第56回 The Greater New York Academy of Prosthodontics(GNYAP)

外観街並み

■ 第56回 The Greater New York Academy of Prosthodontics(GNYAP)

2011年12月2日〜3日の期間中、GNYAP学会は、ニューヨークのマンハッタンにある「ジャズ at リンカーンセンター」で開催されました。
ジャズといえば、ニューオリンズ発祥ですが、1920年頃からはニューヨークでも高級ジャズクラブ、モダンジャズクラブなどが発展を遂げ、現在も変化し続ける一大文化の一つです。こういった異文化が融合・爆発的に発展を遂げた大都市ニューヨークはアメリカ合衆国でも異質で魅力溢れる街です。

学会期間中も無料のジャズイベントが開催されるなど、市民と芸術が密接しているニューヨークらしい一面を垣間見れました。また、アクティブメンバーはおよそ175名と少数のため、比較的敷居の低い密な交流も深められた事が印象的でした。

【The Greater New York Academy of Prosthodonticsのホームページ】 http://www.gnyap.org/


会場ブース

下記に、本学会で特に注目を集めたプログラムの一部を簡単にご紹介致します。

■ 注目を集めたプログラム

デザインによる成功:前歯部のインプラント治療における審美的リスク要因の管理と低侵襲治療

スピーカー: David A. Garber, DMD

インプラント手術の治療計画に影響を与える可能性と審美的な課題に焦点を当てた講演が実施されました。外科的措置、補綴、矯正技術など各要素を取り入れた明確な治療計画を持つことが、審美的な結果にもインプラント結合の成功にも繋がることを強調されました。


【主なポイント】

  • 前歯部のインプラント治療におけるリスク要因とは
  • インプラント治療の審美的側面を支える診断項目における4大要素とは
  • インプラント治療における低侵襲治療を成功される方法とタイミング


歯間乳頭のジレンマ:我々が認識していることとまだ認識していないこと、そして目指すべき領域

スピーカー: Dennis P. Tarnow, DDS

審美ゾーンの隣接歯のインプラント治療の成功のカギは、適切な治療計画にあります。インプラント後の隣接歯の歯間乳頭は、通常の隣接歯の歯間乳頭より短いとの研究結果が発表されており、生物学的側面からの解決方法が講演されました。


【主なポイント】

  • 審美ゾーンにおける単数歯の治療計画
  • 審美ゾーンにおける複数歯の治療計画
  • 審美ゾーンの治療における矯正、補綴、歯周病治療の適用による成功

※Dennis P. Tarnow, DDSについて
コロンビア大学歯科医学の歯周病の教授であり、インプラント教育のディレクターを務める。また、ニューヨーク大学・スクールオブデンティシーの、歯周病学とインプラント学の教授とチェアマンも務めた経験を持つ。歯周病、補綴、インプラントの分野で数多くの功績を持つ。



補綴の挑戦

スピーカー: Vincent Celenza, DDS

補綴とは、機能的な回復とともに審美性も解決する治療であり、時には不可能と思われる患者の期待にも応える必要性があります。患者の期待を超える結果を出すために、概念やルールを打ち破ってでも補綴専門医が実施する症例を、補綴の挑戦に挑む戦士に例えて、講演されました。


【主なポイント】

  • "補綴の挑戦"の決断方法について
  • 補綴の治療計画に影響を与える要因
  • 期待値を超える結果に到達するために、本能を信じ、概念を取り去る必要性


チェアサイドのCAD/CAMシステムによる補綴物

スピーカー: Robert Stewart, DDS,MS

歯牙構造と審美性の保護目的、ラボコストの軽減、そしてメタル素材離れの傾向により、セラミック素材の補綴物が拡大している中、チェアサイドのCAD/CAMシステムが着目されています。この講演では、補綴治療分野における過去5年間の、チェアサイド・ミリング加工によるセラミックの補綴物の臨床データが発表されました。


【主なポイント】

  • チェアサイドでのCAD/CAMによるミリング加工と、ラボでのセラミックとメタルセラミック補綴物の併用
  • ミリング加工が可能なセラミック素材
  • 口腔内における素材の選択と部位
  • 残存歯が少ないケースにおける抜歯の臨床的価値


前歯の義歯における審美および低侵襲治療

スピーカー: Matthias Kern, DMD, PhD

審美性と低侵襲治療の観点から、30年以上前に金属製リテーナー付き接着ブリッジが、そして約15年前にはカンチレバー・接着ブリッジが紹介され、耐久性や臨床的側面での発展を遂げています。インプラントよりも審美性に優れ、かつ低価格なオールセラミック・接着ブリッジが広く適用される背景が講義されました。


【主なポイント】

  • 前歯部のオールセラミック・接着ブリッジの適応症例と非適応症例
  • 前歯部のオールセラミック・接着ブリッジの素材と検査方法
  • 前歯部のオールセラミック・接着ブリッジの臨床診断法

※Matthias Kern, DMD, PhD について
2011年度 The Greater New York Academy of Prosthodonticsにて、Jerome M and Dorothy Schweitzer Research Awardを受賞

  • 1985年 ドイツ、Freiburgにて歯学部を卒業。
  • 1985-89年 Freiburg大学の歯科補綴学部にて準教授を務める。
  • 1991-93年 アメリカ・ボルチモア州のMaryland大学の客員教授を務める。
  • 1995年 Freiburg大学にて博士号取得。
  • 2008年 ドイツ協会の歯科補綴学とバイオマテリアルにおいてVice Presidentに就任。

※講演の発表内容については、当サイトにおいて必ずしも保証するものではございません。


■ 第56回 The Greater New York Academy of Prosthodontics(GNYAP)に参加して

第56回目を迎える本学会は現地で活躍されている参加者を中心にスピーカー同士の会話も弾み、終始和やかな空気が流れて
おりました。

次回、2012年11月30日〜12月1日にニューヨークで開催されます。

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