インプラント治療は後悔しかない?8つの原因と5つの注意点

インプラント治療を検討しているものの、「インプラントにして後悔した」という声を聞いてしまうと不安になります。インプラントにすると、本当に後悔してしまうのでしょうか?実際に後悔したという人は、どのような理由でしょうか?

更新日:2024/11/28

■目次

  1. インプラント治療を後悔している人もいる
  2. インプラント治療を後悔する8つの原因
  3. ①インプラント周囲炎になった
  4. ②インプラントが壊れた
  5. ③インプラントがグラグラするようになった
  6. ④インプラントが脱落した
  7. ⑤麻痺やしびれが生じた
  8. ⑥費用が高額だった
  9. ⑦見た目が悪くなった
  10. ⑧保証を受けられなかった
  11. インプラント治療で後悔しないための5つの注意点
  12. ①実績が豊富な歯科医院を選ぶ
  13. ②設備が充実しているか歯科医院を選ぶ
  14. ③費用のみで歯科医院を選ばない
  15. ④定期的なメンテナンスを受け続ける
  16. ⑤カウンセリングを受けてみる
  17. まとめ

インプラント治療を後悔している人もいる

国民生活センターの資料に「インプラント、ブリッジ、入れ歯の満足度」という調査(平成31年)があり、インプラント治療を受けた方を対象とした結果では、「どちらかといえば不満」「不満」と回答した人が、それぞれ3.6%、2.8%いることがわかりました。

参考:国民生活センター

→インプラントにして後悔したというケースや、満足いくインプラント治療を受けるための注意点は、「インプラントをして後悔した理由は何? 治療前に見ておきたいまとめ」の記事をご覧ください。

インプラント治療を後悔する8つの原因

インプラント治療を受けたにもかかわらず後悔してしまう原因は、どこにあるのでしょうか。ここで、主な原因として8つをピックアップしました。

①インプラント周囲炎になった

インプラントの周囲にある組織が、細菌に感染して炎症を起こしてしまう病変です。症状としては歯周病にも似ており、歯肉の痛みや出血があります。

症状が進行するとインプラントを支えている骨が溶けて、インプラントがグラグラして抜けるおそれがあります。インプラント周囲炎を予防するためには、定期的に検診を受ける必要があります。

②インプラントが壊れた

噛む力が強い方は、インプラントへの負荷が強くなり破折してしまうリスクが高くなります。また、歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合も破折する可能性があります。

③インプラントがグラグラするようになった

インプラント周囲炎による骨の吸収やスクリューのゆるみなどにより、インプラントがグラグラと動揺することがあります。
スクリューが破折して除去できない場合には、被せ物を新しく作り直す必要があります。

④インプラントが脱落した

インプラント体を埋入したときにインプラントと骨の初期固定が得られないと、治療後にインプラント体が脱落してしまう場合があります。埋入する骨の量が元から少ないケースなどで起こりやすいケースです。

⑤麻痺やしびれが生じた

インプラント体を埋入する手術により、顎の中や舌の神経を損傷する、圧迫するといったことが起きると、知覚麻痺や痺れが生じます。下顎の奥歯部分に入れる場合は神経損傷の頻度が高いとされており、注意が必要です。

⑥費用が高額だった

インプラント治療の中で不満なポイントとして挙げられる内容が、費用の高さです。国民生活センターの調査(平成31年)によると、インプラント治療に対する不満で最も多い回答が「治療費が高額」(37.0%)となっています。

                   参考:国民生活センター

インプラントは公的医療保険が適用されないのが一般的なため、治療費がどうしても高額になります。自費診療のため費用は歯科医院により大きく異なりますが、1本あたり300,000円~500,000円ほどかかると考えてよいでしょう。

                    2024年6月 株式会社メディカルネット調べ

⑦見た目が悪くなった

インプラント体を埋入する位置や角度によっては、理想とする審美性を得られない場合があります。前歯を治療するケースではとくに審美性の回復が求められますが、もしインプラント体を埋入する角度が前方に倒れると、歯茎が下がったように見え、やや出っ歯のようにも見えてしまうおそれがあります。

⑧保証を受けられなかった

インプラント治療では、万が一のトラブルに備えて独自の保証制度を設けている歯科医院があります。しかし、治療後に引っ越しや転勤などによって歯科医院が変わってしまうと、保証制度を使えなくなることが多いです。

また、
・定期検診に通っていない
・喫煙をしている

といった場合も、保証制度が適用されないことがあります。制度の詳しい内容については、治療を受けた歯科医院で確認しましょう。

インプラント治療で後悔しないための5つの注意点

時間とお金をかけて作ったインプラントで後悔しない方法とは?5つのポイントを押さえて、素敵なインプラント・ライフを楽しみましょう!

①実績が豊富な歯科医院を選ぶ

日本口腔インプラント学会の調査データ(平成27年)によると、「あなたが、もしインプラント治療を受診しようと思う場合、どのように先生を選びますか?」に対し最も多い回答が「実績がある歯科医」(45.0%)となっています。

インプラント治療の結果は歯科医師の経験や技術に大きく左右されます。歯科医院のウェブサイトに記載されているプロフィールを確認するなどして、実績がある歯科医院をピックアップするとよいでしょう。

参考:日本口腔インプラント学会

②設備が充実しているか歯科医院を選ぶ

インプラント治療を成功させるために大切なのが設備です。とくに必要とされているのが歯科用CTです。歯や骨の状態を正確に把握するだけでなく、神経や血管の位置もわかるので手術時に問題が起こるリスクを軽減できます。X線撮影により正確な診断が可能になります。

③費用のみで歯科医院を選ばない

治療費が安い歯科医院は魅力的に映りますが、極端に安さをうたうところは注意が必要な可能性があります。品質の低いインプラントを使っている可能性があり、しっかりした治療を受けられないかもしれません。

④定期的なメンテナンスを受け続ける

インプラント治療を受けたあとは、定期検診をおすすめします。インプラント周囲炎の予防につながり、インプラントの残存率が上がり、お口全体の健康管理にもつながります。

⑤カウンセリングを受けてみる

インプラント治療を受ける前に、歯科医院が実施しているカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。カウンセリングに力を入れているところでは、お口の中や全身の状態などを深く考慮しながら話を聞いてくれます。カウンセリングに時間をかけているところを調べると選びやすいかもしれません。

まとめ

僅かですが、インプラント治療を受けて後悔している人がいます。後悔した理由としてあげられるのが、インプラント周囲炎やインプラントの破折、手術後の麻痺などです。

治療後に後悔をしないためにも、治療実績が豊富な歯科医院を選ぶなど、下調べが大切です。インプラント治療についてお悩みがある場合は歯科医院のカウンセリングを受けるほか、気軽に活用できるインプラントネットの相談コーナーも検討してみましょう。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開