GBRとは?骨造成・骨誘導再生をイラストで解説!リスクも紹介

「GBR(骨誘導再生)」とは、あごの骨を増やす手術のことです。インプラントをあごの骨に埋め入れる際に十分な骨が無い場合などに行われます。イラスト付きの分かりやすい解説で「GBR(骨誘導再生)」を紹介します。

更新日:2025/04/07

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■目次

  1. この記事のポイント3つ
  2. GBR(骨造成・骨誘導再生)とは?
  3. GBR(骨造成・骨誘導)再生が必要なケースとは?
  4. GBR(骨造成・骨誘導再生)治療の流れ
  5. 1.インプラントを埋め入れます
  6. 2.骨または骨補填剤を入れ、人工メンブレンで覆います
  7. 3.歯肉を戻し、骨の再生を待ちます
  8. 4.人工の歯を装着します
  9. GBR(骨造成・骨誘導再生)のリスクとは?
  10. インプラントの治療期間が長引く
  11. 腫れや痛みの可能性あり

この記事のポイント3つ

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・GBRは骨再生を促し、インプラント治療を可能にする手術法です。
・骨再生には4~6ヵ月かかります。
・手術後に腫れや痛み、感染リスクがあるため注意が必要です。

GBR(骨造成・骨誘導再生)とは?

GBR(骨誘導再生)法とは、欠損した歯槽骨や顎骨などの骨組織の再生を促す治療方法です。インプラントを埋め入れるために十分な骨の量がない場合などに行われrます。

あごの骨が少なくインプラント治療を諦めていた方も、この手術を受ければ治療が可能になる場合があります。

GBR(骨造成・骨誘導)再生が必要なケースとは?

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虫歯や外傷で歯が抜けてしまったり、歯周病などで歯槽骨が溶けてしまうと、イラストのようにインプラントを埋め入れる必要な骨量が足りなくなります。

点線部分は本来あった歯槽骨の厚みです。歯を失ってから時間が経過している場合、周囲の歯槽骨(しそうこつ)が吸収され、骨が吸収して痩せていきます。

GBR(骨造成・骨誘導再生)治療の流れ

GBR(骨造成・骨誘導再生)治療の流れをイラストでわかりやすく紹介します。

1.インプラントを埋め入れます

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イラストは、歯槽骨が吸収され、インプラントの表面が露出している状態です。十分な骨量を確保するためにGBR(骨誘導再生)など骨を足す治療が必要でしょう。

2.骨または骨補填剤を入れ、人工メンブレンで覆います

再生させたい骨組織をインプラントを支柱にして、人工メンブレン(専用の膜)で覆うことで、骨組織の誘導再生を可能にします。

また、人工メンブレンは歯肉(上皮組織)由来の細胞混入を防ぎます。人工メンブレンが動かないように固定用のピンを使用する場合もあります。

3.歯肉を戻し、骨の再生を待ちます

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人工メンブレンの設置が完了したら、切った歯肉を縫って骨の再生を待ちます。この期問は、術部に必要以上の刺激を与えないよう注意が必要です。骨の再生速度に個人差はありますが、一般的には4~6ヵ月程度で再生されるといわれています。

4.人工の歯を装着します

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骨が再生され、インプラントがしっかり固定されたら、人工の歯(上部構造、被せ物)を装着します。新しく骨が再生されたことで、歯肉の見た目の形態も良くなります。

GBR(骨造成・骨誘導再生)のリスクとは?

インプラント治療は「顎の骨の厚みや量」が成功の鍵といっても過言ではありません。骨を増やすGBR(骨造成術・骨誘導再生術)は、骨が不足する方が治療を大きな助けとなるでしょう。

ですが、骨不足を解消するGBRにも弱点や事前に知っておきたいリスクがあります。以下にて詳しく解説します。

インプラントの治療期間が長引く

GBRをはじめとした骨造成術および骨誘導再生術には人工骨や自家骨(自分の骨)が使用され、骨の高さや幅が増します。ですが、人工骨や自家骨は手術後すぐに周囲の骨と馴染むわけではありません。

増骨部が自分の骨の一部として馴染むまで3~6ヵ月程度かかります。範囲が広い場合、1年近くの月日が必要になるケースもあります。

インプラント手術と同時にGBRができれば、タイムロスが少なく済みます。骨量が少なく多くの骨を足す必要なケースでは、インプラント手術前の土台作りとしてGBRを行う必要があるでしょう。

その場合、通常のインプラント手術に「骨の再生を待つ期間」がプラスされ、トータルの治療期間が長くなります。しかし、インプラント手術とGBRを同時に行う方法も行われています。個人差はあるかもしれませんが、通常のインプラント手術の治療と同じくらいの期間で終わることもあります。

腫れや痛みの可能性あり

GBR(骨造成・骨誘導再生)法は歯茎を切り開いて顎骨を露出させ、骨を足す手術のため、痛みや腫れ・痺れを伴う可能性は十分あります。個人差がありますが、腫れのピークは術後3~7日程度です。術後すぐに大きく腫れる可能性もあります。

術中の痛みは麻酔が効いているため、心配いりません。術後に処方される痛み止めでも痛みがおさまることがほとんどです。ただし、術後の痛みと腫れが引かない場合は、細菌感染が原因かもしれません。

細菌感染すると術部周囲に炎症が広がり、骨がさらに吸収されてしまうので、腫れや痛みが長く続く場合、無理をせずに担当の歯科医師に相談しましょう。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。