省の「令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要」によると、30台前後の年齢で歯を失った人の割合は、25~34歳が15%、35~44歳が23.6%となっています。これらの結果を勘案すると、30代になってから歯を失った人のうち、インプラントを適用した人の割合はかなり少ないことが推察されます。

30代は注意!インプラント治療の4つのデメリット

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インプラント治療には多くのメリットが存在しますが、その一方で、無視できないデメリットも存在します。よく取り上げられるデメリットとしては、以下の4種類が挙げられます。

治療費が高額になりやすい

インプラント治療は基本的に保険適用外のため、治療費が高額になりやすくなります。相場としては、1本につき30~60万円程度が一般的ですが、人工歯根の本数が異なる場合は費用が大きく異なる点や、CT撮影などの検査・診断にも数万円が必要となることが多い点にも留意しておきましょう。

ただし、インプラントは1年間でかかった医療費の合計金額が10万円を超えると所得税が還付される、「医療費控除」の対象となっています。この制度を利用すれば確定申告の際に高額な治療費を軽減できるため、治療を受ける際には頭に入れておくとお得かもしれません。

治療期間が長い

インプラント治療は、通常の歯科治療よりも治療期間が長くかかります。具体的には、治療には数カ月~1年弱程度の期間が必要であり、手術後も年に2~4回程度のメンテナンスを行うために、定期的な通院が必要になります。

歯を失った場合の他の選択肢と比較すると、入れ歯の場合は2週間~1カ月、ブリッジの場合は1~2カ月程度が、治療期間の目安となります。メンテナンスも含めた治療期間の長さは、インプラント治療におけるデメリットの一つといえます。

外科手術が必要になる

インプラント治療では、顎の骨にインプラント体を埋め込むために、外科手術を行う必要があります。外科手術には、痛み、腫れ、出血、発熱などのリスクが伴うため、人によっては大きなマイナス点になってしまうかもしれません。

また、手術部位に感染症や縫合不全が起こったり、術後に神経麻痺や知覚異常が発生することもあります。事前にCT検査やレントゲン撮影を行い、顎骨の形や状態を診査したうえで手術を行うため、これらの症状が発生する可能性は高くはないものの、リスクが皆無ではないという点には注意が必要です。

定期的なメンテナンスが欠かせない

インプラント治療が完了しても、そこで終わりではありません。歯科医院での定期的なメンテナンスや、日頃のケアを行っていかないと、インプラント周囲炎のリスクが高まってしまい、最悪の場合は入れたインプラントを除去する必要が生じる可能性もあるのです。

そのため、患者さんには日頃のケアや、数カ月に1度のメンテナンスを継続できるような、一定以上の自己管理能力が求められます。せっかく終わらせたインプラント治療が台無しになってしまわないためにも、治療後のケアの重要性は高くなります。

30代でインプラント治療がおすすめな人は?

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30代はインプラントを入れる年齢としては比較的若い時期ですが、早い段階でインプラントを入れたほうが良いケースもあります。この項目では、30代でのインプラント治療がおすすめできる患者さんのタイプを、6つの観点から紹介していきます。

メンテナンスに対する意識が高い人

インプラントを長く使う、すなわち寿命を伸ばすためには、メンテナンスが非常に重要になります。インプラントを使っている人の9割以上が10~15年以上にわたってインプラントを使い続けていると言われており、適切に処置すれば非常に長い寿命を持つ装置となります。

それだけに、インプラントの寿命をできる限り伸ばすために必要な、メンテナンスやケアが重要となってきます。つまり、それらの適切な処置に対する意識を高く保てる人は、インプラント治療に向いていると考えられるのです。

タバコを吸わない人

タバコに含まれるニコチンは抹消の毛細血管を収縮させるため、粘膜の血流を悪化させます。それによって、骨を作る細胞の増殖・分化や骨の治癒にも影響が出ます。これらの要素はインプラント治療に少なからず関係するため、喫煙はインプラント治療に大きな悪影響をもたらします。

また、喫煙はインプラント体が顎骨に生着せずに脱落してしまう、「インプラント体生着不良」という現象の原因の一つにもなります。手術の結果に影響を与えかねず、治療終了後の経過にも悪影響を及ぼすため、喫煙の有無はインプラント治療において重要になります。

コストパフォーマンスを重視している人

インプラントは治療費が高額になる一方で、ブリッジや入れ歯よりも平均寿命が長い傾向にあります。すなわち、総合的なコストパフォーマンスに優れている、という考え方もできます。

具体的には、入れ歯の寿命は約4~5年、ブリッジの寿命は約7~8年ほどとされています。9割以上の人が10~15年以上にわたって使い続けられるインプラントは、コストパフォーマンスを重視する人にとっては、非常に魅力的な選択肢となります。

口の中全体の健康を意識している人

入れ歯は隣の歯に金具をかけて装着するため、両端の歯に対する負担が大きくなります。また、ブリッジを導入する場合は、両端の健康な歯を削る必要が出てきます。すなわち、これらの治療法は、健康な他の歯に負担がかかる事態を引き起こしてしまいます。

その点、インプラントは顎の骨に直接埋め込むかたちを取るため、他の歯に負担がかかることはありません。そのため、お口の中全体の健康に気を配っている人にとっては、インプラントが最適な治療法となるかもしれません。

見た目の美しさの優先順位が高い人

インプラントのメリットの一つとして、審美性に優れていることが挙げられます。歯を失った場合の他の選択肢(ブリッジや入れ歯)の場合は、装置が変色したり、外から金具が見えてしまったりして、審美性が大きく落ちるケースが存在します。

しかし、インプラントの場合は天然歯に近い見た目の人工歯を用いるため、見た目が自然で、美しい口元を保つことができます。そのため、審美性を重視する人にとっても、インプラントはニーズに合致した治療法となることでしょう。

自分の歯に近い感覚で食事を楽しみたい人

入れ歯を使用している場合、歯応えのある食べ物を噛んだ際に違和感を覚えたり、装着中に異物感が生じることもあります。その一方で、インプラントは見た目が自然になるだけでなく、食事などの際に、自分の歯に近い感覚でものを噛むことができると言われています。

また、発音の際に本来の自分の歯に近い感覚を保てるため、会話を行う場面で違和感を覚えることが少なくなります。食事や会話を本来の自分の歯に近い感覚のまま楽しめることは、インプラント治療の大きな優位点といえるでしょう。

まとめ

30代の時点でインプラント治療を受ける人の数は、決して多いとは言えません。また、インプラント治療には、「治療費が高額になりやすい」、「治療期間が長い」といったデメリットも存在するため、治療を検討する場合は、これらの点も考慮する必要が出てきます。

しかし、歯を失った状態を放置すると、身体にさまざまな悪影響が出る可能性もあります。そのため、生活習慣がインプラント治療に向いていたり、インプラント治療で享受できるメリットが大きな意味を持つ人の場合、インプラントを早めに適用する意義は大いにあります。

もし、自分にインプラントが向いているかどうかわからない場合は、まずは気軽に歯科医師に足を運んでみて、歯科医師に相談したうえで、専門的な判断を仰ぐことをおすすめします。

記事監修

歯科医師 古川雄亮先生

歯科医師 古川雄亮 先生

国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。