American Academy of Esthetic Dentistry - 第36回 アメリカ歯科審美学会2011
■ 第36回 アメリカ歯科審美学会 (American Academy of Esthetic Dentistry) 2011
2011年8月2日(火)から5日(金)の4日間にわたり、プエルトリコは首都サン・フアンにおいて、第36回アメリカ歯科審美学会【American Academy of Esthetic Dentistry(以下、AAED)】が開催されました。
今回の開催地であるプエルトリコ本島はアメリカ自治州ではありますが、1493年11月19日にコロンブスが第1回航海の帰路に発見してから1898年までの間、スペインの植民地であったため、今も街並みにはスペインの文化が色濃く残ります。特に、旧市街オールドサンファンは、世界遺産にも登録されていて、多くの観光客が訪れる美しい街です。本島の大きさは、四国の約半分ほど。カリブ海に囲まれた島は、ビーチ、熱帯ジャングル、周辺の離島、レストランやバーなど、バラエティーに富んだ魅力にあふれています。
AAEDは、本学会の初代会長であるDr. Ronald E. Goldstein(ロナルド E ゴールドステイン)氏が、「エステティック」の本来の趣旨である、「審美性と機能性の回復を兼ね備えた治療」を基盤に、最新の技術と知識を併せ持った指導者を育てるため、少人数で発足した学会です。設立当初から一貫した完全招待制ですが、世界各国のメンバーと参加者を含め、今や1,000人を超える著名な学会となっています。
アメリカ歯科審美学会のホームページはこちら → http://www.estheticacademy.org/
▲ 多くのドクターが熱心に耳を傾けていました
▲ 講演の様子
下記に、本学会で特に注目を集めたプログラムの一部を簡単にご紹介いたします。
■ 注目を集めたプログラム
- 審美的・機能的な回復、正しい診断と治療計画
- スピーカー: Claudio Pinho, DDS, Progerio Zambonato, DDS, MS
口腔外科医師と補綴歯科医師の2名により、「チームアプローチの重要性」について述べられました。また、外科的矯正とインプラント治療の関係性についても発表され、就寝時に気道が狭まるため、気道の確保の為にインプラントを正しい位置に打って機能回復を図ると述べられました。※ただし、現在研究段階で十分なデータはまだ揃っていないとのこと。
上顎前歯部の補綴物について- スピーカー: Markus B. Blatz, DMD, PhD
接着歯学では日本が進んでいて、アメリカが遅れを取っていると前置きをされた後、PFM vs オールセラミック、技巧所 vs CAD/CAMを比較して利点・欠点を述べられました。また、前歯の形、頭蓋の形、顔の形が補綴物の破折と関係していると発表。
その後、anatmy coping support(解剖学的コーピングサポート)について説明されました。 - レーザーによる歯周病治療のこれから
- スピーカー: I. Stephen Brown, DDS
70's=(再生療法の時代)
80's=(インプラントの時代)
現在=(レーザーの時代)
と大きくカテゴリー分けし、ヤグレーザーでの骨再生・治癒促進について説明されました。
- デジタル印象について
- スピーカー: Lee Culp, CDT
CAD/CAM: e-maxを使った補綴物について発表された。
2時間で口腔内装着出来るため、その性能について述べられた。Mr. Culpは一日に160個の補綴物を作っている技工士です。【技工物の内訳】
ジルコニアベース=20%
e-max=60%
その他=20% - 上顎前歯部の歯根周囲の骨の形態と
歯肉と歯の色について - スピーカー: Stephen Chu, DMD, MSD, CDT
修復方法を3パターンに分けて統計結果を発表され、統計の結果、必ずボーングラフトしてからテックをする事が重要であると述べられました。
テックを外した際は、歯肉から血がにじんでいる方が血流を阻害せず、結果が4倍良いと発表されました。 - 30秒でラミネートべニアを除去する方法
- スピーカー: Glenn Van As, BSC, DMD
ヤグレーザーでべニアクラウンを除去する方法を発表されました。
クラウンの厚みによっては45秒以上かかる場合もあり、ジルコニアクラウンの除去には適さないとの説明がありました。
エステティックゾーンの即日インプラント埋入について
スピーカー: Takashi Watanabe, DDS
上顎の唇側骨の欠如は即日インプンラント埋入の弊害になるとの見解で、骨増成方法について発表されました。
福島県いわき市で開業されている渡辺先生は、3月に発生した東日本大震災を体験されました。
スライドの最後に、被災地の現状と復興について熱弁されたところ、拍手が鳴りやまず感動いたしました。
渡辺先生は日本顎咬合学会の次期理事長に就任されます。
※講演の発表内容については、当サイトにおいて必ずしも保証するものではございません。
■ AAEDに参加して
審美歯科学会ということで、全体を通して、新しい知識・技術・材料をいかに審美に応用するかに焦点をあててスピーチされていました。特に、エステティックゾーンの修復についての発表が多数なされてました。
CAD/CAMを使った補綴物の修復技術も年々高まり、隣在歯の天然歯と比較しても区別がつかないほど精密になってきています。
これからも、各国の先生方が刺激を受け合って、新たな技術の進歩がここから生まれることを期待致します。
次回、第37回AAEDは、2012年8月7〜10日にフロリダのリッツカールトンホテルにて開催されます。