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歯科治療で行われる麻酔
歯科医師は、歯科治療を目的とした場合に限り、全身麻酔や精神鎮静法を行えることが法律で認められています。しかし、ある一定の知識や技術を要するため、すべての歯科医師が行えるわけではなく、大学の歯科麻酔学講座や、医科における麻酔研修で経験を積んだ歯科医師だけが行っているのが現状です。
インプラント治療で行われる麻酔の種類
インプラント治療で行われる精神鎮静法は、全身麻酔とは異なり、意識を失わせたり、痛みの感覚を麻痺させたりする方法ではありません。少量の精神安定薬や麻酔薬の投与によって、緊張感や恐怖感を軽減し心身を落ち着かせます。
■静脈内鎮静
点滴をして、身体の状態を診ながら、薬剤を投与する方法です。そのため、全身管理を担当する麻酔医と、インプラントを埋め入れる歯科医師が携わり、二人の医師がそれぞれの役割に専念して進めていくことが一般的です。
■笑気吸入鎮静
鼻に吸入器を装着して、身体の状態を診ながら、笑気ガスを吸入させる方法です。笑気ガスは、吸入を停止すれば速やかに鎮静状態から回復するため、歯科医師一人で全身管理と手術を行うことが多くみられます。
日本歯科麻酔学会専門医とは
日本歯科麻酔学会専門医とは、一般社団法人日本歯科麻酔学会が、歯科麻酔の知識や経験を持つものとして認めた歯科医師に交付する資格認定制度です。審査・試験を経て、合格した歯科医師に交付されます。この試験を受けるためには、規定カリキュラムに従い、200症例以上の全身麻酔の実績や、規定の講習会の参加、論文の提出などが必要となります。このことから資格を持つ者は、歯科麻酔の標準的な知識を持ち、適切な麻酔処置が行える歯科医師であることを見極める一つの指標となるでしょう。