歯を失い上顎の骨が痩せてしまった場合のインプラント症例

インプラント治療の中でも、歯を失ったままの期間が長い患者様に対する、サイナスリフトについての治療法の症例です。

更新日:2019/10/03

■目次

  1. 上顎の骨を増やす治療 : サイナスリフト(上顎洞挙上術)
  2. Case 骨が薄すぎてインプラントが入れられなかった患者様の場合
  3. サイナスリフトの治療期間

上顎の骨を増やす治療 : サイナスリフト(上顎洞挙上術)

サイナスリフトとは?
歯を失い、そのまま放置しておくと、上の顎の骨が痩せていってしまいます。インプラント治療をするには、まず痩せてしまった顎の骨を増やすための治療が必要になります。上の顎の骨を増やす治療として、サイナスリフトという方法があります。
左右の上の顎の奥歯の骨には上顎洞という空気の入る大きな空洞があります。歯を失ってから時間が経っている場合には、支えていた歯がなくなり使わなくなることで、骨が痩せてしまいます。そのため、本来は上顎洞までに3から5mm以上の骨が確保されるものなのですが、残っている骨が3mm以下に減ってしまってることがあるのです。こうなってしまうと、インプラントを埋め入れても、上顎洞を突き抜けてしまい、骨にしっかり固定させることができません。そこでこのような患者様の場合に、サイナスリフトでインプラントをしっかり埋めることのできる骨を新しく確保する治療を行います。上顎洞の横から小さな穴をあけ、採取した歯の骨や骨補填材(カルシウム等)を入れていくもので、新しい骨が増えることで、上顎洞を押し上げ、インプラントを埋め込む骨を確保することができるのです。

Case 骨が薄すぎてインプラントが入れられなかった患者様の場合

術前:骨の厚みが薄すぎるためインプラントが入れられない状態
術後:上顎洞に新たな骨ができ4本のインプラントの埋め込みが可能になった状態

治療前

治療後

サイナスリフトの治療期間

治療期間
この患者様の場合、骨を入れてから固まるまでに約7ヶ月、インプラントを埋め入れてからインプラントが定着するまでに約4ヶ月かかっています。インプラントの上の顎の構造を完成させるまでに約11ヶ月から12ヶ月以上の日数がかかる場合もあります。

※ 治療結果は、患者様によって個人差があります。

記事提供

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。