「インプラント治療における臨床進歩と予見性」 - 第17回EAO学術大会2008

▲ 文化科学宮殿(PKIN)・入口 ▲ 文化科学宮殿(PKIN)・外観

■ 世界4大歯科学会 第17回EAO学術大会に参加してきました!

 東ヨーロッパに位置しバルト海とベスキディ山脈に囲まれた平原の国ポーランド、その首都ワルシャワは名作映画「地下水道」で描かれていたとおり、ドイツとロシアに挟まれ、歴史に翻弄された都市ですが、旧市街や復元された宮殿や城が数多く残る魅力的な都市です。
 ワルシャワの中心部に位置し、スターリンからの贈り物として1952年から4年かけて建設された文化科学宮殿 (コンベンションホール・コンサートホール・劇場などの複合センターとしても利用されています)において、2008年9月18日(木)から20日(月)の3日間『EAO 17th Annual Scientific Meeting 2008』が開催されました。
 Europian Association for Osseointegration(※ 総称してEAO)はAO・AAO・ACPと並ぶ世界4大歯科学会と言われ、世界各国の臨床医・研究医がオッセオインテグレーション(インプラント治療における、チタンと骨との結合)分野の最先端技術の情報を得ることを目的とし、毎年、様々な科学的プログラムや議会が実施されています。


【総勢約2.500人以上の参加者を迎え、最新の研究が発表されました】
  第17回となる今回のEAO学術大会は、世界55ヶ国から総勢約2,500人を超える参加者を迎え、専門知識、科学的研究、その実績に優れた多くの国々の著名なスピーカーにより、科学的根拠に基づいたプログラムが数多く開催され、臨床医・研究医にとって非常に有益なコンテンツとなりました。


▲ Friedrich W. NEUKAM(Germany)によるMeeting開会挨拶 ▲ David HARRIS(Ireland)

 EAO学術大会は、プレジデントであるFriedrich W. NEUKAM(Germany)(写真/左)により開会の挨拶が行われ、チェアマンであるDavid HARRIS(Ireland)(写真/右)、同じくチェアマンのAndzej WOJTOWICZ(Poland)によるオープニングセレモニーからスタートしました。


【メインプログラム〜人気・注目度の高い外科セッション】
  プログラムは、スピーカーセッションをメインに構成され、オッセオインテグレーションの基礎(Basic)・外科(Surgery)・補綴(Prosthesis)と大きく3つのコースに分類されるものでした。
  世界的にも著名なドクター(下記リスト)による外科セッションは、会場は満席となり、通路に座って拝聴となるほど、大変人気で、注目度の高いものとなりました。
Massimo SIMON(Italy)
垂直的骨造成
- 利用できる技術と将来トレンド
Anthony SCLAR(USA)
審美インプラント治療
- 組織保護・再構築・リスクの最小化と合併症のマネージメント
Patrick PALACCI(France)
複雑な症例の審美治療
- 硬組織及び軟組織マネージメント
Ueli GRUNDER(Switzerland)
審美インプラント治療
- インプラントと理想的な審美治療を達成するためには何回の外科を必要とするのか?
(結論:骨形成タンパク・BMP必要)
【多彩なプログラム】
 その他のプログラムとしては、 各メーカー(主にインプラントメーカー)が主催するセッション(製品や研究結果の発表)や個人レクチャー・ハンズオントレーニングなどの個別対応プログラム、多くの国々からの症例発表・掲載や日本の大学からも発表のあったAbstract(抄録)など多彩なプログラムに会場は包まれていました。
▲ Abstract(抄録)とランチブッフェ

 特に印象的だったのは、ヨーロッパの学会ではありますが、全世界から多数のエントリー(歯科医・研究医・企業など)があったことや、他エリアに劣らずアジア地域からのエントリーも多くみられたことです。中でもドクター・スポンサー企業・Abstract(抄録)や、特にインプラントメーカー(OSSTEMM・MEGAGEN・IMPLANTIUM)における韓国勢の活躍が目覚ましく、そのワールドワイドさに関心を持ちました。
  また、日本ではまだみられない形状・表面性状のインプラントシステムや「Bio-oss」といった人工骨など、EAOスポンサー企業による製品が、欧州ではほぼ全て認可されているということに臨床外科医療の先進性を感じました。
▲ スポンサー企業の展示ブース ▲ 日本から参加されたドクター


【第17回EAO学術大会に参加して】
 EAO学術大会を通して、やはり、このような最先端技術・情報の共有の場は世界中の臨床医・研究医にとって貴重なものであり、最適で継続的な治療の研究・提供には欠かせないものであると強く感じました。

 EAO学術大会は、技術・学識の習得を目的として参加されていた世界中のドクター・歯科関係者の歯科治療に対する熱烈な意気込みが醒めぬまま閉会しましたが、来年度も同じく有益な議会が開催されることでしょう。一人でも多くのドクター・歯科関係者がこのような最先端技術・情報共有の場に参加されることを願っております。

 また、今回の参加は、「インプラント ネット」にとっても世界の最新インプラント歯科治療に触れることが出来たとても有意義な機会となりました。今後も様々な視点から最適・最新のインプラント歯科治療の情報を発信し、インプラント歯科治療の理解と普及に努めて参ります。

 2009年度のEAO学術大会(18th Annual Scientific Meeting)は、2009年9月30日(水)から10月3日(土)の4日間、モナコで開催されます。


インプラント ネット運営部
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