インプラント手術直後は歯がない?仮歯で解決
インプラント治療は虫歯、歯周病、外傷、先天的な理由などで失われた歯を補うための治療ですが、治療期間の中には手術の後、数カ月から半年ほど歯がないまま過ごす期間があります。
歯がないままの期間があることは見た目が気になりますし、食事や会話にも不安を感じるのではないでしょうか。
歯がない期間を設けるとインプラント体が顎に定着する確立が高まるとされていたこともあり、術後に一定期間を開ける医院が多い傾向にありますが、一時的とはいえ歯がない期間はないほうがいいですよね。
インプラントがお口の中に定着するまでの間の口元の見た目や食事などの問題は、仮歯で解消することができるかもしれません。
更新日:2021/06/10
■目次
インプラント埋入手術直後は歯がない?
インプラント治療はいくつかのプロセスを踏んで進めていきます。
まずは、一般的な治療の流れをご覧ください。
(2回手術を行なう「2回法」の場合)
1 カウンセリングや検査など
2 一次手術
3 治癒期間
4 二次手術、アバットメントの装着
5 人工歯の装着
6 治療後のメンテナンス
この中で2番目に当たる「一次手術」でインプラント体(人工歯根)を埋入した後、およそ3ヶ月~半年ほど、歯がない期間を設ける歯科医院が多いようです。
なぜ、すぐに最終的な人工歯を付けられないのでしょうか。
インプラント治療は、まずインプラント体が顎骨に結合することでしっかりとした土台が作られます。
インプラント体と顎の骨が結合するまでにおよそ3ヵ月~半年程度かかるとされており、その期間はインプラント体に負荷がかからないようにすることが、インプラント体と顎の骨の定着率を上昇させるといわれていました。
そのため、顎の骨にインプラント体を埋め込んだ後は一定期間正式な人工歯を装着しない傾向にあるのです。
しかし歯がない部分から空気が漏れてしまい発音がしづらくなり会話が気になる、食事の際に口を開けることが気になるなどの心配もありますよね。
前歯や下の歯など歯がなくて目立ちやすい部分のインプラント治療を受ける方は特に気になってしまうのではないでしょうか。
そんな問題を解決するにはどうしたらよいのでしょうか?
仮歯で歯がない期間の問題を解決!
インプラント体を埋め込む手術の後に歯がない期間は、仮歯を装着することで問題を解決することができます。
仮歯を装着することで、下記のメリットがあります。
・見た目の美しさを保つ
・残った歯が移動しないよう、歯並びや噛み合わせを維持する
・仮歯の形状を調整し、最終的な人工歯の形態の参考にできる
仮歯はインプラント体に問題が起きた場合や正式な人工歯に付け替える際に外す必要があるため、比較的外れやすくしています。
また、インプラント体に力をかけないよう、噛み合う歯と当たらないように調整することもありますが、歯がないことによる見た目の問題は解決することができるでしょう。
仮歯の種類
仮歯はさまざまなタイプがあります。
インプラントを埋め入れる場所や本数、患者さんのお口の状態などから適した仮歯を選んでいきます。
もし、希望とする仮歯のタイプがある場合は、事前に歯科医師に確認しておきましょう。
・アバットメントにセメントで装着するタイプ
・アバットメントにネジで装着するタイプ(外れにくい)
・両隣の歯にセメントでくっつけるタイプ
・ブリッジのように隣の歯と一体化したタイプ
・入れ歯のタイプ
など
どのタイプの仮歯にもメリット・デメリットがありますので、仮歯を検討される方は担当の歯科医師と事前によく相談してみましょう。
インプラント体の状態や顎の骨の状態、お口の中の状態などさまざまな観点から患者さんに適した仮歯を選ぶことが、インプラント治療を成功させるポイントですよ。
仮歯の注意点は3つ!
インプラント治療中に入れるのはあくまで仮歯なので、最終的な人工歯と同じような機能性というわけではありません。
そのため、仮歯を装着している間は3つの注意点があります。
くっつきやすいものは避ける
キャラメルやガムのように歯にくっつきやすいものは仮歯にくっついて外れてしまう可能性があります。
多くの場合は飲み込んでしまってもそのまま排出されるため問題はないとされています。
しかし、のどに詰まってしまう、仮歯のふちが食道や胃を傷付けてしまう可能性も0ではないため、外れやすい食事は避けるようにしましょう。
もしもお口の中で仮歯が外れかけている時は、早めに歯科医院で付け直しをしてもらうようにしましょう。
硬い食べ物を避ける
おせんべいやフランスパン、香辛料など硬いものを噛んでしまうと仮歯が割れてしまうことがあります。
割れた仮歯は舌や頬など、お口の中を傷付けてしまうことがありますのでそのままにせず、歯科医院で修理してもらいましょう。
仮歯もよく磨く
仮歯自体は虫歯にはなりませんが、仮歯と歯茎の隙間に汚れが残っていると、歯茎が炎症を起こしたり、インプラント体と顎の骨との結合に影響が出るケースがあります。
仮歯の周りも歯ブラシをあてて汚れを取り除くようにしましょう。
ただし、ごしごしと強く磨くと仮歯が外れてしまうことがありますので、優しくていねいに磨いてくださいね。
フロスや歯間ブラシの使用は、セルフケアの違い、インプラント治療の進行具合によって異なりますので、歯科医師または歯科衛生士の指示に従って使用しましょう。
仮歯がとれてしまったら?
外れてしまった仮歯の再装着や修理は、インプラント治療を受けている歯科医院で受けるようにしましょう。
他院ではインプラント治療の進行状況や、使用している素材がわからないことがあり、対応ができないケースが大半です。
「仮歯が完全に外れたけど、いれてみたらピタッとはまった」と自分自身でお口の中に戻して終了しまう患者さんもいらっしゃいますが、思わぬトラブルの元になることがあります。
自己判断でお口の中には戻さずに、そのまま歯科医院へ持って行くようにしましょう。
割れてしまった仮歯も修理が可能な場合もありますので、一緒に歯科医院に持って行ってみてくださいね。
インプラント治療を受けている歯科医院への通院が難しい場合は、まずは歯科医院に連絡をして指示を仰ぎましょう。
仮歯の費用
仮歯の費用は歯科医院で大きく異なりますが、1本あたり平均15,000~16,000円程度の歯科医院が多いようです。
歯科医院によっては、一連のインプラント治療の中に仮歯代が含まれているケースもあります。
インプラント治療に使用する仮歯は自由診療(全額患者さんの自己負担での治療)であり、費用は歯科医院によって差があるため、仮歯を希望される場合は事前に確認しておくと良いでしょう。
また、上記でご紹介したように仮歯には複数の種類があり、種類によって費用が異なることもあります。
希望するタイプの仮歯が決まっている場合は、事前に歯科医師に確認しておきましょう。
仮歯が壊れた場合の修理費用や、仮歯がお口の中に合わず作り直しを希望する場合の対応なども聞いておくと、安心してインプラントの仮歯治療を受けることができるかもしれませんね。
まとめ
仮歯を装着する事で歯がない期間の見た目の問題や、歯がなくて発音がしづらい、食事の際に気になる等の問題を解消することができるかもしれません。
インプラント治療後に歯がない期間を心配されている方は、ぜひ仮歯を検討されてみてはいかがでしょうか。
仮歯の装着の有無によってインプラント治療の進め方や、仮歯の型取りのタイミングなどが異なりますので、仮歯を希望される場合は早めに歯科医師に伝えてみてくださいね。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
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