無切開無痛手術 - フラップレスサージェリー

切らない(メスを使わない)インプラント治療。もしインプラントを埋入しようとしている部分に十分な骨と歯肉が存在する場合、当院では無切開無痛手術(フラップレスサージェリー)という術式があります。
無切開無痛手術とは、従来から当たり前のように行われている、メスを使って歯肉を切開・剥離するというプロセスを省き、歯肉に直径4mm程度の穴を開け(開けないときもあります)、その穴からインプラントを埋入するため、身体に傷をつけることの少ない手術方法です。

更新日:2019/10/08

■目次

  1. 無切開無痛手術
  2. 無切開無痛手術治療例
  3. CASE1 ブリッジは壊れそうなのでインプラントを入れてほしい
  4. CASE2 インプラントでしっかりと噛めるようになりたい

無切開無痛手術

切らない(メスを使わない)インプラント治療

もしインプラントを埋入しようとしている部分に十分な骨と歯肉が存在する場合、当院では無切開無痛手術(フラップレスサージェリー)という術式があります。
無切開無痛手術とは、従来から当たり前のように行われている、メスを使って歯肉を切開・剥離するというプロセスを省き、歯肉に直径4mm程度の穴を開け(開けないときもあります)、その穴からインプラントを埋入するため、身体に傷をつけることの少ない手術方法です。

無切開無痛手術の利点

・歯肉を切開しないため、従来の手術に比べて、術中・術後の腫れや痛み・出血がほとんどない
・切開・縫合の必要がないため、手術時間が飛躍的に短縮できる(平均1本5分以内に終了)
・歯肉を切開しないので治癒期間が短くて済み、短期間で全ての治療を終えることが出来る
・メスを使わないことにより、患者さんの精神的不安が少なくて済む
・上記理由により、有病者(血圧や糖尿病をお持ちの方)にもインプラント治療を提供できる


無切開無痛手術の欠点

外科治療の基本は、手術野を大きくとり十分な手術野を得る、すなわち大きく切開して全体をよく確認する(骨が少ない難しいケースではこれをしなくてはなりません・・・)ことであるといわれています。
したがって、無切開無痛手術には、術者である歯科医師がインプラントを入れようとしている骨の状態を直接目で見て確認することができないといった欠点もあります。
これは、内視鏡を使った手術(限られた視野しかありません)でよく事故が起きることでもご理解頂けると思います。

結論から言うと、無切開無痛手術は充分な経験をつんだ歯科医師が適応症を厳格に選定し、確実な準備が出来る場合にのみに選択されるべき手術方法だと考えられます。

全てのケースで無切開無痛手術が適応できるわけではありません。
また、個々のケースによって最適な手術方法は異なると思います。

無切開無痛手術治療例

CASE1 ブリッジは壊れそうなのでインプラントを入れてほしい

術前
今回の手術は、右上4番目の歯です。
術後(開始10分後)
画面に見える金属は歯肉が治るまで入れておくTHA(テンポラリーヒーリングアバットメント)と呼ばれているパーツです。今回、同時にソケットリフトも行いましたが、CTで充分にシミュレーションしていますので全く問題ありませんでした。前述の通り、直接骨を見ることができないため通常以上に慎重に手術を行いましたが、それでもこのような短時間で終了してしまいます。初期固定も充分であり即時負荷も可能でしたが、両脇の歯を土台として仮歯が入っていますのでその必要はありませんでした。術後の経過も大変良好で、痛み・腫れ・出血はほとんどなかったとのことです。
治療完了
全てジルコニアオールセラミックで修復してあります。アバットメントもジルコニアを使用しています。チタン(インプラント)以外の金属を全く使用しておりませんので、大変自然な感じになっていますね。患者さんは大変喜ばれていらっしゃいます。

CASE2 インプラントでしっかりと噛めるようになりたい

術中・術後
無切開無痛手術ですので、インプラントを埋入する位置を決めたら切開を行わずに直接骨の中に入れていくことが出来ます。初期固定も充分で即時負荷も可能なレベルでしたが、噛み合わせが不安定だったこともあり落ち着くまで待機することにしました。
インプラントを入れる穴以外は切開などをしておりませんので、術後の腫れや痛みなどの不快症状はほとんどありませんでした。
治療完了
全てジルコニアオールセラミックで修復してあります。アバットメントもジルコニアを使用しています。チタン(インプラント)以外の金属を全く使用しておりませんので、大変自然な感じになっていますね。患者さんは大変喜ばれていらっしゃいます。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。