即時負荷インプラント

インプラント総合サイトです。歯科インプラントに関する治療説明、『その日の内に仮歯が入る即時負荷インプラント』についてご紹介します。歯を失ってお困りの方、入れ歯・ブリッジが合わない方は是非ご覧下さい。

更新日:2019/10/01

■目次

  1. 即時負荷インプラント - その日のうちに仮歯が入る
  2. 即時負荷インプラントの一定条件
  3. 即時負荷インプラント治療例 「ケース1.噛むと右下に痛みがある」
  4. 治療前
  5. 【1】
  6. 【2】
  7. 手術後1週間
  8. 即時負荷インプラント治療例 「ケース2.下もインプラントにしてほしい」
  9. 治療前
  10. 手術前
  11. 手術当日
  12. 手術後
  13. 即時負荷インプラント治療例 「ケース3.銀歯破折によりインプラントを選択」
  14. 治療前
  15. 手術前
  16. 手術中
  17. 手術後
  18. 治療後
  19. 1週間後

即時負荷インプラント - その日のうちに仮歯が入る

従来のインプラント治療では、インプラントを埋め込んだあと一定期間(3~6ヶ月)はインプラントの定着が強固になるまで、顎に力を入れてはならず、本当に噛めるようになるまで待たなければなりませんでした。

しかし、即時負荷インプラントでは、一定の条件を満たしていれば、1本でも全顎の場合でも、インプラントを入れてすぐに仮歯をいれ、硬くないものであれば、手術当日に噛めるようになります。

ある一定の条件を満たしていれば、1本のケースでも全顎のケースでも、インプラントを入れてすぐに仮歯を入れ、それほど硬くないものであれば手術当日に噛むことができるようになる画期的技術が存在します。

この技術は 即時負荷インプラントと呼ばれ、従来の常識を覆すそのコンセプトには世界各国からの熱い注目が寄せられています。

即時負荷インプラントの一定条件

即時負荷インプラントのできる条件として、以下のようなことが指摘されています。

●インプラント挿入時に、強固な初期固定ができるだけの骨の量や硬さがある。
●最低限の口腔内清掃ができる。
●定期的なメンテナンスができる。
●極端な歯ぎしりなどインプラントに過大な負荷がかかる癖のない方。
●最初は硬いものを噛まない、などの約束事をきちんと聞き入れていただける方。

患者様によって口腔内の状態は異なります。十分な知識と技術のある歯科医師により、手術前の的確な診断が必要になります。

即時負荷インプラント治療例 「ケース1.噛むと右下に痛みがある」

治療前

【1】

治療前

右下にはブリッジが入っていますが、奥の歯は割れており保存が難しい状況です。患者様はすでにインプラント治療を経験されており、今回もインプラント治療を希望されています。治療計画は、抜歯と同時にインプラントを埋入し、即時負荷インプラントを行うこととしました。

(写真)○部分が割れてしまっているため、抜歯が必要になります。

【2】

治療前

骨の状態が万全ではなかったので無切開無痛手術ではありませんが、可能な限り大きく切らないように心がけました。 緑色に見えるのは縫合糸です。わずか一時間ちょっとで、ほぼ術前の状態に戻っています。ちなみに、抜歯した穴が大きかったため同時に、GBR ( 顎堤造成術:骨を造る処置 )も行っています。

(写真)○部分に、2本インプラントが既に埋め込まれていました。抜歯の後、すぐに仮歯をいれました。

手術後1週間

手術後1週間

少しこげているように見えるのは、傷の治りを早くするためにCO2レーザーを照射してあるからです。それ以外の点では全く問題ありません。インプラントが骨と結合する2ヶ月間はこの仮歯が入った状態で過ごしていただけるので、患者さんはあまり不便に感じることはないようです。但し、骨と完全にくっつく2ヶ月間はあまり強く噛まないように注意していただく必要はあります。

(写真)痛み・腫れ・出血などの不快症状もほとんどなく、非常に安定している状態です。

即時負荷インプラント治療例 「ケース2.下もインプラントにしてほしい」

治療前

治療前

下顎には現在入れ歯が装着されていますが、食べるたびに入れ歯と歯ぐきの間に食べ物が入り、毎回不愉快な思いをしているとのことです。

(写真)金歯だけに負担が集中するため削れてしまい、穴が開いている状態です。これではおいしく食事をするのは難しいでしょう。

手術前

手術前

残っている歯に仮歯を入れました。インプラントを入れようとしている土手の部分は非常に細く、また下歯槽管 ( 神経と血管の入っている管:これを損傷すると痺れが残ります ) までの距離もあまりないため長いインプラントを入れられないなど、即時負荷には不利な条件といえるでしょう。このような症例ではCT撮影とコンピュータ・シミュレーションを行い、しっかりとプランニングを行う必要があります。

(写真)土手の状態は良いとはいえない状態。CTでよく精査し、安全に即時負荷手術が出来ると判断しました。

手術当日

手術当日

術前の的確な診断と正確な手術プランニングのおかげで、予定通りの埋入ポジションと充分な初期固定を得ることが出来ました。後は用意しておいた仮歯をインプラントに固定するだけであり、4本の仮歯を作るのには30分程度しかかかりません。このケースでも、同時に骨を造る処置をしています。

(写真)反対側も含めて、即日に仮歯を入れました。

手術後

手術後

下顎の4本以外に、上顎にもインプラント治療をさせていただいていることが分かります。全て良い位置に埋入されていますので、噛み合わせを確認後に作っていくセラミックが綺麗に入るであろう事が、今から容易に想像できます。

(写真)腫れや痛みを感じることはほとんど無かったとのことです

即時負荷インプラント治療例 「ケース3.銀歯破折によりインプラントを選択」

治療前

治療前

患者さんは、銀歯が取れたことで来院。残念ながら歯が割れており、保存は難しい状況です。抜歯後は、インプラントかブリッジになりますが、患者さんは健康な歯を削ることになるブリッジは検討に値しないということで、インプラント治療を選択されました。レントゲンを見てもわかるように、歯が割れているせいでかなりの骨吸収が見られますが、何とか 抜歯即時インプラント埋入 ができるだけの骨は確保できそうです。

(左写真) 歯が割れており、保存は難しい状態です。
(右写真) 歯折れる部分のレントゲン写真。

手術前

手術前

手術中

手術中

インプラント埋入後。切開・剥離を行っておりませんので、出血はほとんどありません。

手術後

手術後

治療後

治療後

手術後のレントゲン写真です。当初はもう1サイズ長いインプラントを、少し深めに入れる予定でしたが、骨が非常に硬かったので、オーバーヒート(摩擦による骨の火傷)防止を考え、短いサイズにに変更しました。

1週間後

1週間後

1週間後の写真です。腫れ・痛み・出血は全くありません。





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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。