インプラント治療で歯科用CTは必要?公的医療保険は適用される?

歯科用CTは歯科治療の中で特にインプラント治療に活用されています。中には「CT撮影は本当に必要なの?」「無駄な検査じゃないの?」と不安を抱いている患者さんもいます。 この記事では、インプラント治療で歯科用CTが必要な理由や、歯科用CTではどのような検査が行われるのか、公的医療保険は適用されるのか等について詳しく解説します。

更新日:2025/01/27

■目次

  1. この記事のポイント
  2. 歯科用CTとは?
  3. 歯科用CTとデンタルX線の違いは?
  4. 歯科用CTではどのような診断ができる?
  5. 歯科用CTは公的医療保険が適用される?
  6. まとめ

この記事のポイント

・歯科用CTはお口の中を3D画像で見れる
・歯科用CTはインプラントの術前検査に活用される
・歯科用CTはインプラント治療では基本的に自費となる

歯科用CTとは?

歯科用CTとは、歯科治療で使用されるCT(Computed Tomography)です。
歯科用CTはお口の中を3D画像で確認できるので、患者さんに分かりやすく説明できるX線画像診断法です。

歯科用CTとデンタルX線の違いは?

歯科用CTとデンタルX線の大きな違いですが、歯科用CTでは立体画像、デジタルレントゲンでは2次元画像です。

歯科用CTではお口の中や顎骨を立体的に視ることができるため、インプラント手術のシミュレーションや抜歯が必要かの判断、歯周病の診断、治療計画立案など、さまざまな場面で活用されています。
インプラント治療で歯科用CTは必要?より安全にインプラント治療を受けるためには、治療する顎骨の状態を知ることが大切です。インプラント治療では立体的なデータが必要とされています。歯科用CTでは顎の骨の立体的な形態や、神経の位置を把握するほか、骨密度の確認が可能です。

骨の厚みが足りていない状態でインプラント治療を受けると、インプラントの先端が上顎洞に突き抜けて炎症を起こすケースがあります。また、骨密度が足りていないままインプラントを埋入すると、早期脱落するリスクもあります。

治療計画を立てる上で、お口の状態をCT画像で3次元で把握しておくことは重要です。

治療前だけでなく、治療後にも撮影することでインプラント治療前後の顎の骨の状態も確認できます。


インプラント治療にCT撮影は重要といえるでしょう。

→CT撮影をしないでインプラント治療を受ける危険性については、CTスキャンは必須! CT撮影せずにインプラント治療を受ける危険性とは!?の記事をご覧ください。

歯科用CTではどのような診断ができる?

歯科用CTでは歯や顎の骨の状態、神経の位置を確認できます。そのためインプラント治療だけではなく、歯周病治療、根管治療、親知らずの抜歯などの治療精度を高めるために活用されています。

歯科用CTで行われる診断例を見てみましょう。

・インプラントの術前検査
・インプラントを埋め入れる位置の確認と術後の評価
・抜歯の有無の客観的判断
・歯周病の診断
・親知らずを抜く前の診断(埋伏歯の状態確認など)
・矯正歯科治療前の診断

歯科用CTは公的医療保険が適用される?

歯科用CTは以下の条件に該当する場合、公的医療保険が適用されます。

①埋伏智歯や水平埋伏智歯(親知らず)における、下顎管との位置関係確認のための撮影
②顎関節症における顎関節形態の把握・確認・検査のための撮影
③顎骨の骨折などの形態把握・確認・検査のための撮影
④腫瘍などの病巣の広がりや難治性の神経の治療の診断・検査のための撮影
⑤その他、歯科用X線撮影または歯科用パノラマ断層撮影では確認できない場合、公的医療保険が一部適用となります。


矯正治療やインプラント治療は自由診療となるため公的医療保険が適用されず自費での撮影になります。
参考:アールエフ 長野東部事業所

まとめ

歯科用CTはお口の中の骨構造や神経の位置など、インプラント治療に必要な情報をチェックできます。患者さん自身が治療に関する情報をしっかりと理解し、納得するためにもCTを撮ってもらうことは重要です。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。