骨移植(ボーングラフト)でインプラントが可能!骨不足を解消

歯科医院でインプラント治療について相談した際に、骨移植(ボーングラフト)が必要と言われることがあります。必要な治療であれば仕方ないと感じる一方で、骨移植がどのようなものかわからないと不安が募ってしまいますよね。

この記事では、骨移植の治療内容、治療の流れ、メリット・デメリットなどを詳しく解説します。

更新日:2024/07/01

ボーングラフト

■目次

  1. 骨移植(ボーングラフト)とは
  2. 移植骨の種類と特徴は?
  3. 自家骨(じかこつ)
  4. 他家骨(たかこつ)
  5. 異種骨(いしゅこつ)
  6. 異種骨(いしゅこつ)
  7. 代用骨(だいようこつ)
  8. 骨移植の治療法
  9. ①骨が足りない状態
  10. ②移植骨の固定
  11. ③インプラント体の埋入
  12. 骨移植のメリット・デメリット
  13. 骨移植のメリット
  14. 骨移植のデメリット
  15. 骨移植の種類
  16. ソケットリフト
  17. サイナスリフト
  18. GBR法(骨再生誘導法)
  19. 骨移植の費用
  20. 骨移植の治療期間
  21. まとめ

骨移植(ボーングラフト)とは

ボーングラフト

インプラント治療を受けるには十分な顎骨の骨量(厚み・幅・高さ)が必要です。骨量が足りない場合、インプラント体を埋入・固定することが難しいです。術前のCT撮影によって顎骨の量が足りないことが判明した際には、骨移植が適応となる可能性があります。

骨移植とは、下顎の奥歯部分の骨から採取した自家骨などを骨が足りない部分に移植する治療法です。

移植骨の種類と特徴は?

骨移植に用いられる骨は、主に4種類あります。移植骨の種類と特徴を見ていきましょう。

自家骨(じかこつ)

自家骨とは患者さん自身の骨で、下顎や骨盤などから骨を採取して移植します。他の移植骨よりも拒否反応が起きにくいメリットがあります。一方で、手術による身体的負担があり、採取できる量に限りがあるデメリットもあります。

他家骨(たかこつ)

他人から採取した骨です。感染や拒否反応により適合しないリスクがあるため用いられることは稀です。

異種骨(いしゅこつ)

人間以外の牛などの動物から採取した骨を化学処理して使用されます。骨を採取するための身体的負担がなく、移植する骨量の制限も無いというメリットがある一方で、狂牛病などの感染リスクが少なからずある、拒否反応の可能性がある点がデメリットです。

異種骨(いしゅこつ)

人間以外の牛などの動物から採取した骨を化学処理して使用されます。骨を採取するための身体的負担がなく、移植する骨量の制限も無いというメリットがある一方で、狂牛病などの感染リスクが少なからずある、拒否反応の可能性がある点がデメリットです。

代用骨(だいようこつ)

人工的に作られた骨です。骨から感染が起こるリスクがなく、多くの量を確保することも可能となります。ただし、骨の形成を促す能力が代用骨自体にないというデメリットがあります。

骨移植の治療法

ボーングラフト

骨移植の治療の流れは以下の通りです。

①骨が足りない状態

歯を失って長期間放置していた場合などは、歯を支えていた骨が痩せてしまいます。すると顎骨が足りない状態となり、インプラント体を埋入することができません。

②移植骨の固定

顎骨が足りない部分に移植骨を入れて、膜やネジで骨を固定します。移植骨が定着するまで数ヶ月待ちます。

③インプラント体の埋入

移植骨が定着したらインプラント体を埋入します。場合によっては骨移植とインプラント体の埋入を同時に行うこともあります。

骨移植のメリット・デメリット

骨移植はインプラント治療を可能にする以外にもメリットがあります。ただし、デメリットもあるため十分な検討が必要です。

骨移植のメリット

・骨移植のメリットはインプラント治療に必要な骨量を確保できる
顎骨の量が足りないためインプラント治療を断られた患者さんも、骨移植を受けることでインプラント治療が可能になるケースがあります。

・インプラント体の初期固定を得やすくなる
インプラント体が、埋入直後に顎骨と固定されることを初期固定といいます。初期固定は、その後の骨結合に大きな影響を与えます。骨移植によって顎骨の量が多くなれば、初期固定を得やすくなります。

・歯冠や歯茎の審美的向上に役立つ
顎骨の量が増えると顎骨を覆う歯茎の形状にも良い影響があります。骨移植を行うことで、口元の審美性の向上にもつながります。

骨移植のデメリット

・費用負担が増す
骨移植はインプラント治療において必須ではないため別途費用がかかります。

・治療期間が長くなる
移植骨が定着するまで、3~6ヶ月程度かかることが一般的です。その後インプラント治療に取りかかることになるため、治療が長期にわたります。

・合併症のリスクが高くなる
骨移植のための手術は、体に負担がかかるだけでなく、術後感染など合併症のリスクを高めることになります。

骨移植の種類

顎骨の量を増やすには、以下のような治療法もあります。

ソケットリフト

上顎の奥歯部分の骨の高さが足りない場合に用いられる治療法です。鼻の横にある空洞「上顎洞」の底を押し上げて、空いたスペースに移植骨を入れます。歯が生えていた部分からアプローチします。

サイナスリフト

ソケットリフトと同じく、上顎洞の底の部分に移植骨を入れます。ソケットリフトよりも多くの骨を増やす場合にサイナスリフトが適応されます。歯が生えていた部分の側面の歯茎からアプローチします。

GBR法(骨再生誘導法)

顎骨の量が足りない部分に移植骨を入れ、メンブレンという特殊な人工膜で覆います。メンブレンで覆って移植骨と歯肉を遮断することで、顎骨の再生を誘導する治療法です。

骨移植の費用

骨移植の費用は、50,000~100,000円ほどが相場です。別途、インプラント治療の費用相場は1本あたり300,000~400,000円ほどとなります。また、インプラント治療に関する費用は、基本的に公的医療保険の適用外です。

2024年3月 株式会社メディカルネット調べ

骨移植の治療期間

ボーングラフト

骨移植が適応になる場合、移植骨が定着するまで目安として3~6ヶ月ほどかかります。その後、インプラント治療を開始するとさらに3~6ヶ月かかることが一般的です。

まとめ

インプラント治療を受けるには十分な顎骨の量が必要です。顎骨が痩せてしまっている場合などは骨移植も受けることでインプラント治療が可能になるケースもあります。

メリットの多い骨移植ですがデメリットもあるため歯科医院に相談し、十分に検討したうえで治療を選択することが大切です。

この記事で骨移植に対するあなたの不安が少しでも解消されたら幸いです。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。