なぜ2回も?インプラントで2次オペをする理由とは

インプラント治療を受ける際、手術を2回行うと説明され、「なんで2回も手術をしなければならないのだろう」と疑問を持たれた方もいらっしゃるかと思います。ここでは、そんな方のために、インプラント手術を2回行う理由や1回の手術の場合と比較したメリットとデメリットを解説していきます。
インプラント治療で2回手術を受ける理由をしっかりと理解して、治療に臨みましょう。

更新日:2021/12/02

なぜ2回も?インプラントで2次オペをする理由とは

■目次

  1. インプラント手術とは
  2. 2回法の手術の流れ
  3. インプラントの埋入手術①
  4. インプラントの埋入手術②
  5. インプラントの埋入手術③
  6. 結合期間(3ヶ月~6ヶ月)
  7. アバットメントの連結手術(2回目の外科手術)①
  8. アバットメントの連結手術(2回目の外科手術)②
  9. アバットメントの連結手術(2回目の外科手術)③
  10. 人工歯の取り付け
  11. 2回法のメリット・デメリット
  12. おまけ:2回法で用いられる代表的なインプラントシステムと特徴
  13. インプラント手術を2回行う理由・まとめ
  14. 記事監修

インプラント手術とは

インプラントの構造

歯科インプラントは、あごの骨に埋め入れる「フィクスチャー(人工歯根)」と、失った歯の代わりとなる人工歯とも呼ばれる「上部構造」、それらインプラントと上部構造を連結する「アバットメント」の3つの部品で構成されています。インプラント治療は、歯茎を切り、あごの骨をさわる外科手術が必要です。この外科手術には、1回法と2回法があります。

1回法は、インプラントを埋め込み、アバットメントを連結するまでの外科手術を1回で行う手術法です。

>>1回法の詳しい流れはこちら

2回法では、外科手術を2回行います。1回目の手術で、インプラントをあごの骨に埋め込み、一度歯肉を閉じてインプラントと骨が結合する(3~6ケ月)のを待ちます。2回目の手術で再び歯肉を開き、アバットメントの連結を妨げるあごの骨を削り、アバットメントを連結します。これらの外科手術を経て、人工歯作製に進みます。2回法では、歯茎を閉じてあごの骨にインプラントがしっかり固定する期間を設けるので、あごの骨を増やす手術を併せて行う方や全身疾患をお持ちの方など、1回法では感染のリスクが高い方に適した方法です。

二回法の特徴
●ほとんどのケースに対応できる
●感染のリスクが高い方に適している(インプラント周囲の衛生状態を保ちやすい)
●2回の外科手術をおこなう
●歯茎の切開を2回行うので、身体への負担がかかる
●人工歯が入るまでの工程が複雑なので、費用が比較的高い

2回法の手術の流れ

インプラントの埋入手術①

インプラントの埋入手術①

局所麻酔後、歯肉を切り開き、あごの骨に埋め込むインプラントと同じ長さ・太さの穴を、ドリルであけます。

インプラントの埋入手術②

 インプラントの埋入手術②

インプラントを埋め込みます。インプラントの上部のネジ穴が、新しい骨や歯茎で塞がらないようにするため、インプラントにカバーを装着します。

インプラントの埋入手術③

インプラントの埋入手術③

カバー部分が歯肉から出ないように縫い合わせて、1回目の外科手術は終了です。

結合期間(3ヶ月~6ヶ月)

手術後、埋め込んだインプラントが骨と結合するまで安静期間を設けます。骨の状態や治療部位によって異なりますが、3ヶ月~6ヶ月ほど待ちます。

アバットメントの連結手術(2回目の外科手術)①

アバットメントの連結手術(2回目の外科手術)①

局所麻酔後、歯肉を再び切り開き、カバー上部分の新たに作られた骨を削り、インプラントからカバー部分を外します。

アバットメントの連結手術(2回目の外科手術)②

アバットメントの連結手術(2回目の外科手術)②

アバットメントを連結するために、インプラントの上部の不要な骨を削ります。

アバットメントの連結手術(2回目の外科手術)③

アバットメントの連結手術(2回目の外科手術)③

インプラントにアバットメント(または仮のアバットメント)を連結し、アバットメント上部は歯肉の上に出ている状態で、2回目の外科手術は終了です。

人工歯の取り付け

人工歯の取り付け

噛み合わせをチェックしながら人工歯を取り付けます。(仮のアバットメントの場合は交換し、アバットメントを取り付けてから人工歯を取り付けます。)

2回法のメリット・デメリット

メリット
●どのようなケースにも対応できる。(あごの骨が痩せている方や審美性を求める方、全身疾患をお持ちの方など)
●歯肉を閉じて骨とインプラントがしっかりと結合する期間を待つため、感染をおこす可能性が低い
オーバーデンチャー(着脱式の総入れ歯を人工歯として使う方法)に対応できる

デメリット
●外科手術を2回行う必要があるため、身体への負担が大きい
●1ピースのインプラントよりも部品が多く、外科手術が2回必要なため、費用が高くなる
●人工歯が入るまでの工程が複雑なので、1ピースのインプラントよりも治療期間が長くなる
●アバットメント装着後、インプラントとをつないでいるネジが緩む可能性がある

治療に関するデメリットに関しては、治療前にしっかりと治療計画を立案することや、治療後にお口の状態を定期的にチェックすることで回避できます。
また、お口や身体の状態によって1回法、2回法と治療方法を選択することも可能な場合がありますので、希望があれば担当の歯科医師に伝えてみましょう。

おまけ:2回法で用いられる代表的なインプラントシステムと特徴

2回法で用いられる代表的なインプラントシステムと特徴

メーカーによってインプラントシステムは異なるため、特徴も異なります。今回は2回法の手術でよく用いられるメーカー別のインプラントシステムの特徴について、解説していきます。

株式会社アルタデントから出ている「カムログインプラント」は、長期にわたる基礎と臨床研究に基づいて、ドイツで開発されたインプラントシステムです。
アストラテック株式会社の「アストラテックインプラント」は、インプラントの周りの骨を短期・長期的に保護することができます。

また、ストローマン社の「I.T.Iインプラント」はインプラント表面を酸処理し、粗面にすることで骨との結合を強化し、治癒期間を2ヶ月程度に短縮できるような特徴です。

このようにインプラントシステムによってさまざまな特徴があります。一覧にしてまとめましたので、ご興味がある方は保存し、チェックしてみてください。

歯科医院によっては、取り扱っていないインプラントシステムもありますので、希望のメーカーがありましたら、歯科医院にご相談下さい。

インプラント手術を2回行う理由・まとめ

インプラント手術を2回行うメリットやデメリットはご理解いただけたでしょうか。2回の手術でしっかりと骨とインプラントが結合することで、インプラントが外れにくくなり、感染症のリスクを減らすことができます。その一方、手術を2回受けることによる身体的な負担もあります。歯科医師とよく相談し、納得してから治療に臨みましょう。

記事監修

記事監修:古川雄亮

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。