インプラントの土台の補助手術

インプラントは土台になる骨がしっかりないと埋め込めません。ここでは画像を交えた解説でインプラントの土台を作るための補助手術について分かりやすくご紹介します。どんな時に必要になるの?GBRやGTR、サイナスリフトとか言われても分からないんだけどどんなもの?そんな疑問解決の参考にしてみてください。

更新日:2021/12/06

■目次

  1. Q:補助手術ってなんですか?
  2. 歯を支えるためのGTR
  3. 再生された歯根膜
  4. 土台の骨を造るサイナスリフト
  5. 記事監修

Q:補助手術ってなんですか?

補助手術ってなんですか?

A:インプラント手術が出来るようにするために行う手術です。

インプラント治療を受けるために、手術が必要になる場合があります。主にインプラントを入れるときに土台となる骨やその周辺の環境を整えるために行うものです。
インプラントと同様簡単な手術で済むものが多いので、あまり不安がらず受けてみましょう。

土台の骨を育てるGBR
インプラントを埋め込む際、その土台となる骨(歯槽骨)の厚さが薄い事があります。これは個人差によるものや、歯が抜け落ちたせいで骨が痩せてしまう場合など様々です。しかし、このままインプラント治療を行うと、骨が割れてしまったり、インプラントがぐらついたりすることがあります。そこでインプラントを埋め込むのに耐えられる厚さまで骨を再生するための治療方法がGBR(骨誘導再生)です。

一般的には、何らかの原因で歯を支える骨を失ってしまった場合でも新しく骨が再生されます。しかし、骨が新しく作られるスピードよりも歯ぐきなどの周りの組織の方が治るスピードが早いのです。

そのため骨が生えてくるスペースに歯ぐきの肉などが入り込んでしまい骨の治りを邪魔してしまう場合があります。

そこで骨と歯ぐきの間に人工の膜を使ってふたをします。すると骨が育つまでの場所を確保することができるので、インプラントの土台となるための骨をしっかり作ることができるのです。

このようにインプラントを埋め込むための土台となる骨が足りないときに、きちんと骨を育ててやりインプラント治療を可能にするのがGBR治療なのです。

歯を支えるためのGTR

歯周病で溶けてなくなってしまった歯の周りの”歯を支える骨”を新しく作り素の状態に近づける治療です。

最初に溶けてなくなってしまった歯槽骨付近をキレイに洗います。ばい菌が増えるのを防ぎ炎症等を起こさないためです。洗い終わると、欠けた部分に人工の膜で蓋をします。人口の膜を使うことで歯茎の細胞が歯槽骨付近に集まらないようにし、骨の再生を促進するためです。

人工膜を設置することにより、歯を支える骨の部分だけが作られるようにスペースを確保できるのです。そして。4~6週間経ったときに、歯を支える骨がきちんとできたことを確認して人工の膜でしたふたを外します。

人工膜を使って、歯槽骨などの歯の硬組織の再生を促す治療のことをGTR法と言います。また、治療でふたをするのに使用する人工の膜の種類によっては歯を支える骨が作られるのに3ヶ月~6ヶ月かかることもあります。

再生された歯根膜

再生された歯根膜


新しい歯根膜と歯槽骨が再生されます。再生療法は、非常にデリケートで、患者さんの忍耐も要求されます。治療中の口腔衛生管理はもちろんのこと、治療後も歯周病にならないように、徹底した口腔衛生管理を心がけましょう。

土台の骨を造るサイナスリフト

サイナスリフトとは、「上顎洞挙上術」のことです。

上顎洞とは、左右の鼻の奥に広がる大きな穴のことで、これは歯でいうと奥歯の上の辺りにあります。これは人によって大きさが異なります。


また、歯を失ってしまうと、それを支えていた周りの骨が無くなってしまうことから上顎洞との距離が近くなってしまうことがあります。距離が短くなると、上顎と上顎洞の間隔が狭くなってしまいます。あまりに狭くなるとインプラントを埋め込む時に充分なスペースが確保できなくなり、上顎洞の底を突き破ってしまいかねません。

こんな時、距離が短くてもインプラントを埋め込むためには、まずは上顎と上顎洞の間に必要なスペースを作る必要があります。

インプラントを埋め込むために、上顎洞の底を押し上げ、そしてそこに骨の代わりとなる材料を流し込みます。骨の代わりとなるとなる材料は自分の骨か、人工の骨のもととなるものでできています。

インプラントを埋め込む時に上顎と上顎洞の間隔が狭い場合に、上顎洞を底上げして、インプラントを埋め込むためのスペースを作る治療方法のことをサイナスリフトと言います。

最後にインプラントを埋め込むタイミングですが、スペースを作るのと同時または骨の代わりとなる材料が固まるのを待ってからインプラントを埋め込みます。ほとんどの場合スペース作りとインプラントの埋め込みは同時にできるのですが、上顎と上顎洞の距離があまりに近い場合は骨の代わりとなる材料がしっかりと固まってからインプラントを埋め込む場合もあります。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。