抜歯した7番の治療について 7番にインプラントって必要?
歯が抜けてしまった場合、インプラントや入れ歯、ブリッジなどの治療で歯を補う治療が必要ですよね。
しかし、「前から7番目の歯(一番奥の歯)抜いた場合はインプラントなどの治療は必要ない」という話を耳にしたことはありませんか?
7番目の歯が抜けた場合、本当に治療は必要ないのでしょうか。
治療が必要なケース、不要なケース、また治療しない場合のメリットデメリットをご紹介します!
更新日:2021/09/17
■目次
7番を抜歯したらインプラント治療が必要?
前から7番目、一番奥の歯が抜けてもインプラント治療は必要ない、と聞いたことはありませんか?
本当に歯が抜けたのにインプラントなどの治療が必要ないのでしょうか。
まずは7番目の歯の治療が必要なケースと必要ないケースについてご紹介します。
7番の治療が必要なケース
歯の治療は見た目だけでなく、左右のバランスや歯の本数、噛み合わせなどさまざまな条件を考慮して行う必要があります。
歯は上下で噛み合っており、例えば上下どちらかの7番目の歯だけを失った場合、噛み合う相手の歯が空いたスペースに伸びてきてしまうことがあるのです。
食べ物が挟まりやすくなったり、頬や歯茎を傷付けてしまうことも。
歯が1本足りない分、ほかの歯に噛むときの力などの負担がかかり、歯がダメになってしまうことも考えられます。
親知らずが残っている場合は、抜けた7番のスペースに親知らずが斜めに生えてきたり、まっすぐ生えていた親知らずが斜めに傾いてしまうことがあります。
7番目の歯が抜けたままにして、ほかの歯やお口の中のトラブルを招く可能性がある場合、お口の機能を大きく失う可能性がある場合はインプラントなどの補綴治療が必要なケースと言えるでしょう。
不要なケース
既に噛み合う歯も失っている場合は、上下共に7番目の歯がない状態でバランスがとれるため治療を行わないケースがあります。
また、歯並びの問題でもともと7番目の歯が噛み合うなどの機能を有していない場合や、7番目の部分の顎の骨がほとんど残っていない場合はインプラントなどの治療をおこなわないこともあります。
そのほかにも、7番目の歯がなくても十分に噛める機能が保てると診断された場合や、お口を大きく開けることが難しく、7番目の部分の治療が十分に行えないと判断された場合などは治療しないことも。
いずれにしても歯を失ったことによる影響が少なく、お口の機能を損なわない場合と考えられますね。
7番の抜歯後に治療をしないメリット
7番目の歯を抜歯した後に治療しない1番大きなメリットは「治療費用を抑えられる」ことではないでしょうか。
奥歯の入れ歯は慣れないうちは使いづらい方も多く、7番目の歯を抜いた後はインプラントがおすすめされる傾向にあります。
インプラント治療は基本的に自費治療のため高額の治療ですが、抜歯後に治療しない場合は特別な費用は掛かりません。
また、インプラント治療のために長期間通院する必要もなく、通常の定期検診だけでいいというのも大きなメリットかもしれませんね。
7番の抜歯後に治療をしないデメリット
歯が抜けたままにしておくと、空いたスペースに噛み合う相手の歯や隣の歯が移動して歯並びや噛み合わせが崩れる可能性があります。
まず、噛み合う歯が空いたスペースに伸びていく「挺出(ていしゅつ)」という現象です。
歯が伸びているように見えますが、実際は歯茎に埋まっているべき部分の歯が出てきてしまっているので、歯がぐらついたり、抜けてしまうこともあります。
また、抜歯した歯の両隣の歯が横向きに倒れてくる「傾斜」が起こることも考えられます。
歯が傾くということは、上下の歯の噛み合わせも悪くなります。
歯並びや噛み合わせの不正は虫歯などのリスクを高めるほか、頭痛や肩こりといった不調につながるおそれがあります。
さらに、会話の際に歯が抜けた部分から空気が漏れてしまい発音に違和感がある、舌が歯の抜けたスペースで動いてしまい喋りにくい、食べにくいと感じることも。
また、1本歯を失っているので、今までその歯にかかっていた噛む力がほかの歯へと分散され、ほかの歯の負担が増えてしまうこともあります。
7番抜歯後のインプラント以外の治療方法3つ!
7番目の歯を抜いたあとに治療をしたほうがいいのはわかったけどインプラント治療は高すぎる、という場合、インプラント以外の治療を検討してみてはいかがでしょうか。
インプラント以外の治療法を3つご紹介します。
入れ歯
部分入れ歯は、金属製のバネなどを残っている歯に引っ掛けて固定します。
取り外しができるので清掃しやすく修理もしやすいほか、支点となる歯を大きく削る必要もありません。
しかし、金属のバネが目立つほか、発音がしにくい、違和感がある、といった可能性があります。
延長ブリッジ
抜けてしまった歯の両隣に残っている歯を土台として人工歯を被せるという治療方法です。
7番の歯が抜けてしまうと、手前にしか歯が残っていないというケースが考えられます。その場合、手前の2本の歯を土台にする「延長ブリッジ」という特殊なブリッジを作製することになります。
ただし、延長ブリッジは土台となる歯への負担がより大きくなると考えられています。
矯正(歯の移植)
ご自身の親知らずなどの歯を抜き、なくなってしまった7番目の歯に移植する治療方法です。ブリッジや入れ歯のような人工物を使わないので、違和感が少なくなります。また、抜歯する前に近い状態まで回復させることができます。
一方、移植するためには歯を骨に結合させるため、数カ月の治療期間が必要となります。移植する歯は一度取り出すことにより神経が死んでしまうので、根の治療もしなければなりません。
その他、親知らずの歯を矯正で動かして、7番目の歯の隙間を埋めるなどの治療方法もあります。
おまけ:7番目の歯の役割とは
7番は「第二大臼歯」とも呼ばれますが、そのひとつ手前にある「第一大臼歯」、そして一番奥に位置する「第三大臼歯(親知らず)」という3つの大臼歯が並んでいます。
臼歯は食べ物をすりつぶして細かくするなどの役割があります。そのため、奥歯を失ってしまうと食事が難しくなってしまいます。
また、噛み合わせの高さにも大きく影響します。
奥歯がなくなったまま放置すると、歯の移動により歯並びや噛み合わせが悪くなり、肩こりや顎関節症といった全身症状を引き起こす可能性があります。
まとめ
もし7番目の歯を失った場合は、自分だけで判断して放置せず、歯科医師と治療の必要性や治療方針についてよく話し合ってください。
インプラント治療を検討するときも、メリットとデメリットを把握したうえで選択してみてくださいね。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
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