歯がない人もインプラント治療はできる?放置する3つのリスクも解説
「インプラント治療に関心はあるけど、自分にはできるかどうか」で悩んでいませんか?
抜けた歯の本数が多かったり、上顎か下顎どちらかにすべての歯がない状態になったりすると治療ができるのか、相談に行ってもいいのか心配に感じるかもしれません。
既に歯がない人もインプラント治療はできるのか、歯がないまま放置しているとどうなってしまうのか、放置したときにリスクが起こるのかについても解説します。
更新日:2023/10/16
■目次
1本も歯がない人でもインプラント治療は可能
お口の中に1本も歯がない状態でも、インプラント治療ができる可能性は十分にあります。
インプラント治療が受けられるかどうかを診断するのは残っている歯の本数ではなく、顎骨にインプラントを埋入できるだけの充分な厚みや密度などがあるかなどです。
歯が1本も残っていなくても、顎骨の十分な厚みと骨密度があればインプラント治療はできる可能性が高いです。
反対に、歯が残っていても骨の厚みなどが不十分だと、インプラント治療が難しくなります。
1本も歯がない場合はこのあとご説明するall-on-4やインプラントオーバーデンチャーなどの治療が検討されることが多いです。
1本も歯がなくても、インプラントを諦める必要はありません。
そもそもインプラント治療とは?
そもそも、インプラント治療は失った歯を補うための治療です。
失った歯が1本であっても複数本であっても、例え全部であっても治療内容は大きく変わりません。
失った歯の部分にインプラント体を埋め込み、人工の被せ物を装着し、天然歯のように噛めるようにする治療方法です。
複数の歯を失った場合は、複数のインプラント体を埋入して被せ物をする、インプラント同士をつなげてブリッジで治療する(インプラント上の歯の被せ物を連結させインプラントの本数よりも多くの歯を補う方法)、すべての歯を失っている場合はall-on-4やインプラントオーバーデンチャーと呼ばれる入れ歯も併用する治療方法で歯を補います。
治療方法は違えど、失った歯の本数でインプラント治療の可否が決まることはありません。
1本も歯がなくてもできる2つのインプラント治療
1本も歯がない場合の治療方法としては「固定式インプラント」、「インプラントオーバーデンチャー」があります。
固定式義歯(All-on-4・All-on-6)
固定式義歯とは埋入したインプラントの上に義歯を装着する方法です。
歯が片顎に1本も残っていない場合は、片顎に4本または6本のインプラントを埋め込み、入れ歯を装着することで歯を補います。
4本のインプラントで入れ歯を支える場合はall-on-4、6本のインプラントで入れ歯を支える場合をall-on-6と呼びます。
【固定式義歯のメリット】
・しっかり噛めるようになる
・違和感が少なく口の中に馴染みやすい
・顎の骨に固定されているため安定感がある
・取り外しをしなくて済む
・日々のケアは自分自身の歯の場合と似ている
【固定式義歯のデメリット】
・保険範囲内で作られる総入れ歯よりも高額になりやすい
・定期的なメンテナンスが必要
・治療可能な歯科医師が多くない
【料金相場】
約1,800,000円~約3,500,000円
2023年5月 株式会社メディカルネット調べ
インプラントオーバーデンチャー
インプラントオーバーデンチャーとは2本~4本のインプラントを埋入することで、いわゆる総入れ歯を支える方法です。
インプラントと入れ歯にそれぞれアタッチメントと呼ばれる装置を付け、より安定させる方法もあります。
ボタンのようにぱちっと嵌めるタイプのアタッチメントやスナップボタンのようなタイプのアタッチメント、特注のバーで固定するアタッチメント、さらに、インプラントと入れ歯に磁石を埋め込み、磁力で安定させるマグネットオーバーデンチャーなどさまざまなタイプがあります。
歯茎に入れ歯が沈まなくなるため痛みを感じにくくなるほか、噛んだ時に入れ歯が安定しやすくなります。
入れ歯は取り外しができるため、清潔に保ちやすいことがメリットです。
【メリット】
・安定感を得やすい
・噛む力が強くなり、硬いものも食べやすくなる
・話している途中などに外れる心配がない
・取り外せるため清掃しやすい
・入れ歯で感じていた痛みが軽減される
【デメリット】
・通常の総入れ歯よりも治療費が高額である
・入れ歯に慣れていない人は違和感を感じやすい
・通常の総入れ歯と同様に外して清掃する必要がある
・ゴマなど細かいものがはさまることがある
・アタッチメントが消耗すると交換が必要になる
・対応可能な歯科医師がまだ少ない
【料金相場】
400,000円~1,600,000円
2023年5月 株式会社メディカルネット調べ
歯がない状態を放置する3つのリスク
歯がない状態にもかかわらず、入れ歯やインプラントを入れないとさまざまなリスクがあります。
見た目に影響が出てくる
歯が抜けたままにしていると、歯を支える骨(歯槽骨)に刺激が伝わらずだんだんと骨が痩せてしまいます。骨が痩せると歯茎も下がってしまい、見た目にも影響が出てしまいます。
他に、頬がこける、顎がたるむ、口元にシワができる、といった変化があり、いわゆる老け顔になってしまうでしょう。
認知症のリスクが高まる
歯を失うと噛む力が弱まります。
日本歯科医師会が主催している「いい歯は毎日を元気に」プロジェクトによると、歯を失ったまま補わずにいる場合、認知症を発症するリスクが1.9倍も上昇すると報告されています。
しっかり噛むことができないと脳への刺激が少なくなり、記憶機能や空間認知機能が低下するのではないかと考えられています。
胃腸への負担が増す
本来、食べ物は噛んですりつぶされた状態で胃に届きますが、噛めない場合は丸飲みになってしまいます。
また、食べ物は噛んでいる間に唾液と混ざり、唾液に含まれる消化酵素が働きますが、噛めない状態では唾液と食べ物が混ざらないため胃に入る前の消化酵素が作用しなくなってしまいます。
食べ物の消化はお口の中から始まっており、うまく噛めないことで胃腸への負担が増してしまうのです。
まとめ
歯が1本もない状態の治療方法は、インプラントオーバーデンチャーのようにインプラントと入れ歯を併用した治療方法があります。
1本も歯がなくても、顎骨の骨密度や厚みなど状態がよければインプラント治療は十分に可能です。
歯がない状態が続くと、お口の中だけでなく消化が悪くなるなど全身にも悪影響が生じます。
もしも今歯がない状態で放置している方、総入れ歯が使いづらくてあまり噛めない方、多くの歯を抜歯して入れ歯になる予定がある方がいれば、諦めずにインプラント治療を検討してみてはいかがでしょうか。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
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