虫歯とインプラントどっちが先?虫歯の場所や症状で変わる治療の順番
他の歯に虫歯があるけれど、インプラント治療をしたい。でもインプラント治療と虫歯の治療はどっちを先に進めたらいいの?答えは患者さんのお口の中の状態や治療方針で変わります。症状に合わせた治療の優先度について解説します。虫歯があってもインプラント治療をあきらめる必要はありません。
更新日:2020/10/22
■目次
インプラントと虫歯治療、どちらが先?
虫歯のある方がインプラント治療を行う場合、虫歯の治療を行ってからインプラント治療を行うのか、インプラント治療を行ってから虫歯の治療を行うのか、どちらの順序で治療を行うのが一般的なのでしょうか。虫歯がどの歯にあるかによって、治療方針や順番が変わってきますのでご紹介します。
インプラント治療を行う歯だけが虫歯の場合
急性炎症(痛みや腫れ、化膿)がある場合は、抜歯の前に炎症を抑える治療が行われます。急性炎症がない状態であれば、抜歯と同時にインプラントを埋め入れる外科手術、または、抜歯をして傷口がある程度回復した4~16週後にインプラントを埋め入れる外科手術が行われることが多いです。
⇒歯を抜いたその日にインプラントを入れる「抜歯即時埋入」
⇒歯茎や骨が治ってからインプラントを埋め込む「抜歯待時埋入法」
その他の歯が虫歯の場合
歯を残すことができる程度の虫歯の場合は、インプラント治療を行う前にまず虫歯治療を先に行います。とても小さな虫歯であれば、短期間で治療が済むので、インプラント治療と同時に進めることもありますが、噛み合わせに影響してくる歯が虫歯であれば、小さな虫歯でも先に治療を行い、噛み合わせの調整を行ってからインプラント治療を行うこともあります。変色しているのみの初期虫歯であれば、虫歯を削らずに定期管理をしていきます。このように、お口の状態や虫歯の箇所、歯科医師の診断によって治療の進め方は大きく異なります。
インプラント治療前に虫歯の治療が必要な理由
その他の歯が虫歯の場合
周りの歯から膿が出ている状態で、インプラントを埋め込んでしまうと、細菌感染を起こし、インプラントが抜け落ちてしまうことも考えられます。
大きな虫歯があると、虫歯によってできた穴に汚れが溜まりやすくなります。お口の中が不潔になりやすいだけでなく、新たなお口のトラブルを引き起こして、埋め込んだインプラントに悪影響を及ぼすこともありますので、先に治療を行うことが多いようです。
歯周病や虫歯により歯が保存できなくなった場合、歯を抜く可能性もあります。その場合、インプラントを埋め入れる箇所に影響を及ぼす可能性もありますので、やはり虫歯の治療を優先して行います。
おわりに
治療の進め方は、同じ歯科医師から受ける治療であっても、患者さん一人ひとりの状態によって大きく異なります。治療を始める前に、歯科医師とよく相談し、納得したうえでインプラント治療を受けましょう。
基本的に虫歯の治療を優先することが多いです。虫歯があるのに、インプラントの治療説明のみを行われた場合は、お口の中全体の健康を考えた治療を行ってくれるかどうかを知るために、他の歯科医院のカウンセリングを受けることもお勧めします。
⇒インプラント治療は可能? ― 虫歯で歯を失った場合
※上記の内容は患者さんのお口の中の状況により異なる可能性があります。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
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