インプラントは変形する? 埋入後に形が変わったら

ずっと問題を感じず快適に使えていたインプラント。
でも、ある日急に違和感を覚えることもあります。

違和感の原因は、なんとなく揺れている気がする、舌に当たるようになった、インプラントの形が今までと違うような気がする、などさまざま。

今回は、インプラントが変形したと感じる場合の理由や疑問にお答えします!

更新日:2023/04/21

インプラントは変形する? 埋入後に形が変わったら

■目次

  1. インプラントは変形する?
  2. インプラントが変形したように感じる理由
  3. インプラントが変形したかも?と思ったら
  4. 意識すると気になってくることも
  5. まとめ
  6. 記事監修

インプラントは変形する?

インプラントは変形する?

インプラントが変形したように感じることがありますが、そもそもインプラントは変形するものなのでしょうか?

インプラントは、歯茎に埋め込む人工歯根「インプラント体」、インプラント体と被せ物をつなぐ「アバットメント」、人工歯と呼ばれる被せ物の「上部構造」で構成されています。

それぞれのパーツやインプラントのメーカーなどによって素材は異なりますが、主にインプラント体とアバットメントはチタンかジルコニア、上部構造はセラミックかジルコニアでできています(上部構造は金属製のものもあります)。

インプラント体とアバットメントの素材であるチタンの融点は1668℃と非常に高いため、口の中で変形することは考えにくいです。
1668℃は純チタンの融点ですので、インプラント体ではもう少し融点が低い可能性も考えられますが、それでもお口の中に入れられる温度の物で溶けて変形することはないでしょう。

次に、インプラント体が削れて変形する可能性について考えてみましょう。

研磨剤の入っている歯磨き粉で磨くとインプラントに傷がつく、など聞いたことがあるのではないでしょうか。

チタンの硬度は鉄と同じくらい、あるいはそれ以上と言われています。
歯磨き粉の研磨剤や食事で硬いものを食べても、変形したと感じるほどの大きな傷はできません。

インプラントが変形したように感じる理由

インプラントが変形したように感じる理由

では、なぜインプラントが変形したと感じることがあるのでしょうか。

インプラントが変形しているように感じる理由は以下のようなものが考えられます。

被せ物が割れた・欠けた

被せ物が割れた・欠けた

インプラント体が割れたり欠けたりすることは滅多にありませんが、被せ物(上部構造)や土台(アバットメント)が割れたり欠けてしまうことがみられます。

被せ物はセラミックやジルコニアで作製されることが多いですが、噛み合わせの強さや硬いものを噛むなどで割れることがあります。

被せ物が欠けたり割れたりすると舌に当たる感覚が変わるため、インプラントが変形したと感じる原因になるのかもしれません。

インプラントが緩んでいる

インプラントが緩んでいる

インプラントは、インプラント体と被せ物をアバットメントというパーツで接続しています。

アバットメントをネジで固定する方法の場合、ネジが緩みインプラントが緩む原因に。
また、インプラント周囲炎などでインプラントの周りの骨が溶けて、実際にインプラント体がぐらついてしまうこともあります。

インプラントのネジが緩むとインプラントの被せ物の向きが少しずれてしまうため、形が変わったように感じられるのかもしれません。

インプラントの周りの歯を治療・抜歯した

インプラントの周りの歯を治療・抜歯した

インプラントの隣の歯を治療したり抜歯を行うと、噛み合わせやインプラントと隣の歯の隙間の具合が変わり、違和感を感じることがあります。

口周りの筋肉が衰えてきた

口周りの筋肉が衰えてきた

口の周りの筋肉が衰えると、頬や舌の位置が変わってしまいます。
自分では鏡を見ても気付かない程度の頬のたるみや頬のこけも、お口の中では大きな違和感を感じることがあるようです。

歳を取り頬の筋力が衰えたことによって、頬の肉を咬みやすくなった、という患者さんも。
口周りの筋肉が衰えないよう、しっかり噛んで食べたりトレーニングを取り入れたりしてみてくださいね。

インプラントが変形したかも?と思ったら

インプラントが変形したかも?と思ったら

もしもインプラントが変形したと感じる場合は、早めに歯科医院で診察を受けましょう。
変形はしていなくても、インプラントが緩んでいたり被せ物が割れているなど、ほかのトラブルが起きていることがあります。

インプラントの違和感は、できるだけ自分がインプラント治療を受けた歯科医院で相談してみてくださいね。
インプラント治療はどこでも同じように見えますが、治療方法や使っているメーカーなどによって治療法は異なるためです。

もしも引っ越しや何らかの都合で通院ができない場合は、使用したインプラントのメーカーや治療方法を新しい歯科医院へ伝えるようにすれば、トラブルの原因が見つかりやすくなるかもしれません。
通院する前に、電話で問い合わせしておくこともおすすめです。

意識すると気になってくることも

意識すると気になってくることも

インプラントそのものに問題がなくても、口の中にインプラントがあることを意識しすぎると異物感を覚えることもあります。

ただ、実際にインプラントに問題が起きている可能性もあるので、どうしても違和感が拭えない場合は診察を受けましょう。

また、インプラントに異常が起きないように普段のセルフケアや、インプラント周囲炎を予防する、定期的な検診を受けるなどのメンテナンスを続けることが大切です。

まとめ

インプラントが変形してしまう理由をお伝えしましたが、インプラントが大きく変形してしまったというトラブルはあまりないようです。

インプラントが変形したと感じる多くの理由は、被せ物が欠けたり、インプラントが揺れ動いたりしていることです。
被せ物の不具合やインプラントのトラブルは放っておくと別のトラブルを招く恐れがあるので、違和感を感じたら早めに歯科医院でチェックを受けてみてくださいね。

定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることでトラブルを未然に防げるケースもあります。
また、トラブルが起きた時の保証がメンテナンスを受けていること、という条件付きの場合も。
様々なトラブルに備えて、問題がない時もメンテナンスを受けておきましょう!

記事監修

記事監修:古川雄亮

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。
2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。