CTスキャンは必須! CT撮影せずにインプラント治療を受ける危険性と!?
これからインプラント治療を受ける方。
歯科医院を決めるためにさまざまなことを調べているかと思います。
歯科医院を選ぶときには、「CTのある歯科医院」を選んでみてください。
インプラント治療にCT撮影は必須です。
CT撮影をしないでインプラント治療を受ける危険性をご紹介します。
更新日:2021/12/13
■目次
インプラントの検査にCTは必須
インプラント治療をトラブルなくより安全に進めるために大切なのが、事前の精密検査です。
検査で詳しくお口の状態を調べるためには、歯並びや骨格といった外観のことだけでなく、インプラントを埋める部位の顎骨の状態や、血管や神経の位置までわからなければなりません。
それを調べるために必須となるのが、歯科用のCTです。
CT撮影をしないインプラント治療の危険性とは!?
インプラントは、顎骨の適切な位置に埋め込むことが非常に大切です。
顎の中に走っている神経に接触する可能性があり、埋入する位置が悪いため神経に接触すると治療後に痛みや顔の皮膚の痺れが起こってしまうのです。
症状が続く場合はインプラントを取り除かなければならなくなるほか、取り除いても治らないケースや治るまでに年単位の期間がかかることも。
また、手術中に血管を傷つけてしまい、多量に出血して術後の腫れや痛みにつながってしまうおそれもあります。
CT撮影でわかること
CTは、顎骨内を通っている神経や血管の位置を撮影できます。
神経の位置に気をつけながら埋入できるので、インプラントを埋入するところの違和感や痛みといったトラブルを軽減し、より安全に手術できます。
また、血管の位置も同時に把握し、手術中の出血を減らして術後の腫れや痛みといった症状も少なくできます。
さらに、顎骨の厚さや骨密度なども判明し、そもそも現状の骨の状態で手術が可能かどうかを判断する材料を得られます。
CTは、単に神経や血管の位置、それに骨密度などを撮影できるだけではありません。
撮影した画像を使いソフトウェアで手術をシミュレーションできるので、より正確な治療に望めます。
院内にCTがなくてもOK
通院する予定の歯科医院が歯科用CTを完備していない場合でも、CT設備のあるほかの歯科医院や大学病院と提携しているのであれば問題ありません。
治療を始める前に提携している病院を紹介してもらい、CTを撮影して担当医が診断することができるためです。
ただし、もし治療中や治療後にトラブルが起きたとき、通院しているところ以外でCT撮影を受けなければならず、対応してもらうまでに時間がかかる可能性があります。
トラブルの内容によっては早い対処がその後の分かれ道となることもあり、CTの設備がない歯科医院を選ぶ場合はリスクが少し増えると考えておきましょう。
CT撮影とレントゲンの違い
歯科治療の撮影で使用されているパノラマレントゲンは、平面で撮影する2次元的な画像を取得できます。
これにより、上下の歯を一枚の画像で把握したり、副鼻腔や顎などを全体的に把握できます。
一方のCTは、立体画像を取得できる3次元的な画像です。
肉眼では見えない血管や神経の位置、さらには骨の厚みなどを立体的に把握できます。
さらに、ソフトウェア上でインプラントを埋めるシミュレーションを行なえるという利点もあります。
歯科用CTの被ばく量はどれくらい?
歯科で使用される歯科用CTで気になることといえば、撮影による被ばくではないでしょうか。
同じCTでも歯科用CTと医科用CTでは被ばく量が異なります。
歯科用CTの場合、被ばく量はあまり気にし過ぎる必要はありません。
例えば医科用のCTは、1回の撮影で約7ミリシーベルトの放射線量を受けるとされています。
放射線は、CT撮影などを受けていなくても日々生活する中で宇宙や大気から少量受けるもので、国内の平均では年間1.5ミリシーベルトの放射線量を受けると考えられています(※1)。
医科用のCTは1度の撮影でその4倍以上の放射線量となるので、放射線による被ばく量は多いといえるかもしれません。
一方の歯科用CTは、短い時間での撮影となるなど医科用とは性質が異なることもあり、0.1ミリシーベルトの放射線量で済みます。
医科用CTに比べると、放射線量は約1/70の計算になります。
(※1:2.4ミリシーベルトともいわれる)
インプラント治療はトラブルと隣り合わせ
インプラント治療をより安全に実行するために大切なのが精密検査です。
CTは神経や血管の位置、それに骨の状態を調べられるので、インプラント治療を適切に行なうためには必要不可欠な過程といえます。
インプラントは正確な手術や検査が行なわれなければ、痛みや違和感といったトラブルを引き起こすおそれがあります。
そのため、なるべくCT撮影ができる歯科医院を選択してください。
歯科用CTの装置がない場合でも、連携をとっているほかの医院や大学病院などで検査できないか確認をしておきましょう。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開
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