インプラント治療の気になる疑問~医療費控除の対象になりますか?~
医療費控除は、自分自身や生計を一にしている家族のために医療費を支払った場合に、確定申告で課税所得の控除を受ることができるのです。医療費控除の対象となる金額は、算出方法をご確認ください。また、デンタルローンなどでインプラント治療費を支払った場合は、金利及び手数料相当分は控除対象外となります。
更新日:2021/12/03
■目次
医療費控除の対象になりますか?
インプラント手術を受けようと思い費用をインターネットで調べたところ、だいたいどの医院でも1本あたり40万円~50万円程度が相場とされています。
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インプラント治療は公的医療保険が適用されません。少しでも安くするためには、領収書などを国に提出すれば少し税金が免除されると聞きました。
実際そういったことはできるのでしょうか?
先生からのメッセージ
インプラント治療には保険は適応されませんので金額的にはお調べになった金額以上になると思います。
制度上での減免に関してですが、治療費自体が安くなるのではなく確定申告時に治療費の領収書を提出すると、ほかの治療費と合算して総額年200万まで医療費控除が受けられます。
(協力:川植歯科医院 )
歯科治療における医療費控除について
1.医療費控除の概要
自分自身や家族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。
自分自身以外に、家族の医療費の支払いで医療費控除が適用されるには「生計を一にしている」ことが前提です。
「生計を一にしている」とは、必ずしも一緒に住んでいる必要はありません。別居している子供の学費を支払っている、生活費を仕送りしている、療養費を仕送りしている、など金銭のやり取りが常にある状態は「生計を一にしている」と判断されます。
また、普段は別居していても、夏季休暇や長期の休みの際には同じ家で生活することを基本としている場合も「生計を一にしている」とされます。
2.歯の治療に伴う費用が医療費控除の対象となるかの判断
(1)歯の治療は、高価な材料を使用することが多く治療代もかなり高額になります。公的医療保険の適用されない、いわゆる「自由診療」となるものも多くあります。
このような場合、公的医療保険の適用されない金属をつかった入れ歯(義歯)や、セラミック、ジルコニアなどの被せ物は一般的によく行われる治療であると判断され、医療費控除の対象になります。
しかし、一般的に支出される治療費の水準を著しく超えると判断された非常に高額な特殊な治療は医療費控除の対象になりません。
(2)発育段階にある子供の成長を阻害する症状を改善するために行う不正咬合の歯列矯正治療のように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などから歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になります。
しかし、同じ歯列矯正でも、健康や成長を阻害することのない、見た目を綺麗にするための矯正治療の費用は、医療費控除の対象になりません。
(3)治療のための通院費も医療費控除の対象になります。小さいお子さんの通院や高齢者で1人で通院が不可能な方に付添が必要なときなどは、付添人の交通費も通院費に含まれます。通院費は、診察券などで通院した日を確認できるようにしておくとともに通院にかかった金額を記録しておくようにします。
通院費として認められるのは交通機関などを利用したときのみであり、自家用車で通院したときのガソリン代や駐車場代等といったものは、医療費控除の対象になりません。タクシーの場合、特別な事情があれば、通院費として認められることがあります。
3.歯の治療費を歯科ローンにより支払う場合
歯科ローンは、患者さんが支払う治療費を一旦信販会社が立替払をし、その立替分を患者さんが分割で信販会社に返済していくものです。したがって、信販会社が立替払をした金額は、立替払をした年の医療費控除の対象になります。
患者さんが信販会社に返済した年ではありませんので注意が必要です。
なお、歯科ローンを利用した場合には、患者さんの手元に歯科医院からの領収書がないことが考えられますが、この場合には、医療費控除を受けるときの添付書類として、歯科ローンの契約書の写しを用意します。
(注)信販会社への金利及び手数料相当分は医療費控除の対象になりません。
4.医療費控除を受ける場合の注意事項
(1)治療中に年が変わるときは、それぞれの年に支払った医療費の額が、各年分の医療費控除の対象となります。
(2)健康保険組合や生命保険などから補てんされる(給付される)金額がある場合は、医療費から差し引く必要があります。
■医療費控除の詳細■
1.医療費控除の対象となる医療費の要件
(1)納税者が、自分自身又は自分と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。
(2)医療費控除を申請する年の1月1日から12月31日までに支払った医療費であること。
医療費控除は遡って5年分申請することができますが、その場合も各年の1月1日から12月31日までに支払った医療費で計算します。
(3)1月1日から12月31日までに支払った医療費が10万円以上の場合
(年間所得が200万円以下の方は所得の5%以上の医療費を支払った場合)
2.医療費控除の対象となる金額
医療費控除の対象となる金額は、次の式で計算した金額(最高で200万円)です。
(【実際に支払った医療費の合計額】-【保険金などで補てんされる金額】-【10万円】)X 適用される所得税率
保険金などで補てんされる金額
例)生命保険契約などで支給される入院費給付金、健康保険などで支給される療養費・家族療養費・出産育児一時金など
10万円
(注)その年の所得金額の合計額が200万円未満の方の場合は所得金額の5%の金額
3.控除を受けるための手続
医療費控除は確定申告を行い、「医療費控除の明細書」「医療費控除のお知らせ(医療費通知)」を提出することで手続きができます。
以前は領収書が必要でしたが、2017年から領収書の提出は不要となりました。ですが、詳細の金額を記載することが必要ですので、領収書はとっておきましょう。
保険適用で受けた治療の総額が10万円、あるいは総所得が200万円未満で5%を超えた場合、加入保健機関から送られてくる「医療費控除のお知らせ(医療費通知)」を提出することで申請が可能です。
ですが、公的医療保険適用外の自費診療の治療費で医療費控除を行う場合は患者さんご自身で「医療費控除の明細」に金額を記入し、医療費控除・確定申告の申告期日までに提出することで医療費控除を受けることができます。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。
2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
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