初期・中期・重度の「歯周病治療」について

歯周病が治るまでの治療の流れや期間について説明しています。歯周病の進行度とそれぞれの患者様に適した治療が必要になります。初期は歯周ポケットの深さが4mm以内、中期は歯周ポケットの深さが5mm~7mm、重度は歯周ポケットが8mm以上を示します。

更新日:2021/12/02

■目次

  1. インプラント治療をする前の歯周病ケア
  2. 歯周病治療の流れ
  3. 歯周病の基本治療
  4. 各段階に応じた歯周病治療
  5. 1.歯周病 初期の段階 (歯周ポケットの深さが4mm以内)
  6. 2.歯周病 中期の段階 (歯周ポケットの深さが5mm~7mm)
  7. 3.歯周病 重度の段階 (歯周ポケットが8mm以上)

インプラント治療をする前の歯周病ケア

インプラントはチタン製のボルトを顎の骨にを埋め込み骨と結合させることで、人工の歯根としての役割を果たします。しかし、肝心な顎の骨が歯周病に侵され、他の組織に吸収されていては、インプラントを埋め込むことができません。そのために歯周病の治療は最優先でおこなわれなくてはならないのです。インプラントを埋め込んだ後にも歯周病に侵されることがありますので、治療後は歯周病にならないように、歯の清掃を習慣づけましょう。

>>インプラントと歯周病治療、どちらが先?

歯周病治療の流れ

歯周病治療の流れ

歯周病の治療では、下記の表にあるように、まずレントゲン検査や歯周ポケット検査など各種検査を行い、歯周病の進行程度(初期・中期・重度)を診査していきます。その後、基本治療・各段階に応じた治療・メンテナンス治療をおこないます。

歯周病の基本治療

歯周病の基本治療の中心となるのがプラークコントロール(患者さん自身による口腔内管理)です。お口の中の歯垢(プラーク)の除去が基本であり、歯と歯肉の間の歯周ポケットを清掃することによって確実に清潔にすることが大切です。生活習慣の改善をし、これらを自分自身でおこなえるようになることをプラークコントロールといいます。歯周病のトレーニングをつんだ歯科衛生士がいる歯医者さんもありますので、指導を受けるとより良いでしょう。このプラークコントロールを確立した上で、歯周ポケットに清掃器具が届きやすくするために歯石の除去や歯の根元の汚れの除去をおこないます。

各段階に応じた歯周病治療

進行のレベルがわかったら、進行度とそれぞれの患者様に適した治療が必要になります。同じ患者様でも、奥歯は中期で前歯は初期の段階であったりと、部位によって進行度も違ってきます。患者さんの症状によって治療法は様々なのです。

1.歯周病 初期の段階 (歯周ポケットの深さが4mm以内)

治療期間 : 約2ヶ月
約7割の患者様がこの初期の段階で、年齢は20~40歳代が中心です。自覚症状がなく、歯周病の専門医院でないと見落とされることが多い段階ですが、この段階できちんと検査をおこない治療をすれば歯周病の進行は抑制できます。

CASE1 初期の段階 (28歳 女性)
治療内容
■プラークコントロール
■歯石や根面の汚れを除去
■再検査

初期:治療前
一見健康な歯に見えますが歯周ポケットは3~4mmで出血もありました。
初期:治療後
約2ヶ月後には、出血もなくなり、改善しました。

治療前

歯周病 初期の段階治療前

治療後

歯周病 初期の段階治療後

2.歯周病 中期の段階 (歯周ポケットの深さが5mm~7mm)

治療期間 : 約3ヶ月~1年
年齢は30~70歳代まで広くいらっしゃいます。自覚症状はほとんどありません。中期の段階であっても、しっかり治療をすることで、ほとんどの歯を残すことも可能です。

CASE2 中期の段階 (52歳 男性)
治療内容
■プラークコントロール
■歯石や根面の汚れを除去
■必要な部位の歯周外科手術
■再度検査

中期:治療前
歯肉が全体的に腫れており、歯周ポケットは6~7mmでレントゲンでは歯槽骨が破壊され始めています。
中期:治療後
約10ヶ月後、外科手術もおこない歯周ポケットの深さも改善され、歯肉の炎症がすべてなくなりました。

治療前

2.歯周病 中期の段階治療前

治療後

2.歯周病 中期の段階治療後

3.歯周病 重度の段階 (歯周ポケットが8mm以上)

治療期間 : 約1年、またはそれ以上
年齢は20~50歳代が多く、若い方でもいらっしゃいます。抜歯したり歯を支えている歯槽骨が破壊され歯がぐらついたり、歯肉炎のため歯ぐきが赤く歯れ上がったりします。

CASE3 重度の段階 (49歳 男性)
治療内容
■プラークコントロール
■歯石や根面の汚れを除去
■どうしても残すことのできない歯を抜歯
■抜歯後、義歯や仮歯をかぶせる
■必要な部位の歯周外科手術
■歯並びが歯周病の原因になっている場合は並行して矯正治療
■再度検査

重度:治療前
歯槽骨が破壊され、奥の歯がぐらついて動いています。
重度:治療後
約2年後、外科手術はおこないましたが、幸い抜歯なしで済みました。矯正治療も同時におこない、改善されました。

治療前

歯周病 重度の段階治療前

治療後

歯周病 重度の段階治療後

記事提供

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。