インプラント治療って危険なの?さまざまな問題とその対策

インプラント治療は、失った歯の機能と見た目を取り戻す方法で、日本だけではなく世界中で多くの方が治療を受けられています。しかし、一部の方のなかでは危険な治療と認識されている事実もあります。ここでは、危険といわれる要素や、どのような対策をとっていればそのリスクが低くなるのかについてご紹介します。

更新日:2019/10/03

■目次

  1. 外科手術を伴う治療であること
  2. 術者の技術力や診断力による問題
  3. インプラントの品質の問題

外科手術を伴う治療であること

インプラントを埋め入れる際は、歯茎を切り開いて、顎の骨を削る外科手術が必要です。顎の骨の中は神経や血管が走行していて、顎の骨の周りには鼻や舌、首など他の組織と近接しています。これらを損傷させないように入念な診断、治療計画、治療が必要となります。損傷した場合、状態によっては障害が残ることや、生死にかかわることもあります。このようなリスクを下げるためには、次のことを重視している歯科医院を選ぶと良いでしょう。

【対策】
・お口の中の状態、全身の健康状態、お口の模型上での検査、レントゲン検査(パノラマCT)などの精密検査を十分に行っている
・CTで撮影した画像を3D解析ソフトで確認し、お口全体の状態をあらゆる角度から診査している
・公的な学術研究団体に所属し、講習を受けたり、院外の歯科医師と討論したりして、知識や技術を学んでいる

術者の技術力や診断力による問題

虫歯や歯周病とは異なる知識や技術が必要とされるインプラント治療ですが、歯科医師免許があればインプラント治療を始めることができます。経験不足や力量を超えた治療で、インプラントが早期に抜け落ちたり、医療トラブルが起こったりすることもあります。

>>インプラント治療を行う先生に必要な資格

【対策】
・経歴に自信のある歯科医師は、どのようなところでインプラントを学んだのか、明らかにしている傾向にあります。一つの目安としてホームページや院内の掲示物などで確認しておきましょう。
・その歯科医師が手掛けた過去の治療写真を見せてもらい、自分と似た治療を手掛けたことがあるかを、治療を受ける前に確認しておきましょう。

インプラントの品質の問題

インプラントの種類は世界で100種類以上存在し、国内では30種類以上が使われているといわれており、治療実績のある品質の良い製品もあれば、何らかのトラブルを抱えている製品もあります。インプラント治療のほとんどは、自由診療になりますので、使用するインプラントの品質の規約はありません。厚労省で認可されているインプラント製品を使用している歯科医師もいれば、未認可の海外製インプラントを歯科医師の責任の下で輸入し、患者様の同意を得て使用しているところもあります。

>>インプラントの種類

【対策】
・どのようなインプラント製品を採用しているのか、明らかにしているところで治療を受けましょう。
・インプラント製品のほとんどは、食品と同じように、製品の生産や流通の履歴を明確にする「トレーサビリティ」がついています。実績のあるインプラントでも一部の製品にトラブルが起こることもあります。歯科医院によっては、患者様のどの部位に使用したか製品記録をとり、万が一の事態に備えているところもあります。


インプラント治療を受けられて満足している方もいれば、何らかのトラブルを抱えてお悩みの方もおられます。インプラント治療を受ける際は、歯科医師任せで決めず、納得できたところで受けるようにしましょう。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。