入れ歯とインプラントの違いを9項目で比較|満足度が高いのはどっち?

入れ歯とインプラント、治療法の違いは何?インプラントって耳にするけどよくわからないという方のためにそれぞれを比較して地用法についてご紹介します。治療期間や、周りの歯への影響、噛み心地、費用などからそれぞれの違いを確認してみてください。

更新日:2024/09/05

入れ歯 インプラント

■目次

  1. 入れ歯とインプラントの違い【9項目で比較】
  2. ①手術の必要性
  3. ②費用
  4. ③治療期間
  5. ④お手入れ・メンテナンス
  6. ⑤見た目
  7. ⑥噛み心地
  8. ⑦寿命
  9. ⑧隣の歯への影響
  10. ⑨治療が適応となるかどうか
  11. 入れ歯とインプラントの満足度の比較
  12. 入れ歯が向いている人
  13. インプラントが向いている人
  14. まとめ

入れ歯とインプラントの違い【9項目で比較】

入れ歯 インプラント

入れ歯とインプラントの違いを、以下9項目に沿って解説します。

①手術の必要性

【入れ歯】
一般的に手術の必要がありません。全身疾患がある方なども治療を受けやすいです。

【インプラント】
顎の骨にインプラント体を埋め込む手術が必要です。基本的に大きな手術は必要なく、局所麻酔のみで行われ日帰り可能です。

手術の後はインプラント体が顎骨と結合するのを待つ必要があり、数ヶ月から半年ほど歯がないまま過ごす期間が発生します。この問題は仮歯を入れることで解決可能です。

仮歯の種類や注意点など、詳しくはこちらをご覧ください。
インプラント手術直後は歯がない?仮歯で解決

②費用

入れ歯 インプラント

【入れ歯】
公的医療保険適用の入れ歯と、自費診療適用の入れ歯の2種類があります。主な違いは、入れ歯に使用する材料です。

公的医療保険適用の入れ歯は、レジン(プラスチック)と金属のバネでできています。費用の目安は5,000円~15,000円程度です。

自費診療適用の入れ歯は、床(しょう)が金属でできているものや、マグネット式で外れにくいもの、入れ歯を固定するバネが樹脂でできているものなど、さまざまな種類があります。費用は歯の欠損範囲・材料・歯科医院の値段設定によって大きく異なり、目安として100,000円~800,000円程度です。

【インプラント】
インプラントは自費診療となり、1本あたりの費用の目安は約300,000円~500,000円程度です。

2024年5月 株式会社メディカルネット調べ

インプラントの値段についての詳細はこちらの記事をご覧ください。
インプラントの値段は?費用相場から保険まで治療費についてまとめました!

③治療期間

【入れ歯】
型どりをして、入れ歯の作製を待ちます。入れ歯が完成したら噛み合わせを調整して、治療完了です。治療期間の目安は、2週間~1ヶ月です。

【インプラント】
手術後、インプラント体と顎骨が結合するまで、上顎で5ヶ月~6ヶ月、下顎で2ヶ月~3ヶ月かかります。一定期間後、型どりをして上部構造(被せ物・人工歯)を作製し、噛み合わせを調整して治療完了です。トータルの治療期間は、上顎で半年から1年程度、下顎で3ヶ月から6ヶ月程度です。

④お手入れ・メンテナンス

【入れ歯】
食後に入れ歯を取り外し、流水と歯ブラシで汚れを落とします。歯磨き粉によっては研磨剤が含まれ入れ歯が削れてしまうこともあるため、歯磨き粉は避けたほうが良いです。また、入れ歯洗浄剤を使ったお手入れも定期的に行う必要があります。

【インプラント】
インプラントは取り外すことができないため、天然歯と同じように歯ブラシやフロスなどを使って丁寧に汚れを取り除きます。

インプラントは虫歯になりませんが、歯周組織が歯周病のような炎症を起こす「インプラント周囲炎」を引き起こすリスクがあります。インプラント周囲炎がひどく進行すると、インプラントが脱落するケースもあります。

インプラント周囲炎を予防するためには、日々の歯磨きに加えて、定期的に歯科医院でメンテナンスを受け、歯垢や歯石を徹底的に除去することが大切です。

⑤見た目

【入れ歯】
公的医療保険適用の部分入れ歯の場合、入れ歯を固定する金属のバネが見えることがあります。自費診療の入れ歯を使用すれば、より気付かれにくい見た目に仕上げることができます。

【インプラント】
天然歯に非常に近い見た目に仕上げることができ、審美性に優れています。

⑥噛み心地

入れ歯 インプラント

【入れ歯】
公的医療保険適用の入れ歯は、強度を保つために厚めの材料で作られているため、装着時に違和感があるかもしれません。天然歯と比べると噛む力が非常に弱く、感じ方に個人差はあるものの噛み心地は劣る傾向があります。また、食べ物の温度を感じにくいといえます。

【インプラント】
顎骨と結合しているため、強く噛むことができます。また、天然歯のような噛み心地も得られます。

⑦寿命

【入れ歯】
入れ歯のは使用ですり減りやがたつきが起こります。そのため、3年~5年程度で修理したり、新たに作製したりするのが一般的です。

【インプラント】
インプラント治療後10年~15年の残存率は、上顎で90%程度、下顎で94%程度という調査結果があります。骨移植をともなうインプラント治療を行なった場合も、約87%~92%程度の残存率が報告されています。

⑧隣の歯への影響

【入れ歯】
部分入れ歯は隣の歯にバネを引っ掛けて外れないように固定します。咀嚼時には、隣の歯に横方向からの力が加わって横揺れを引き起こす場合があるなど、健康な歯の寿命を縮めてしまう可能性があります。バネの部分に汚れが溜まり虫歯になるかもしれません。

【インプラント】
インプラントは他の歯を固定源とする必要がないため、隣の歯に与える悪影響はありません。残っている天然歯を長持ちさせることにつながります。

⑨治療が適応となるかどうか

入れ歯 インプラント

【入れ歯】
一般的な入れ歯の治療では手術が必要ないため、年齢や健康状態にかかわらず、基本的にどなたでも治療適応になりやすいです。

【インプラント】
インプラントは手術が必要となることから、持病や服用中の薬によっては治療できない場合があります。

心臓病・糖尿病・骨粗鬆症・高血圧症・貧血・免疫不全などの持病がある方は、リスクが高いためにインプラントにできない場合が多いです。

また、顎が成長途中の子どももインプラントは適応できません。一般的に、女性は18歳、男性は20歳ほどで骨の成長が止まります。反対に、高齢の方でも手術に耐えられる体力があればインプラントにすることができます。

そのほか、喫煙はインプラント手術や手術後の経過に悪影響を与えるため、禁煙する必要があります。

入れ歯とインプラントの満足度の比較

独立行政法人国民生活センターが、インプラントと入れ歯の経験者それぞれに行なったアンケート調査によると、治療に対して「満足」「どちらかといえば満足」と回答した合計が、インプラント「85.2%」、入れ歯「44.8%」で、インプラントのほうが満足度が高い結果になりました。

参考:独立行政法人国民生活センター

入れ歯が向いている人

公的医療保険適用の入れ歯であれば費用を抑えられるため、経済的な負担を軽減できます。また、入れ歯は取り外して洗えるため、お手入れのしやすさも感じられます。

費用やお手入れのしやすさを重視する人、全身疾患があり手術に抵抗がある人には、入れ歯はおすすめです。

インプラントが向いている人

インプラントは費用がかかり、治療期間も長くなるものの、天然歯に近い噛み心地や見た目の回復を図れます。他の健康な歯の寿命を縮めるようなこともありません。

手術が可能な健康状態にあり、快適な噛み心地・審美性・耐久性を求める人には、インプラントがおすすめです。

まとめ

入れ歯とインプラントは、手術の必要性や費用、治療期間などさまざまな面で違いが見られます。

入れ歯よりもインプラントのほうが満足度が高いという調査結果があるものの、どちらが優れているかといった問いに明確な答えはなく、患者さん自身がそれぞれの違いを把握したうえで選択することが重要です。最終的には、歯科医師と十分に話し合って治療を選択しましょう。

どちらを選択するか迷う場合は最初に入れ歯治療を受けてみてインプラント治療を受けるか考えてみても良いかもしれません。

この記事で、入れ歯とインプラントの違いに関するあなたの疑問が、少しでも解消されたら幸いです。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。