サージカルガイドとは?インプラント治療の精度を高めるために役立ちます

インプラント治療を行うにあたって、「サージカルガイド」という装置の使用を勧められるケースがあります。このサージカルガイドとはいったい何なのか、手術にあたって本当に必要なものなのか。そう思っている方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、サージカルガイドとはそもそも何なのか、何のための装置で、どんな効果やメリットがあるのか、利用するための費用はどれくらいかかるのか……といった疑問について、それぞれお答えしていきたいと思います。

更新日:2021/07/06

サージカルガイド

■目次

  1. サージカルガイドってどんなもの?
  2. サージカルガイドは全てのインプラント治療に必要なの?
  3. サージカルガイドを使用することの利点はなんですか?
  4. サージカルガイドを作製するのにかかる費用はどのくらい?
  5. まとめ

サージカルガイドってどんなもの?

サージカルガイドを利用しインプラントを埋め込む

「サージカルガイド」とは、事前の治療計画の時点で集められた情報をもとに作成された、インプラントを埋入する際に用いるレジン性のガイドのことであり、「サージカルテンプレート」とも呼ばれます。実際に手術を行う時に、角度、深度、位置といった要素を事前の想定通りに再現する手助けとなり、手術のサポートや、エラー・リスクの低減を可能とします。

作製の手順としては、事前にCTスキャンを行って採取した歯型のCT画像や3Dデータをもとに、インプラント手術のシミュレーションをコンピューターで行います。そこで、インプラント体のサイズや、インプラント埋入を行う位置・角度などの要素を策定し、それらのデータをもとに、3Dプリンターによってサージカルガイドを作成します。
手術時には完成した装置を実際に用いたうえで、ガイドに沿った施術を行っていきます。

サージカルガイドは全てのインプラント治療に必要なの?

クエスチョン

理想としては、全てのインプラント治療においてサージカルガイドが使用されるのが望ましくはあります。しかし、サージカルガイドの作成には時間も手間もかかるため、理想に反して、全てのインプラント治療にサージカルガイドが用いられているわけではないのが現状です。

また、1歯欠損(中間欠損で両隣に歯がある)の場合はもともと埋入位置の予測が容易であり、骨吸収が進行しているケースも少ないため、費用と手間をかけてまで、サージカルガイドを使用する必要性が低いのも確かです。このように、現在のインプラント治療においては、サージカルガイドを用いるか否かはケースバイケースとなっています。

サージカルガイドを使用することの利点はなんですか?

インプラントの治療説明

まず、インプラントの埋入がより正確に行えるという点がメリットの一つとして挙げられます。また、手術前にシミュレーションを済ませることができる都合上、医師が手術中に考えることや不確定要素も減らすことができるため、手術時間の短縮にもつながってきます。

さらに、インプラント埋入時のリスクを極力避けることが可能になるため、手術で切開する歯茎の範囲を極力小さくしたり、口内の神経や血管を傷つける可能性を下げたり、細菌感染の可能性を減らすこともできます。
さらに、サージカルガイドによって理想に近い埋入が可能となるため、術後の痛みや腫れを軽減したり、インプラントをより長持ちさせられるといった、手術後におけるメリットも複数存在しています。

サージカルガイドを作製するのにかかる費用はどのくらい?

電卓とお金

サージカルガイドの作製費用は、埋入するインプラントの本数によって変わってきます。中にはガイドの作製料金自体が手術代に含まれている例もありますが、目安としては、インプラント1本につき、およそ5~10万円以上という金額が相場となってきます。

まとめ

サージカルガイドを用いる場合は治療費こそ通常よりもやや高くなってしまいますが、その代わりに、より精度の高いインプラント治療が可能となります。それだけでなく、手術中・手術後の双方におけるリスク・エラーを低減することにもつながるため、手間や費用をかけるだけの価値はあると考えられます。

欠損している歯が1本だけであれば、必ずしも使用する必要がないなど、状況によってメリットの度合いが少なからず変化する面はありますが、先述の通り、全てのインプラント治療においてサージカルガイドを使用するかたちが理想的ではあります。
インプラント埋入にあたって最善を期したいのであれば、サージカルガイドの使用を検討する価値はあることでしょう。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。