「信頼性ある口腔インプラント専門医」 - 第40回(社)日本口腔インプラント学会・学術大会

シンポジウムが行われた札幌コンベンションセンター 会場入口
▲ シンポジウムが行われた札幌コンベンションセンター

▲ 会場入口

■ 第40回(社)日本口腔インプラント学会

2010年9月17日(金)から19日(日)の3日間にわたり、札幌市の札幌コンベンションセンターおよび札幌市産業振興センターにおいて「第40回(社)日本口腔インプラント学会・学術大会」が開催されました。(「第30回(社)日本口腔インプラント学会東北・北海道支部総会・学術大会」「第3回日本口腔検査学会総会・学術大会」併会)

札幌の会場には、のべ3,000名を超える歯科医師・歯科従事者が集結し、大いに盛り上がりました。

※『日本口腔インプラント学会』は、日本の口腔インプラント学の振興・向上を推進することを目的とし、1986年に日本歯科インプラント学会と日本デンタルインプラント研究学会が合併して設立されました。現在、正会員数10,000名以上を誇り、年1回「総会・学術大会」が開催されています。大会では、多数の一般講演のほか、特別講演、教育講演、シンポジウムなどが行われ、歯科従事者の知識や技能の研鑽・習得が図られています。

メインプログラムの会場 ▲ メインプログラムの会場

40回目となる今回の学会では、「信頼性あるインプラント専門医」をメインテーマに掲げ、「専門医とは何か」ということを掘り起こす内容となりました。具体的には、“基礎を学び土台作りをする教育の場できちんとした教育が行われているのか”、“歯科医院や大学、臨床家の間で有益な連携が取られているのか”、“海外や最新の治療を都度検証し、取り入れることができているのか”など、信頼ある専門医を取り巻く環境について改めて様々な方向から掘り下げ、議論されました。

下記に、本学会で特に注目を集めたプログラムの一部を簡単にご紹介いたします。


■ 注目を集めたプログラム

【基調講演】 口腔インプラント専門医への信頼性は
どこから得られるか
座長: 松沢 耕介 先生(学会大会長)
講師: 川添 堯彬 先生(学会理事長)

「真に信頼性ある口腔インプラント専門医」について講演され、専門医として“信頼されることとは何か”について下記のような点を挙げられました。
1. 専門医制度を設けている学会および制度に対する信頼があるか
2. 専門医を取得していることに対する信頼度があるか
3. 十分なインフォームド・コンセントが受けられたか 
他7点ほど具体的な例を挙げ、お話しされました。
【シンポジウム】 信頼できるインプラント専門医の条件
座長: 前田 芳信 先生(大阪大学大学院歯学研究科)

5名の講師による専門医の条件をテーマとした講演が行われ、インプラント治療の結果を予測できること、長期の経過における変化に対して適切に対応できることの必要性を強調する内容となりました。
また、「外科処置」「上部構造のリスクファクター」、「インプラント周囲組織」、「全身疾患とインプラントの関係」をそれぞれについて適切に把握、診断できることが重要と述べられました。

【緊急シンポジウム】 医療安全・安心の推進、PartU
座長: 伊藤 隆利 先生(学会常務理事)
講師: 石川 雅彦 先生(日本医療安全研究所)
   : 佐野 公人 先生(日本歯科大学新潟生命歯学部)

「インプラント臨床における医療安全について」および「医療安全推進のためのシステム化」について講演されました。また、冒頭では学会としての取り組み、医療事故のケースなどを紹介・解説したことによって、講演開始直後から多くの参加者の関心を集めていました。
【セミナー】 安全で確実なインプラント治療に必要となる解剖学的知識
座長: 山下 秀一郎 先生(松本歯科大学大学院顎口腔機能制御学講座)
講師: 井手 吉信 先生(東京歯科大学解剖学講座)

不十分な知識と安易な治療計画のもとで行われたインプラント治療が引き起こす下顎におけるトラブルを避けるためには、どうすべきか。個々の患者様の骨の状態や血管、神経の位置について正しく認識することを軸に「インプラント治療に関連する顎骨とその周囲組織の構造」についてお話しされました。

その他、会場通路をはじめ2つのホールで多くのインプラント関連企業が展示販売を行っていました。当インプラントネットもブースを出展し、沢山の先生方にお声をかけていただきました。

インプラントネット展示ブース
▲ インプラントネット展示ブース
会場通路での展示販売の様子
▲ 会場通路での展示販売の様子

■ 第40回(社)日本口腔インプラント学会に参加して

今回の学会では、最先端の治療に焦点をあてて議論が行われたというよりも、原点に立ち返り、「信頼性あるインプラント専門医」のテーマに沿って、患者様からの「信頼」を獲得するための「インプラント手術を安全・安心に行うための留意点」や「偶発症、リスクファクターのコントロール」などについて、熱く議論されていたように思います。

また、会場では全国各地から集まった先生方が、活発に意見や情報交換をされていたことが印象的でした。このような学会を通して、インプラント治療がより発展していくことを願うとともに、今後も学会に参加させていただき、インプラントネットにおいて最新かつ有益な情報を提供できるように努めて参りたいと思います。

次回、第41回大会は、2011年9月16日(金)〜18日(日)に名古屋国際会議場(名古屋市)にて開催されます。

レポート:インプラントネット事務局

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