インプラントも歯周病になる?症状や原因、リスク、治療法、予防法は?

インプラント治療を検討しているなかで「インプラントも歯周病になる」という話を知って驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、人工物であるインプラントが歯周病になるとはどのようなものなのか、歯周病の症状を引き起こす原因は何かといったことを詳しく解説します。

更新日:2024/08/22

インプラント 歯周病

■目次

  1. インプラントの歯周病とは
  2. インプラントの歯周病の症状
  3. インプラント周囲粘膜炎
  4. インプラント周囲炎
  5. インプラントが歯周病になる原因
  6. インプラントの歯周病を引き起こしやすくする原因
  7. 原因①喫煙
  8. 原因②全身疾患
  9. 原因③歯ぎしりや食いしばりなどの癖
  10. 原因④歯並びの悪さ
  11. インプラントの歯周病を治療しない場合のリスク
  12. インプラントの歯周病の治療法
  13. インプラント周囲粘膜炎の場合
  14. インプラント周囲炎の場合
  15. インプラントの歯周病の予防法
  16. インプラント手術前に歯周病を治療する
  17. インプラント手術前に歯周病を治療する
  18. 丁寧なセルフケアを心掛ける
  19. 歯科医院で定期的にメンテナンスを受ける
  20. 生活習慣を改善する
  21. まとめ
  22. 記事監修

インプラントの歯周病とは

インプラント 歯周病

インプラントの歯周病は「インプラント周囲炎」とよばれ、埋入したインプラントの周囲に炎症が起こる病気です。インプラントと歯茎との間に細菌が増殖して、顎の骨の吸収が引き起こされます。インプラントは天然歯よりも炎症への抵抗力が弱いため、症状が進行しやすい点にも注意が必要です。

インプラントの歯周病の症状

インプラントの歯周病は、症状によって2種類に分けられます。

インプラント周囲粘膜炎

炎症がインプラント周囲の粘膜のみに起こっている状態を、インプラント周囲粘膜炎といいます。歯茎の赤みや腫れが見られるものの、骨吸収など歯周組織の破壊は起こっていません。天然歯の歯肉炎のような状態です。

インプラント周囲炎

インプラント周囲の骨にまで炎症が及んで骨が溶けている状態です。インプラント周囲に赤み・腫れ・出血が起こるほか、膿が出るといった症状も見られます。さらにひどくなるとインプラントがグラグラと動揺するようになり、最終的にはインプラントが脱落することもあります。

インプラントが歯周病になる原因

インプラント 歯周病

インプラントが歯周病になる直接的な原因は、プラーク(歯垢)です。プラークは細菌の塊で、歯や歯茎、インプラントに付着します。歯磨きなどが不十分で、プラークが長い間除去されないと、インプラントの周囲が歯周病になります。

インプラントの歯周病を引き起こしやすくする原因

インプラントの歯周病は、以下のような生活習慣や癖によっても引き起こされるリスクが高まります。

原因①喫煙

タバコに含まれるニコチンやタールによって、インプラント周囲の血行不良が起こります。すると免疫力が低下し、インプラントの歯周病を引き起こしやすくなるのです。

原因②全身疾患

糖尿病・血液疾患(白血病や貧血など)・自己免疫疾患といった全身疾患は、歯周組織の免疫力を低下させるリスクがあります。

原因③歯ぎしりや食いしばりなどの癖

歯ぎしりや食いしばりによって歯周組織に強い負担がかかると、インプラントの歯周病の進行に悪影響を及ぼします。

原因④歯並びの悪さ

歯並びが悪いと、インプラントの歯周病を引き起こすプラークを歯磨きで取り除きにくくなります。

インプラントの歯周病を治療しない場合のリスク

インプラント 歯周病

インプラントの歯周病が自然に治ることはありません。治療せずに放置していると、顎の骨が溶けてインプラントがグラグラと動揺します。破壊された歯周組織を元通りにすることは難しく、最終的にはインプラントを除去しなければならないかもしれません。

インプラントの歯周病の治療法

インプラントの歯周病になった場合に、どのような治療が行なわれるかを解説します。

インプラント周囲粘膜炎の場合

専用の器具を使い、インプラント周囲の歯周ポケットに溜まっているプラークや歯石を取り除きます。除去しにくい場合には、上部構造(人工歯)を一時的に取り外して、歯周ポケットおよび上部構造の洗浄を行うケースもあります。また、毎日のセルフケアでプラークを取り除けるように、歯磨き指導も行なわれます

インプラント周囲炎の場合

歯周ポケットのプラークや歯石の除去などに加え、薬剤やレーザーを併用した洗浄・殺菌が行なわれます。また、顎の骨に埋まっているインプラントそのものを清掃するために、歯茎の切開が必要になることもあります。症状がひどい場合には、インプラントの除去が行なわれます。

インプラントの歯周病の予防法

インプラント 歯周病

インプラントの歯周病は発症させないことが重要です。予防する有効な方法としては、以下が挙げられます。

インプラント手術前に歯周病を治療する

すでに歯周病にかかっている状態でインプラント治療を受けると、インプラントの歯周病を発症するリスクが高まります。インプラント治療前に歯周病の検査を受け、必要なら歯周病治療を先に受けることが大切です。

インプラント手術前に歯周病を治療する

すでに歯周病にかかっている状態でインプラント治療を受けると、インプラントの歯周病を発症するリスクが高まります。インプラント治療前に歯周病の検査を受け、必要なら歯周病治療を先に受けることが大切です。

丁寧なセルフケアを心掛ける

インプラント治療後は、日々のセルフケアでプラークを取り除くことを徹底しましょう。基本となるのが歯磨きです。

歯ブラシは、毛足がストレートで3~4列のタイプが適しています。歯茎に炎症が起こっていない方であれば、歯ブラシの硬さは普通かやや硬めがおすすめです。

磨き方としては、鉛筆を持つように歯ブラシを持ち、毛先を歯に軽く当てて細かく動かしていきます。歯と歯の間や、歯と歯茎の境目は特にプラークが付着しやすいため、鏡を見ながら丁寧に汚れを落としていくことが大切です。5分程度かけて歯磨きを行ない、フロスや歯間ブラシも活用しましょう。

歯科医院で定期的にメンテナンスを受ける

インプラントの歯周病を防ぐには、「丁寧なセルフケア」と「歯科医院でのメンテナンス」を継続することが大切です。歯科医院でのメンテナンスでは、セルフケアで取り除けないプラークや歯石を除去してもらえるほか、インプラントの周囲に炎症が起こっていないかなどもチェックしてもらえます。

インプラント治療後にメンテナンスを受けていない人は、メンテナンスを受けている人よりもインプラント周囲のトラブルが発生しやすいというデータもあります。

メンテナンスの頻度は歯科医院や口腔内の状態によりますが、目安としては1ヶ月~6ヶ月に1回です。

生活習慣を改善する

生活習慣を改善することで、インプラントの歯周病を引き起こす要因をできる限り取り除けます。具体的には、禁煙する、栄養バランスのとれた規則正しい食生活を心がける、運動などでストレスを解消するといったことを意識すると良いでしょう。

まとめ

インプラントは天然歯に比べて炎症への抵抗力が弱いため、歯周病になりやすいという点には注意が必要です。インプラントの歯周病にかかると、最終的にはインプラントを失う可能性もあります。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。