第93回 AAOMS 口腔外科学会
■ 第93回 AAOMS 口腔外科学会 (The American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons)
2011年9月12日(月曜日)から17日(土曜日)の6日間にわたり、フロリダ州・マイアミにおいて第93回口腔外科学会【The American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons (以下、AAOMS)】が開催されました。
AAOMS学会は、口腔外科医とその患者様により良い技術を保証するために、口腔・顎顔面外科手術の促進・発展など目的として発足され、秋と冬の年2回、大会が開催されます。
会員は3,200名以上、参加者は5,500名以上、出展が200社以上になる大規模な学会です。
今回の開催地であるマイアミは、キューバ革命以降にキューバ人や、ラテン系の出身者が多く移住してきた地域です。さらに、リタイアしたアメリカ人が避暑地であるマイアミに移住してくることも多く、現在では、アメリカで4番目に人口が多い地域となりました。
住む人々には、ラテンの気質の明るく陽気な人が多く、農業は、アメリカ南部の気候に適した砂糖、コーヒー、綿花、タバコなどのプランテーションが盛んなことが特徴です。
下記に、本学会で特に注目を集めたプログラムの一部を簡単にご紹介いたします。
■ 注目を集めたプログラム
3Dバーチャルモデルを使用した術前における口腔外でのメタルプレート作製について
スピーカー: Dr. Jaime Gateno, DDS, MD
下顎前突などの症例において、従来であれば切除の際に術中に作製するメタルプレートを、3Dバーチャルモデルを使用することによって術前に口腔外でメタルプレートを作製する方法について、発表されました。
これは、CTでスキャンしてシュミレートした患者様の硬組織をプラスチックモデルに置き換える技術。 3Dで画像を構築することによって、より正確に術後の形態が予測が可能です。
インプラント手術の失敗例
スピーカー: Dr. Mark W. Ochs, DMD, MD
インプラント治療の増加とともに、インプラントの失敗も増加しています。この講演では、失敗例の対処法についてお話しをされました。出席者参加型のクイズ形式で行われ、治療方針を講演前・講演後に2回説明し、どのくらい理解されているかについて、確認をされていました。
立ち見が出るほど満員で、インプラント治療の専門家でもある口腔外科医にとっても、非常に興味の高いトピックであるということが感じられました。
インプラントの失敗例とその対応法
【インプラント埋入時の考慮すべきポイント】
スピーカー: Dr. Mark W. Ochs, DMD, MD
考慮すべきポイントは、(a) 除去できるか、(b).永久に埋め込むタイプか、(c) 移動できるかの3点があり、患者様には以下の事前説明が大切であると発表されました。
- ・成功とは何か
- ・その確立
- ・失敗とは何か
- ・最悪のケースとは何か
失敗した場合は、軟組織・硬組織の再生を何度も繰り返し行うとのことで、 滅菌水とレーザーの組み合わせで骨を作ることもあると述べられました。
【インプラント手術と抜歯の関連性について】
スピーカー: Dr. Olet Jensen, DDS, MS
抜歯をするとその部分の歯槽骨や歯肉が数ミリ垂直方向に退縮するため、治療計画が重要であると述べられました。また、矯正をしている患者様は上顎前歯を抜歯する確率が高いので、対処法として、抜歯後はソケットグラフトとしてスポンジを詰め、大きな欠損部位には切開してBMP+人工骨を入れると発表されました。
【ポリスチレンとBMPと使った再生】
スピーカー: Dr. Robert G. Hale, DDS
対処法として、BMPを使用する事で全ての細胞を活性化させるとのこと。その反面、かなり大きな腫脹も起こる為、事前説明をし同意を得ないとトラブルの原因となると述べられました。また、ポリスチレン(合成樹脂)は、流動性のある足場となり細胞を活性化の助けとなると発表されました。
※講演の発表内容については、当サイトにおいて必ずしも保証するものではございません。
■ メーカーによるブース出展
■ AAMOSに参加して
口腔外科学会の講演前後に参加者を交えて同じ質問を投げかけ、教育効果を見る方法は素晴らしいアイデアだと思いました。また、講演後に自身のFacebookから質問を受け付けるとおっしゃった先生もいらして、アメリカらしいオープンさ、教育の大切さとメディアの必要性を知る良い機会でした。
次回のAAOMS学会は、2012年9月10日よりサンディエゴで開催されます。