スプリットコントロールとは

歯科インプラントに関する「スプリットコントロール」についてご紹介します。歯を失ってお困りの方、入れ歯・ブリッジが合わない方は是非ご覧下さい。

更新日:2019/09/26

■目次

  1. スプリットコントロールとは
  2. スプリットコントロールの特徴
  3. スプリットコントロールの形成手順
  4. STEP1
  5. STEP2
  6. STEP3
  7. STEP4
  8. STEP5

スプリットコントロールとは

幅が薄くなった顎の骨

歯を失ってしまったり、抜歯をして時間が経過すると、顎の骨は徐々に痩せていきます。中には骨の高さは変わらず、骨の幅だけが薄くなってしまう場合があり、特に、上下顎の前歯を抜いたまま長い期間経過していた場合や、長期に渡り部分入れ歯を使用していた場合の顎の骨は、一番細いインプラント(HAインプラントは直径3.25ミリ)でも埋め入れることが困難になるほど骨が薄くなっていることがあります。

この様なケースで骨の幅を増やすために行われる治療が骨を無理なく再生できるスプリットコントロールを用いた骨造成です。スプリットコントロールは、専用の器具を用いて骨に割れ目を入れ、そこから無理なく骨をおし拡げ、拡げた穴にインプラントを埋め入れるシステムです。インプラントを埋め入れると同時に、インプラントとの隙間に無駄なく骨をつめていくため、周囲の骨がより硬くしっかりしたものになります。

骨が薄い場合には、通常、骨移植やGBR(骨再生誘導法)という方法で骨を増やしますが、骨の幅が薄い場合には、骨からの血流が乏しいため、骨を再生することはなかなか難しく、患者様にかかる負担が大きくなることから、血流が乏しくても骨の幅が拡げられる、スプリットコントロールを用いた治療が選択されます。

スプリットコントロールの特徴

・従来の治療法(スプリットクレスト)と比べて、骨に対してダメージが少ない
・骨密度が低いなどの、ほとんどの骨に使用できる
・骨質が硬すぎる場合は、治療が難しい
・インプラント周囲の骨が硬くなるため、骨とインプラントが結合しやすい
・インプラントを同時に埋め入れるため、外科手術が1回で済む
・インプラントとともに骨も結合するため、骨移植などと比べ治癒期間が短縮できる
・GBRによって骨の外側に骨を再生するより、歯槽骨を割って骨の内側に再生したほうが、よりしっかりとした骨が再生する

スプリットコントロールの形成手順

STEP1

幅が薄く細い顎の骨

1. 高さは十分ありますが、幅が薄く細い顎の骨です。




STEP2

スプリット(割れ目)を骨頂部に形成

2. ディスクという器具を用いて顎の骨をおし拡げるために、スプリット(割れ目)を骨頂部に形成します。




STEP3

パイロット孔(細い穴)をつくる

3. スプリットに沿って、細いパイロットドリルを用いて、インプラントを埋め込むためのくぼみを作るためのパイロット孔(細い穴)をつくります。



STEP4

スレッドフォーマー(骨を削るドリル)を使用

4. スレッドフォーマー(骨を削るドリル)を使用し、順次ドリルの太さを大きくすることで骨をおし拡げ、穴を形成していきます。



STEP5

インプラント埋入

5. 形成した穴にインプラントを埋め込んで完了です。



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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。