第4回 ADIA デンタルインプラント学会

会場となったマンダレイベイホテル(ラスベガス) 会場入口
▲ 会場となったマンダレイベイホテル(ラスベガス)

▲ 会場入口

■ 第4回 ADIA デンタルインプラント学会

2011年1月20日(木)から22日(土)の3日間にわたり、アメリカ合衆国・ラスベガスにおいて、第4回目となる『ADIA デンタルインプラント学会(American Dental Implant Associaton)』が開催されました。
 『ADIA デンタルインプラント学会』は、アメリカを中心として毎年行われているインプラント治療の学会で、主催者アランガーグ医師(Arun K. Garg, DMD)と、その献身的な関係者様の働きかけで、小規模ながら優れた内容の講演が行われています。


メインプログラムの会場 ▲ メインプログラムの会場

今回は、世界でトップ3の実力を誇るインプラント治療の臨床家によるスピーチが行われたほか、多くの権威あるドクターによる講演も行われ、全部で20のテーマにおいて研究発表が行われました。また、実践的ワークショップでは、アメリカでも実力を馳せる数名の臨床家の指導の元、59名の熱心な日本人ドクターがオペの実習を受けられました。

下記に、本学会で特に注目を集めたプログラムの一部を簡単にご紹介いたします。


■ 注目を集めたプログラム

垂直方向の骨造成

スピーカー: KEIICHI NARUSE, DDS
【講演内容】
一般的に、垂直方向の骨造成は難しく、通常可能な範囲が1〜2mmとされていますが、「タイタニウムメッシュ」を使用した人工骨を補填する方法であれば、1cm単位以上の垂直的な骨造成を可能にすると発表され、その目的についても述べられました。

歯周病菌とインプラント歯周炎の関係

スピーカー: DONALD CALLAN, DDS
【講演内容】
歯周病と全身疾患の関係の中に、心臓疾患、未熟児などがあると述べられました。また、「Ferrule effect(フェルール効果)」についても、下記のように発表されました。
◆Ferrule effect(フェルール効果)について
垂直的な歯根破折を防ぐ効果のこと。 クラウンとセメントのアタッチメント部分、IAJ(Implant abatment junction)にオープンマイクロギャップがあり、10〜15マイクロン開いているため、インプラント性歯周炎の病因となる可能性がある。

hpPRP(HIGHLY CONCENTRATED PLATELET PLASMA)の役割

スピーカー: ASTLEY E. SMITH, BSC. MSC. DMD
【講演内容】

hpPRP(HIGHLY CONCENTRATED PLATELET PLASMA)の役割について発表されました。
hpPRPとは、血液の血小板を「BIO PHYLLER(R)」という遠心分離機に5回かけて、5倍濃縮の骨を作る方法で、人工骨の補填材と同じ役割を果たします。大きな違いは、hpPRPのみで高誘導・骨造成が図れるため、他の補填材がいらない点です。通常は骨ができるまで半年かかるところが、濃縮しているために3ヶ月で骨ができるとのこと。CT画像で骨が出来た様子も見せていただけました。

BMPを使ったインプラントのボーングラフト治療

スピーカー: ROBERT MARX, DDS
【講演内容】

BMP(Bone Morphogenetic Protein)を使ったボーングラフトについて発表され、下記のような治療のポイントも述べられました。ROBERT先生は世界でTOP3に入る著名なドクターであるため、聴講をしているドクターからは質問の嵐でした。
◆骨を作るときに重要な三大要因

(1)感染を防ぐ
(2)固定する※タイタニウムメッシュを使う
(3)血流をよくする※タイタニウムメッシュを使う

今回は、「Ferrule effect」という言葉をよく耳にしました。元々は、失活歯にクラウンを装着後、歯が割れるのを抑える効果のために付けられた言葉ですが、 インプラントにも応用されているようです。

※講演の発表内容については、当サイトにおいて必ずしも保証するものではございません。


展示会場では、約50のブースが出展されており、ピエゾサージェリーやprpの展示に興味を持たれ購入される先生方が多くいらっしゃいました。また、テーブル席では日本とアメリカの術式の違い、今後のインプラント治療の発展や新しい技術についての意見交換をされている先生方がいらっしゃったことが印象的でした。

メーカーの展示会場の様子
▲ メーカーの展示会場の様子
展示ブース
▲ 展示ブース

さらに学会期間中に、アメリカでインプラントの臨床実績が最も多いと言われるDr.Leon chenのオフィスへ、数名の歯科医師と共に訪れました。そこでは、歯科医師向けの講義が行われており、私達も講義を受けさせていただくことができました。医院訪問もさることながら、大変貴重な経験をさせていただきました。

Dr.Leon chenのオフィス
Dr.Leon chenのオフィス
講義の様子
▲ 講義の様子

■ 第4回 ADIA デンタルインプラント学会に参加して

今回の学会に参加し、日本では薬事・医療に関する規制の多い中、アメリカでは研究成果をいち早く臨床に取り入れられるシステムが作られている事を改めて実感いたしました。日本にも同様のシステムが取り入れられることで、患者様が最新でより良い治療が受けられる日が来ることを願ってやみません。

来年のADIAデンタルインプラント学会も、同時期にラスベガスで開催される予定です。

レポート:インプラントネット事務局

このページの先頭へ