歯科用拡大鏡(ルーペ)を使う4つの歯科治療│歯科用拡大鏡の必要性について解説

歯科医院で使用している治療器具は、日々進化しており、歯科に通院したら新しい器具を見かけることもありますよね。もちろん、古くから有効な器具として使われているものもありますが、多くの歯科医院では時代やその時の治療に合わせて器具も新調しています。

代表的な器具に「拡大鏡(ルーペ)」があります。歯科医院を検索しているとホームページで見かけることもありますが、拡大鏡とはどのような役割をもった器具なのでしょうか。

更新日:2024/06/27

歯科 拡大鏡

■目次

  1. 歯科用拡大鏡(ルーペ)とは
  2. 歯科用拡大鏡の種類
  3. 歯科治療で拡大鏡(ルーペ)を使う4つのメリット
  4. 歯科用拡大鏡を使う治療とは?よくある治療と使用するメリットを解説
  5. まとめ

歯科用拡大鏡(ルーペ)とは

歯科 拡大鏡

ルーペは患部を大きく拡大して見ることができる器具で、いわゆる虫眼鏡のようなものです。テレビドラマでも、外科手術のシーンなどで使用されていることもありますね。

歯科の治療は視野が狭く、奥歯など肉眼でははっきり確認するのが難しい箇所も多いです。拡大鏡で視野を大きく得ることで、虫歯や歯周病などの治療が精密にできます。

歯科用拡大鏡の種類

視野を拡大する器具の特徴をチェックしていきましょう。

拡大鏡(ルーペ)

ルーペとは一枚のレンズで構成された器具です。歯科以外では読書や鑑定、時計の修理などにも使われています。

歯科治療では、ゴーグルのように装着し取り扱いやすくなっており、歯科衛生士も使用します。虫歯や歯周病の箇所も見やすく、初期虫歯が発見しやすくなったり、歯科衛生士であれば小さな歯石や汚れを見つけやすくなります。

使いやすさが特徴のルーペですが、拡大率はマイクロスコープに比べると小さいです。

テレスコープ

テレスコープとは複数枚のレンズで構成された器具です。ルーペに比べて作業範囲が広く、施術しやすい特徴があります。

鮮明に見える範囲も広く、治療精度も上がります。補綴物のセットや虫歯・歯周病治療、神経を抜くための根管治療などで活用されることが多いでしょう。

マイクロスコープ

マイクロスコープはピンポイントに焦点を当てることができ、30倍など高い倍率でみることが可能です。肉眼では見にくかったような歯の破折なども、高倍率ではっきり見えます。根管治療や進行した歯周病のように、勘や経験だけでは難しい治療を精密に行うことができます。

また、マイクロスコープによっては治療の様子を録画でき、治療後に映像を確認できるものもあります。一方で、ルーペなどによる治療に比べて治療時間が長くなるケースがあるほか、自費診療での扱いが多いです。

歯科治療で拡大鏡(ルーペ)を使う4つのメリット

歯科 拡大鏡

歯科治療では拡大鏡を使用することで、さまざまなメリットがあります。

治療の精度を高められる

拡大されることで、肉眼で見ながら治療をするよりも細部が見えるため精度が高くなるといわれています。また、わずかな異常や肉眼では見つけにくい初期虫歯なども見逃しにくくなります。

能率アップにつながる

拡大鏡で患部を鮮明に見えるようにすることで、治療部位を適切に捉えてアプローチできます。治療を完了するまでの効率が上がり、治療を受ける患者さんの負担軽減にもつながります。

マイクロスコープよりも導入しやすい

手術などにも使用できるマイクロスコープは高倍率の器具ですが、導入するには1,000,000~10,000,000円以上かかるといわれています。
一方、拡大鏡(ルーペ)は安いものだと数万円から購入でき、操作方法もマイクロスコープに比べると手軽なので、歯科医院で比較的導入しやすいようです。

2023年11月 株式会社メディカルネット調べ

スタッフのスキルアップが期待できる

多くのスタッフが扱いやすく、治療の質の向上やスキルアップを見込むことができます。また、これまで取り組みにくかった難しい症例にもアプローチできるので、モチベーションの向上にも期待できます。

歯科用拡大鏡を使う治療とは?よくある治療と使用するメリットを解説

歯科 拡大鏡

拡大鏡はどのような治療で使用されるのでしょうか。虫歯治療や根管治療など、主なものについて見ていきます。

虫歯治療

虫歯治療では細菌に感染した部分を削り取ります。このとき、感染した組織をなるべく取り除くと同時に、健康な組織を削りすぎないことが大切です。拡大鏡は倍率を上げて患部を見られるので、歯を削る量をなるべく少なくする治療ができます。感染した組織を取り逃さないことで、虫歯の再発を防ぐことにもなります。

根管治療

虫歯が進行し神経に達すると、根管治療を受けます。根管は複雑な形状をしているうえに肉眼では見えず、主に手の感覚に頼った治療が行われています。拡大鏡によって根管の様子を確認することができ、汚染された組織を取り逃さないよう精密に治療できるようになります。根管を清潔な状態にすることで、虫歯の再発を防ぐことにもつながります。

セラミック治療

透明感があり白い素材であるセラミックを補綴物にする治療です。詰め物や被せ物をセットするときに隙間があると、細菌が入って再度虫歯になってしまう二次う蝕の原因になってしまいます。拡大鏡を使って補綴物をセットすることで、微細な隙間も残さずにしっかり接着できているか確認できます。

歯周病予防

歯周病の原因となる歯石は、歯科医院で除去できます。歯石は塊のように大きなものは除去できても、細かい粉状になって歯の表面に残ることがあります。拡大鏡で歯の表面を確認することで、こうした細かな歯石を発見して除去できます。

まとめ

ルーペのような拡大鏡を使うことで治療の精度を上げられ、虫歯や歯周病などの再発を防ぐことにもつながります。また、歯科医院側からすると導入コストが低く、マイクロスコープに比べると手軽に扱いやすいなどのメリットもあります。

患者さんにとってもさまざまなメリットがあるので、歯科医院を選ぶときに迷った場合は、拡大鏡の有無を選択のポイントにしてもよいかもしれません。

記事監修

歯科医師 古川雄亮先生

歯科医師 古川雄亮 先生

国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。