■目次
顎骨骨髄炎の原因と症状について
顎骨骨髄炎 [がくこつこつずいえん] とは、細菌などによって歯を支えるあごの骨の組織が炎症を起こして化膿している状態のことをいいます。悪化すると治療が難しいとされている疾患です。
顎骨骨髄炎の原因は大きく分けて3つ
【1】 細菌感染によるもの
・虫歯や歯周病による感染
【2】 二次的なもの
・抜歯後の箇所からの感染
・あごの骨の骨折からの感染
・首より上にできた腫瘍を治療するための放射線による血行障害や骨髄機能障害によるもの
【3】 薬剤によるもの
・根管治療で使用する薬剤
・ビスフォスフォネート系薬剤(骨粗鬆症の治療で使用するお薬)
最も多く見られるのが、虫歯や歯周病が悪化して、細菌が歯からあごの組織にまで広がることによって起こる細菌感染によるものです。そのほか、抜歯後の抜歯窩やあごの骨を骨折した箇所から入り込んだ細菌の感染によって起こる二次的なもの、歯の根っこを治療するための薬剤や骨粗鬆症の治療で使用される「ビスフォスフォネート剤」などの薬剤によるものなどがあります。
顎骨骨髄炎はどんな症状?
■歯の周辺に表れる主な症状
痛み・口腔粘膜や皮膚の腫れ、赤み・歯がぐらつく、周辺の歯がぐらつく・膿が出る・リンパ節の腫れ
■全身に表れる主な症状
高い発熱・食欲不振・倦怠感
顎骨骨髄炎かも?と思ったら歯科口腔外科へ
口腔外科がある歯科医院を受診するとよいでしょう。症状によっては、整った設備での治療が必要となる場合もあるため、総合病院や大学病院の口腔外科を受診するようにしましょう。
>>歯科医院と大学病院で受けるインプラント治療の違い
顎骨骨髄炎の方はインプラント治療が保険適用になる?
顎骨骨髄炎によって、あごの骨の1/3以上を連続して失ってしまい、ブリッジや入れ歯での治療が難しいと判断された場合に、インプラント治療が保険適用になります。詳しくは「保険適用されるインプラント義歯について」をご参照ください。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。