インプラントは喫煙によって成功率が変わるの?
インプラント治療は喫煙によって成功率が変わるのでしょうか。当記事では喫煙とインプラントの関係についてお伝えします。
更新日:2023/06/26
■目次
喫煙者はインプラントできないの?
喫煙者の場合、インプラント治療を受けられないのでしょうか?
喫煙されている方も不可能ではありませんが、非喫煙者に比べて成功率や生存率が低いこともあり、喫煙量によっては治療を断られる可能性があります。
ヘビースモーカーと呼ばれる方の場合はインプラントの治療ができない可能性が高いです。
喫煙はインプラント治療の成否を分ける重要なリスクファクターのひとつなのです。
インプラント治療後も禁煙するのが理想的
治療が終わったからといって喫煙し始めるとインプラントの予後へ影響が及びます。
せっかく費用と時間をかけて入れたインプラントだと思いますので、長持ちさせたいですよね。
インプラントの治療前はもちろん治療後も禁煙をするのが理想的です。
インプラントの成功率は喫煙の影響を受ける
喫煙者では、インプラントを埋入しても1年以内に脱落してしまうリスクが約2倍に上がることが明らかとなった調査があります。*
この調査からも、喫煙をしている方がインプラントの治療を受けることができたとしても、インプラントが適応せずに抜け落ちてしまう確率は喫煙していない場合に比べて高くなることが分かります。
* 福田仁一 喫煙と口腔病変との関連 2017 66p
インプラントに喫煙はどのような影響を及ぼす?
喫煙はインプラントにどのような影響を及ぼすでしょうか。喫煙すると以下のようなリスクが高まりますよ。
インプラントと骨の結合を阻害する
インプラント治療は、インプラント体(骨に埋め込むネジの部分)と骨が直接結合することでその定着に繋がります。
一方で喫煙は血流を悪くする因子であるため、喫煙により骨や組織が栄養不足に陥りその結合を阻害してしまいます。
そのため喫煙者の場合のインプラント治療成功率は下がってしまいます。
歯周病・インプラント周囲炎リスクが高くなる
喫煙により唾液の分泌が低下します。
唾液には自浄作用や抗菌作用など様々な働きがありますので、その機能が作用しなくなると歯周病やインプラント周囲炎のリスクが高まります。
インプラント周囲炎が進行するとインプラントを支える骨が溶けてきてしまうためインプラントを長持ちさせずらくなります。
免疫機能が低下してしまう
喫煙により白血球の働きが弱まります。白血球は身体の外から侵入した細菌をやっつける働きがありますが、その機能が低下するので免疫機能が低下します。
喫煙は、炎症が起きた歯周組織の回復を妨げることにもなるのです。
まとめ
インプラントの治療を検討されている場合、禁煙への取り組みは重要となります。
喫煙はインプラント治療の成功率を下げるだけでなく、全身へも様々な悪影響を及ぼすので死亡のリスクも高まります。
最近では医科での禁煙外来も手軽に受診できるようになりました。
長く健康に暮らすためにも禁煙を検討されてはいかがでしょうか。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
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