インプラントを可能にするための骨移植再生療法

インプラント総合サイトです。歯科インプラントに関する治療説明『インプラントを可能にするための骨移植再生療法』についてご紹介します。歯を失ってお困りの方、入れ歯・ブリッジが合わない方は是非ご覧下さい。

更新日:2019/10/08

■目次

  1. 骨移植再生療法
  2. GBR ― 骨移植
  3. Socket Lift ― ソケットリフト
  4. Sinus Lift ― サイナスリフト( PRP)

骨移植再生療法

インプラント治療を受けるために

失った歯を長期間そのままにしていたり、合わない入れ歯を長年使用していると、顎の骨がやせ細り、薄くなってしまいます。
インプラント治療を受けたくても、「あなたの骨は薄くて治療はできません」と歯科医師から言われてしまう方もいらっしゃると思います。
しかし、そのような方は、骨量を増やす治療を行うことで、インプラント治療は可能となる場合があります。

GBR ― 骨移植

GBR(骨移植)とは、インプラントを埋入する(骨に入れる)時に十分な骨が無い場合、骨を足して増やす治療法です。

左図のようにインプラント埋入部位の骨の高さや幅が不足していると、インプラント体の一部が骨から露出し、しっかりとした固定が得られません。

【治療の流れ】
露出しているインプラント体の表層に自家骨(患者様自身の骨)を移植し、メンブレンという生体素材でできた人工の膜で覆います。
すると、6~9ヶ月後には補填された移植骨が周囲の骨と結合し、インプラントと顎の骨が咬合力に耐えられる程にしっかりと結合します。

※GBRには、人工の骨補填剤を使用する場合や、自家骨と骨補填剤を混ぜたものを使用する場合、あるいはメンブレンのみで骨の再生を促す場合があります。

治療前

GBR治療前

治療後

GBR治療後

Socket Lift ― ソケットリフト

ソケットリフトとは、上顎臼歯(奥歯)部にインプラントを埋入する(骨に入れる)際に、上顎の骨が薄い場合に行う治療法です。
※上顎の骨が薄い = 上顎洞という鼻の空洞の底の部分との間に十分な骨が無い状態。
この治療法は、インプラントの埋入と同時に行います。

インプラントを埋入する際に上顎の骨の厚みが薄いと、上顎洞内にインプラント体の先端が骨から突出してしまうため、 固定が不安定になります。

【治療の流れ】
インプラントを埋入するための穴を上顎の骨に開け、そこに自家骨を挿入し、上顎洞の底部にある粘膜(シュナイダー膜)を押し上げて骨を追加します。そして、そこにインプラントを埋入します。インプラントは、先端までしっかり骨に覆われることで、6~9ヶ月後には上顎の骨と十分に結合します。
ソケットリフトが適応となる骨の状態は、インプラントを埋入する部分の上顎の歯を支える骨の頂点から上顎洞の洞底部までの骨の厚みが10mm以下で、最低7mm程度は存在する場合です。

※自家骨だけでなく、人工の骨補填剤を使用する場合や、自家骨と骨補填剤を混ぜたものを使用する場合もあります。

治療前

ソケットリフト治療前

治療後

ソケットリフト治療後

Sinus Lift ― サイナスリフト( PRP)

ソケットリフトとは、上顎臼歯(奥歯)部にインプラントを埋入する(骨に入れる)際に、上顎の骨が著しく薄い(上顎洞の洞底部との間にほとんど骨が無い)場合に行う治療法です。
ソケットリフトではインプラントの埋入が困難な場合に行います。

上顎の骨の厚みが著しく薄い場合は、上顎洞内にインプラント体のほとんどが突出してしまうため、インプラントの固定が得られません。

【治療の流れ】

口の中から上顎の骨の頬側の歯肉を切開後、上顎洞底部の骨に穴を開けて上顎洞粘膜を押し上げ、自家骨(あるいは骨補填剤)を挿入、骨造成を行います。
(同時に※PRP法を併用する場合もあります。)
そして、9~12ヶ月後には上顎の骨が造成されます。
サイナスリフトが適応となる骨の状態は、インプラントを埋入する部分の上顎の骨の頂点から上顎洞の底部までの骨の厚みが、6mm以下の場合です。
上顎骨の高径が5mm以上の場合には、インプラントの埋入をサイナスリフトと同時に行える可能性があります。

※PRP法(Platelet Rich Plasma:多血小板血漿)

骨移植を行う際に、血小板から血漿を分離させたPRPを移植骨と同時に併用することで、骨造成の活性化がもたらされ、自家骨による再生促進が行われることが成長因子研究により明らかにされています。

治療前

ソケットリフト治療前

治療後

ソケットリフト治療後

記事提供

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。