インプラント治療中だけど転院したい!方法や注意点とは?
インプラント治療中に、何らかの理由で歯科医院を転院したい事情もあるでしょう。
いざ転院するとなったらどうしたらいいのか?転院してトラブルにならないのか?など、気になることもたくさんありますよね。
インプラント治療中でも転院は可能ですが、3つの気を付けたいポイントがあります。
治療中に転院するにはどうしたらいいのか、どのような手続きをしたらいいのか、そして転院先を選ぶポイントについても紹介します。
更新日:2024/06/06
■目次
インプラント治療中に転院したい!どうしたらいい?
インプラントの治療途中でも、もちろん転院することは可能です。
引っ越しや転勤、歯科医師と意見が合わない、不信感があるなど、様々な理由で転院を考えることがあるでしょう。
ですが、インプラントの治療途中で転院するには歯科医院を探したり、転院のための手続き、カルテや検査結果などの医療情報の共有が必要です。
治療途中に転院する場合にはどうしたらいいのか、詳しく紹介します。
引っ越しや転勤が理由で転院したい場合
引っ越しや転勤で歯科医院が遠くなるため、近くに転院したいと考えるのは当然です。転院をしなくてはいけない場合、治療がどこまで進んでいるかがポイントとなります。
ほとんど通院が必要ない段階まで治療が進んでいる場合は、1~2回程度頑張って通院して治療を完了させることを検討してみてもよいでしょう。最初から最後まで同じ歯科医院で受けたほうが保証の対象になったり、一貫した治療方法で受けられるメリットがあるためです。
治療が終わってしまえば、あとはメンテナンスのために年2~3回通院する、メンテナンスだけ別の歯科医院で受ける、など選択肢が広がります。
もし、ほとんど治療が進んでいない場合は治療が始まる前に転院してしまうことも可能です。
もしも引っ越しや転勤先に良い歯科医院が見つからない場合は、頑張って通院を続けることも視野に入れつつ歯科医師に相談してみましょう。遠方から通院する場合は、痛みやトラブルが起きた際にすぐに通院できないため、緊急時の対応も相談しておくことをおすすめします。
引っ越し(転勤など)で通院できなくなった場合は転院する理由を担当医に伝え、できれば引っ越し先も伝えておきましょう。引っ越し先の地域に担当医が信頼している歯科医院があればそこへ転院することもできますし、転院することをきちんと伝えておくことで、転院に必要な資料やデータを共有しやすいです。
担当医と良好な関係のまま転院することで、転院先で知りたいことが出た場合に問い合わせがしやすかったり、戻ってくることがあった場合に再度通院できるでしょう。
今の歯科医院に不満があり転院したい場合
歯科医院の対応に不満があり、治療を継続したくなく転院を希望することもあるでしょう。
この場合でもできれば担当医に転院を希望することを伝え、治療の経過や資料をもらっておきましょう。
どうしてももう話したくない、通院したくないという場合もあります。その場合は、転院を希望する歯科医院で資料やデータがなくても転院を受け入れてもらえるかどうかを確認しておきましょう。
多くの場合、転院先で改めて検査や診断を受けることで転院を受け入れてもらえますが、通院していた歯科医院と転院先で二重に検査費用を支払うことはほぼ確実です(通院していた歯科医院からの返金については、通院していた歯科医院にお問い合わせください)。
インプラント治療中に転院したい場合の3つの注意点
どんな理由で転院を希望するにしても、転院する時に注意したい3つのポイントがあります。通院している歯科医院へいくのをやめる前に、以下の3つのポイントを確認しましょう。
紹介状がないと受け入れてもらえないことがある
転院先の歯科医院によっては、紹介状(診療情報提供書)がないと受け入れてもらえないことがあります。特に、総合病院や大学病院などです。
個人開業医であれば紹介状が必要ないこともありますが、治療をスムーズに行うには情報提供はあるほうが良いといえるでしょう。
紹介状の発行には費用がかかりますが、これまでの治療の経過、お口の中の状態、治療の進捗を正確に伝えるためにも発行してもらいましょう。
メーカーがわからないと転院できないことがある
インプラントは原則自費診療であり、各歯科医院によって取り扱っているインプラントメーカーが異なります。
メーカーが違えば、インプラントの構造や治療に使う器具の形・種類、治療の流れなどが違います。そのため、治療途中のインプラントのメーカーがわからない、転院したい歯科医院で取り扱っていないメーカーの場合は、転院を受け入れてもらえないことがあります。
紹介状に書いてあれば転院先で確認してくれますが、せっかく相談に行ったのに「紹介状を見てみたら取り扱ってないメーカーだったので受け入れできません」と言われてしまうかもしれません。ご自身で自分自身が受けているインプラントのメーカーを把握しておくことで、転院先をスムーズに探すことができるでしょう。
費用がさらにかかる・保証が受けられないことがある
インプラントは、基本的に自費診療(歯科医院が独自に費用や返金等の契約内容を決め、患者さんが了承して成り立つ個別の契約)です。転院するときに返金されるかどうかは歯科医院によって異なります。
治療項目ごとに費用を決定しており、受けていない治療部分のみを返金する契約や、どんな理由でも治療を開始していたら一切返金しない契約など、様々です。
また、保証についても同様に、通院をやめたらどんなトラブルが起きても保証されない場合やメーカーが定めた保証に則って対応するなど様々です。
転院に伴う返金や保証の相談は、通院していた歯科医院に直接確認しましょう(確認の際は、契約書を手元に用意しておくことがおすすめです)。
また、転院したときには「さらに追加で費用がかかる」こともあります。
紹介状をもらっていても、紹介状に書いてある情報が転院先が知りたい情報に満たない場合は改めて転院先で再度検査を受けることになり、その分費用がかかるでしょう。
そのほか、転院前の歯科医院から返金されない場合や、返金される額よりも転院先でかかる費用が高額の場合、転院することでさらに費用を支払うこととなります。
インプラント治療の転院先を選ぶ5つのポイント
インプラント治療の途中で転院する場合、インプラントを取り扱っていればどこの歯科医院でもいいというわけではありません。
以下の5つのポイントに沿って、転院する歯科医院を探しましょう。
転院を受け入れているか
まず、インプラントの治療途中での転院を受け入れているかどうかを確認しましょう。歯科医院によっては、治療途中の状態では受け入れていない、治療後のメンテナンスのみ受け入れているなど対応が変わります。
ホームページに転院可能、セカンドオピニオン受け入れ可能、など記載されている歯科医院では、治療途中の転院を受け入れている可能性が高いです。また、ホームページで転院の患者さんの費用や保証について詳しく記載している歯科医院もあるので、まずはホームページを確認したり、電話で転院を受け入れているかどうか問い合わせしてみましょう。
同じインプラントメーカーを取り扱っているか
転院を受け入れている歯科医院を見つけたら、次に取り扱っているインプラントメーカーを確認しましょう。同じインプラントメーカーを扱っている歯科医院を選ぶことが大切です。
インプラントは、メーカーごとに構造や治療に使う器具の形・種類、治療の流れなどが異なります。違うメーカーしか取り扱っていない歯科医院へ転院の相談をしても、受け入れてもらえない可能性が高いです。
同じメーカーでも、構造や治療に使う器具の形・種類、治療の流れなどが異なる複数のタイプを販売していることもあり、稀に断られてしまうこともあります。インプラントのメーカーや種類について、詳しく把握しておくとスムーズに歯科医院を探すことができるでしょう。
インプラント治療の実績
治療途中で転院するということは、転院先の歯科医師が治療を途中から引き継ぐということです。インプラントは自費診療のため歯科医師によって治療方法が違うことがあり、転院先の歯科医師の経験値によって引継ぎがうまくいくかどうかに差が出るでしょう。
治療経験があれば必ずうまく引き継げるというわけではありませんが、転院を後悔しないためにも歯科医師の経験や実績を確認し、コミュニケーションがとれるかどうかなども参考にするとよいでしょう。
費用はどのくらいか
インプラントは自費診療のため、各歯科医院によって費用が大きく異なります。また、転院する場合は、新たに転院先と契約を結ぶことになります。
同じインプラントメーカー、同じ方針の治療であっても歯科医院によって費用が異なるため、転院前の歯科医院で提示された費用よりも高額な治療費が提示されるかもしれません。
また、治療後のメンテナンスの費用やトラブルが起きた際の対応・費用も異なります。転院を検討する際は費用についてもよく確認しましょう。
メンテナンスを受けやすい環境か
インプラントを歯として長く使うためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。転院先の歯科医院がメンテナンスまで行ってくれるかどうか、メンテナンスの費用がいくらかについても確認しておきましょう。
また、治療途中で転院すると転院前のクリニックと転院先のクリニックで受けた治療の責任や保証が曖昧になってしまいがちです。せっかく無事に治療が終わって安心していたのにメンテナンス期にトラブルが起きてしまい、対応してもらえなかった、保証が受けられなかったということもあります。
治療だけでなく、メンテナンスなど治療後の環境も含めて確認しておきましょう。
まとめ
インプラントの治療途中での転院は可能な限りしないほうがいいといわれています。事情により転院をしたい・しなくてはいけないこともあるでしょう。
その場合、「紹介状をもらう」「取り扱いのインプラントメーカーを確認する」「費用や保証内容を確認する」3つのポイントを意識し、さらに5つのポイントに沿って転院先を探しましょう。
担当医に相談することで治療の計画を立て直してもらえたり、引っ越し先から近い場所にある担当医が信頼する転院先の歯科医院を紹介してもらえることもあります。
すぐに通院をやめてしまうのではなく、可能な限り転院の相談や転院先の確認をし、しっかり準備してから転院するようにしましょう。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
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