相場よりも費用が安い「格安インプラント」の懸念点

インプラントの費用(価格)はなぜ歯科医院ごとで異なるのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。提示された費用が全体の相場に比べて安いと感じたら、理由を疑った方が良いかもしれません。ここではインプラントの費用の差や、安さの理由をご紹介しています。インプラント治療を格安さだけで選ばないように、参考になさってください。

更新日:2021/12/06

相場よりも費用が安い「格安インプラント」の懸念点

■目次

  1. インプラント治療の費用の差はどこで決まるのでしょう
  2. インプラントの種類
  3. 設備
  4. ■手術室(クリーンルーム)
  5. ■医療機器
  6. 治療期間
  7. 治療技術
  8. 保証期間
  9. メンテナンス・相場

インプラント治療の費用の差はどこで決まるのでしょう

インプラント治療の費用は、全国平均で1本につき40~50万円が一般的な金額です。しかし、それよりも大幅に安い費用で、インプラント治療を提供している歯科医院もあります。費用の差は何故生じるのでしょうか。治療費が安い場合の懸念点と併せてご紹介します。

インプラントの種類

インプラントの種類

歯科インプラントの種類は、世界中で100種類以上存在するとされており、日本国内でも様々な種類のインプラントが治療で使われています。その中には、耐久性に問題がありながら格安で販売し、治療後数ヶ月であごの骨から抜け落ちてしまうインプラントが存在するのも実情のようです。埋め込むインプラントが日本または世界で普及し、実績のある製品かどうか確認しておきましょう。

>>インプラントの種類と特徴についてはこちら

【―豆知識―】
普及しているインプラントの製造元のほとんどは、食品と同じように、製品の生産や流通の履歴を明確にする“トレーサビリティ”とよばれる製造記録をつけて販売しています。トレーサビリティシステムを利用し、使用した製品と一人ひとりの記録をきちんと管理している歯科医院であれば、管理体制の整った歯科医院だと言えるかもしれません。

設備

■手術室(クリーンルーム)

■手術室(クリーンルーム)

インプラントを埋め入れる手術室(クリーンルーム)が無い場合は、設備投資を抑えているため、少し安い費用で治療が受けられるでしょう。
歯科医院の診療室では、歯や金属などを削るため、空気中にチリなどが多く舞うことがあります。手術室を設けて環境を整えることは、空気中の浮遊物をインプラントと共に埋め込んでしまうことを防ぎます。万が一浮遊物を埋め込んでしまった場合、最悪のケースではあごの骨とインプラントが結合しない恐れがあります。
手術室が無い歯科医院ではこのような最悪のケースを防ぐために、手術の前日や直前にしっかりと清掃を行い、手術中に他の患者さんの歯を切削するような治療は控え、環境を整えた状態で手術を行うことが一般的です。念のため手術室が無い歯科医院でインプラント治療を行う場合は、どのような環境で手術をするのか事前に確認しておきましょう。

■医療機器

■医療機器

CT(コンピューター断層撮影)や、血液検査や静脈内鎮静法などの施術が無い歯科医院は、設備投資を抑えているため、少し安い費用で治療が受けられるでしょう。CTの無い歯科医院でCT撮影の必要になった時は他の施設へ撮影に行くことになりますので、CTを設置している歯科医院と比べると、診断に時間がかかることもあります。スムーズにインプラント治療を行いたい方はその点も考慮して治療を行う歯科医院を検討するとよいでしょう。

※静脈内鎮静法とは…
手や腕から点滴で気分を落ち着かせる効果のある薬(プロポフォールなど)を入れ、治療中の不安や緊張、痛みを軽減します。強い不安感をお持ちの方や、全身疾患をお持ちの方、高齢者の方は治療中のストレスから急激な体調の変化が起こりやすいとされているため、静脈内鎮静法が受けられる設備の整った歯科での治療をお勧めします。

治療期間

治療費を安く抑えるために、多くの人に検査を省き早く治療を進めることで、費用のバランスをとる歯科医院があるようです。見た目(審美性)を求める場合や、しっかりとカウンセリングをして治療を進めたい方は、費用だけではなく、患者さんとのコミュニケーションに重点を置いている歯科医院を選ぶと、満足度の高い治療を受けられるでしょう。

治療技術

インプラント治療の経験が浅いため、費用を安くして治療を行う歯科医師もいることでしょう。しかし、治療経験と技術が必ずしも比例するとは限らないため、技術を評価することは難しいといえます。歯科医師や治療に携わるスタッフが、実習のある講習会や研修に参加したり、学会や症例(治療)検討会に参加していれば、技術や知識を磨いている一つの指標にはなるでしょう。技術面を考慮して歯科医院選びをしたい方は、歯科医院のホームページに掲載されている症例写真(治療した写真)、認定医などの経歴や実績などを参考にされてはいかがでしょうか。

>>インプラント学会について
>>インプラント治療を行う歯科医院の選び方

保証期間

インプラントが抜け落ちる・人工歯が割れるなどのトラブルが生じた際に、無料もしくは患者さんが治療費の一部を負担してやり直しを行う「保証制度」を付与していることが一般的となりました。保証内容に関しては、歯科医院ごとによって異なりますので、治療を始める前に確認しておきましょう。

治療費が安い場合に見られる保証内容は、”保証の加入は無料で、修理費用の一部負担金が経年的に増加していく”システムです。このような保証の場合、治療後すぐに不具合が発生した際にも、治療費の一部を負担しなければいけません。
しかし、一方では、5~10年間の修理費用が無償のところもあります。金銭的に余裕の無い方は、万が一に備えて、無償保証を設ける歯科医院での治療をお勧めします。なお、治療後~1年の間に、修理費用が発生するインプラント治療は再検討してみたほうがいいかもしれません。

>>インプラントの保証制度

メンテナンス・相場

インプラント治療を安く提供し、治療後のメンテナンスを高額にすることで、費用のバランスをとる歯科医院もあるようです。治療を始める前に、メンテナンスにかかる費用と、メンテナンスの通院頻度の目安を聞いておきましょう。
なお、お口全体のメンテナンスを30分~1時間受けた場合の費用の相場は、3,000円~10,000円程度です。
メンテナンスが高額のため通院をやめてしまうとインプラントの寿命が早まる原因になるため、継続してメンテナンスを受けることができる歯科医院でインプラント治療を受けるようにしましょう。

>>歯科医院で行うメンテナンスとは?

費用を抑えて治療したいとお考えの方は少なくないでしょう。しかし、費用はインプラント治療をする歯科を検討する一つの要素として考え、費用だけで決断して治療を開始しないことをお勧めします。

上記の内容は一部異なる可能性がありますので、詳しくはインプラント治療を受ける予定の歯科医院に直接お問い合わせください。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。