ICOI(国際口腔インプラント学会)認定医とは?

インプラント治療を受けようと考えたときに「どの歯医者を選べばいいのか」と悩む方も多いと思います。できるだけ知識や経験が豊富な歯科医師に治療してもらいたいですよね。 いろいろと歯医者を探すなかで、「ICOI(国際口腔インプラント学会)認定医」という資格を目にしたことはありませんか?ICOI認定医とは一体どのような資格なのでしょうか。また、ICOI認定医が在籍する歯医者を選ぶメリットについても解説します。

更新日:2024/10/03

■目次

  1. ICOI(国際口腔インプラント学会)とは
  2. ICOI(国際口腔インプラント学会)の3つの認定資格
  3. ICOI Fellowship(認定医)
  4. IPS Mastership(マスターシップ)
  5. ICOI Diplomate(指導医)
  6. ICOI(国際口腔インプラント学会)認定医のいる歯医者を選ぶ2つのメリット
  7. 信頼性の高い治療を受けられる可能性が高まる
  8. 歯科医師の知識や技術がアップデートされやすい
  9. 歯医者選びでチェックしたい6つのポイント
  10. カウンセリングの丁寧さ
  11. 明確な説明の有無
  12. お口の中全体を考慮した治療の提案
  13. 設備の充実度合い
  14. スタッフの質
  15. 通院しやすさ
  16. まとめ

ICOI(国際口腔インプラント学会)とは

ICOIは、International Congress of Oral Implantologistsの略称で国際口腔インプラント学会と訳します。設立は1972年、本部はアメリカのニュージャージー州にある、世界規模のインプラント学術団体です。

患者さんによりよい歯科治療を提供することを目的とし、会員である歯科医師に幅広いインプラント教育を実施している点も特徴です。世界的なインプラント学術団体であるとともに、インプラントの教育を継続的に提供する重要な団体です。

参考:ICOI(国際口腔インプラント学会)

ICOI(国際口腔インプラント学会)の3つの認定資格

ICOIでは、インプラント治療における知識や経験に応じて、以下3つの資格を認定しています。

ICOI Fellowship(認定医)

インプラント治療に関する一定の知識・技術があり、適切な診断と治療を行なえる歯科医師および歯科技工士を認定する資格です。資格取得のためには、インプラント治療を20症例以上行なっていること(外科処置・補綴処置の両方を行なっている場合は10症例)、ICOI学術大会に参加していること、ICOIによる研修を受講していること、などの条件を満たす必要があります。*歯科技工士については治療自体は行いません。

IPS Mastership(マスターシップ)

主に補綴治療を行なう歯科医師および歯科技工士のための資格です。補綴物を装着後1年以上経過したインプラント症例を40症例示す必要があるほか、ICOI学術大会への参加や、100時間以上の研修受講も求められるなど、ICOI認定医よりも高度な条件が設定されています。
*歯科技工士については治療自体は行いません。

ICOI Diplomate(指導医)

ICOIの認定資格のなかで、最上位の資格です。認定医よりも豊富な臨床経験と研鑽を積んだ歯科医師に与えられます。

資格取得のためには、インプラント埋入の外科処置のみの場合は60症例・200本以上、補綴処置(インプラント修復)のみの場合は60症例・100本以上、外科処置と補綴処置の両方を行なっていれば60症例・75本以上、という実績を示す必要があります。このうち、インプラント選択に多様性を有する症例や、骨造成症例などの困難症例も一定数含まなければなりません。また、ICOI学術大会への参加や研修の受講も必須で、資格取得の難易度が高く、全国でも指導医に認定されている歯科医師は稀です。

参考:ICOI(国際口腔インプラント学会)

ICOI(国際口腔インプラント学会)認定医のいる歯医者を選ぶ2つのメリット

ICOI認定医が在籍している歯医者を選ぶメリットとしては、以下2つが挙げられます。

信頼性の高い治療を受けられる可能性が高まる

ICOI認定医を取得するためには、一定の臨床症例をもっていることや、ICOI学術大会への参加や研修の受講などが必要です。つまり、認定医である歯科医師は世界的なインプラント学術団体が認めるほどの知識や経験をもっていることを意味し、信頼性の高い治療を提供しているという指標になるでしょう。

歯科医師の知識や技術がアップデートされやすい

ICOI認定医は取得して終わりではなく、3年ごとに更新が必要な資格です。取得から更新までの間に75時間以上の研修を受講したり、更新セミナーに参加したりと、研鑽を積まなければ認定医を継続することができません。このように、認定医はインプラント治療に関する知識や技術を常にアップデートします。

歯医者選びでチェックしたい6つのポイント

インプラント治療を受ける歯医者を選ぶ際には、歯科医師がICOI認定医かどうかという観点以外に、以下の6つのポイントもチェックしましょう。

カウンセリングの丁寧さ

治療開始前のカウンセリングや問診で、誠実な対応をしてくれるかどうかは重要なポイントです。わかりやすい言葉で説明してくれるか、治療に対する不安を親身に聞いてくれるか、納得がいくまで話し合ってくれるか、といった点をチェックしましょう。

明確な説明の有無

インプラント治療は基本的に公的医療保険の適用外となるため、歯医者によって治療方針や費用などが異なります。治療開始前に、どのような治療が行なわれるのか、どのようなリスクがあるのか、どれくらいの期間・費用がかかるのか、など治療計画について明確な説明を受けておかないと、「そんな話は聞いていない」「思っていたのと違う」といったトラブルに発展する可能性があります。

お口の中全体を考慮した治療の提案

インプラントを長く使用するためには、治療後のメンテナンスが欠かせません。メンテナンスを怠るとインプラント周囲炎とよばれる感染症を引き起こすリスクがあります。そのため、インプラント治療の専門性はもちろん、お口の中全体の健康を考慮した治療に加えてアフターケアを提案してくれる歯科医師であればより安心です。

設備の充実度合い

インプラント治療を安全に行うためには、設備が充実しているかどうかも重要です。
より正確で安全なインプラント治療のためにはCT撮影が必須ですが、歯科用CTを導入していない歯医者の場合は、患者さんが検査のために別の医療機関に赴かなければならなくなり、手間も時間もかかってしまいます。

また、インプラント治療を行うための専用のオペ室が完備されているかもチェックするとよいでしょう。

スタッフの質

インプラント治療は最短で約3ヶ月、長くても1年以内に終わるものです。中長期的に通院する必要があり、歯科医師以外にスタッフと関わる機会も多いです。スタッフの対応に不満を感じるような場合には治療を継続しにくくなるため、さまざまな対応をしてくれるスタッフの質にも注目しましょう。

通院しやすさ

名医に治療してもらいたくても、距離が離れていれば定期通院が難しくなります。インプラント治療は基本的に公的医療保険適用外のため治療費が高額で、さらに交通費がかさむことで負担がより一層増します。そのため、通院しやすい歯医者を選ぶのがおすすめです。

まとめ

歯医者のホームページで見かける「ICOI(国際口腔インプラント学会)認定医」とは、世界規模の学術団体であるICOIの認定資格の一つです。認定医以外に、指導医やマスターシップという資格も存在します。

ICOI認定医である歯科医師は、インプラント治療に関する一定の知識と技術をもっていることが証明されているため、患者さんにとってはICOI認定医がいる歯医者を選ぶメリットは大きいといえます。ただし、歯医者を選ぶ際には他にも重要なポイントがあるため、総合的に判断することが大切です。

インプラント治療の歯医者選びに困っているあなたの疑問や不安が、少しでも解消されたら幸いです。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開