ウトウトしている間に手術終了!リラックス麻酔について
手術はどうしても緊張しますよね。そんなとき気分を和らげるための麻酔を行うことがあります。これは「静脈内鎮静法」といい、個人差はありますが、うとうと眠っているような感覚でリラックスを誘うような効果を期待することができます。この「静脈内鎮静法」による効果、薬を服用されている方へのリスクについて説明します。
更新日:2021/12/06
■目次
静脈内鎮静法とは
静脈内鎮静法とは、気分を落ち着かせる効果がある点滴薬を血管内に直接投与することでリラックス効果を得ることができる方法です。これにより、治療中の不安や緊張を軽減することができます。例えばインプラント手術や歯を抜くなどの外科的処置を伴う治療を行う患者さんで、強い恐怖心や不安感をお持ちの方に適した方法といえます。吐き気を抑制する効果もあるため、お口の中に治療器具が入ると気持ちが悪くて吐き気がしてしまう方にも適しています。手術中は患者さんの身体の状態を常にモニタリングし、意識レベルを程よい状態にコントロールしていきます。
静脈内鎮静法の流れ
STEP1 治療前
健康状態が不安な人は、担当の歯科医師と相談しましょう。高血圧や糖尿病などの全身的な持病がある人は、必要に応じて内科主治医にも相談が必要です。手術当日は麻酔科医が体調について問診する場合もあります。
静脈内鎮静法を行う前は通常の食事は8時間前まで、牛乳や軽食は6時間前まで、水やお茶・スポーツドリンクは2時間前までとする事が推奨されています。
麻酔科医の指示に従って飲食するようにしましょう。
STEP2 呼吸・血圧監視モニターの設置
呼吸や血圧を監視する簡単なモニターをつけます。家庭用の自動血圧計とほぼ同じものと考えてください。
STEP3 点滴(鎮静薬)の投与
お薬を点滴から少しずつ流して意識レベルを程よい状態に調整します。ここまでで10分~15分ぐらいです
STEP4 治療開始
実際の治療処置がはじまります。薬の効果を確認して、場合によりお口の中に痛み止め(局所麻酔)をします。眠気を感じるような状態です。
STEP5 点滴終了
一連の治療の中で、痛い部分、嫌な部分が終了した時点で点滴を終了します。点滴終了から5分ほどで意識レベルが通常に戻ります。
STEP6 治療後
治療後は、眠気やふらつきがなくなるまで休みます。意識・動作に問題が無いことを確認した後、他に問題がなければそのまま帰宅していただけます。安全のために、一人での帰宅はなるべく避け、誰かに迎えに来てもらうかタクシーで帰宅するようにしましょう。
静脈内鎮静法が行えない方
以下のような方には静脈内鎮静が行えない場合があります。
・妊娠初期の方
・静脈内鎮静に使用するお薬にアレルギーのある方(卵アレルギーなど含む)
・持病があり静脈内鎮静に使用するお薬が使用できない方
重症筋無力症
HIVによりプロテアーゼ阻害剤を投与中の方
急性狭隅角緑内障の方
・高度肥満な方
・扁桃腺肥大がある方
・睡眠時無呼吸症候群の方
・何らかの理由で呼吸機能や循環機能が低下している方
・向精神薬の長期内服治療を受けている方
・筋ジストロフィー
患者さんの状態により上記の内容が異なる可能性があります。心配がある方、持病がある方、お薬を飲んでいる方は事前に担当医にご相談ください。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。
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